IT系専門人材会社の片隅から、エンジニアの転職事情をぶっちゃけるコラム

おいしいフレッシャーズのつくりかた

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 皆さま、はじめまして。

 新人コラムニスト(?)のカモメと申します。

 IT業界・IT職種に特化した人材紹介・求人媒体・採用アウトソーシングなどを行っている「株式会社ワークポート」の隅っこに生息中。

 キャリアコンサルタントのように直接的に転職活動に関わることはありませんが、転職希望の方、転職に成功した方にお話を伺ったり、企業の採用担当さんにインタビューをしたりと、求職者と採用企業の「真ん中」の立場にいるというのは、なかなか面白いポジションだと思っています。

 たまに過酷な時期があっても、まあそれなりに平和に過ごしていたのに、あるとき上司が言いました。

 「エンジニアライフっていうのがあるから、なにか書いて」

 なにかって、なに!?

 エンジニアじゃないんですけど??

 学生のころにちょこーーっとだけBASICをかじり、認定試験のためにSQLの上っ面を舐めただけのあっしに、何を書けと!!??

 エンジニアのエンジニアによるエンジニアのための記事は書けないので、「IT系転職」の現場にいる特性を活かして「転職」「キャリアメイキング」という視点から、採用企業にとっても、本人にとっても「おいしいエンジニア」の作り方を模索し、研究し、ご紹介していきたいと思っています。

 前置きが長くなりましたが、本題。

 第1回目となる今回のテーマは、「おいしいフレッシャーズのつくりかた」。

 ここをご覧になっている方は、ベテランさんの方が多いとは思いますが、風物詩だと思ってご容赦ください。ついでに(?)、今春から新たに入社したフレッシャーズたちには、「いま、IT業界はこんな状況らしいぞ~」と教えてあげてください。

■神話崩壊!?

 常に人手不足のIT業界。しかも「若手がなかなか育たない」という実態もあるようで、どこもかしこも若手のエンジニアを欲しがっていました。

 半年くらい前までは、いわゆる「ポテンシャル採用」をする企業さんが多かったんですね。それこそ、実務経験がほとんどなくても、やる気があり、「学校で勉強してきた」「趣味でプログラムを書いていた」などの素養があって、人柄が社風にマッチすれば採用、という企業さんも少なくなかった。

 人材会社の中では「若手なら行けるぜ神話」が信じられていたのですが……。

 神話は所詮神話だった……と言いますか……。

 今となっては……経験の浅い若手エンジニアさんの転職は、なかなか厳しい状況です。

 不況になると、やはり企業は「守り」に入る。若手の将来性に投資するよりも、今すぐ利益を生み出してくれる即戦力を求める傾向が強くなります。

 もちろん、「スキルがあるなら、若いに越したことはない」というのが企業側の本音ですから、腕に自信があるのなら、チャレンジするのもありだとは思います。ですが、「若けりゃどうにかなるさ」というような甘い考えだと、手痛いしっぺ返しを喰らうことになりそうです。

■石の上にも3年。せめて1年

 では、どれくらいのスキルがあれば「おいしいフレッシャーズ」になれるのか。

 「どんな会社で何をしていたか」によっても変わりますが、だいたいの目安は「3年」です。

 エンジニアの求人要件には「○○での開発経験3年以上」という記載がとても多いのです。つまり、3年間の経験があれば、キャリアを選べる幅がグンと広がるのです。

 逆に、もったいないのが「1年未満」で会社を辞めてしまう人。もちろん、第二新卒扱いになりますので、まだまだリスタートはできます。

 できますが、先にも書きましたが、最近は若手エンジニアの転職は厳しい状況。

 しかも、就業期間が短いということは「忍耐力がない」「ウチに入社しても、またすぐに辞めるのでは?」と思われて、良いことはありません。それに、「素人に毛が生えたような新人なら、新卒で採用した方がいい」と判断されても不思議ではないですよね?

 ただし、「エンジニア以外の職種で、キャリアをリスタートさせたい」と思ったなら、早めに行動した方が良いかもしれません。その場合でも、簡単に現職を辞めたりせず、「なぜ、最初にエンジニアを志したのか。なぜ、すぐにキャリアチェンジを考えたのか」をきちんと説明できるように、十分に策を練りましょう。

■おいしいフレッシャーズ

 新鮮なら何でも売れた時代は終わった!

 辛くても「3年」はがんばれ!

 自分のキャリアプランを描きながら、虎視眈々と時期を待て!

 大卒なら25歳。

 短大・専門卒なら23歳。

 高卒なら21歳。

 それで3年のキャリアがあれば、超ウレウレの「おいしいフレッシャーズ」になっていることでしょう。「やっぱりエンジニアが厳しい」と思えば、キャリアチェンジするにも間に合う年齢です。

 それに、3年間を乗り切れば、エンジニアとしての楽しさも知ることができるだろうし、会社の先輩や仲間とも“輪”ができ、後輩なんかも持つようになっていたら、「この会社でもっとがんばろう」と考えるようになっているかもしれません。

 業界のことも色々と知るようになって、「もっとこんなことがやりたい!」「将来はこんなエンジニアになりたい!」という明確なビジョンも見えてくるのではないでしょうか。

 余談ではございますが、こんな、第1回目の記事を投稿する前に……。

 友人の勤める某システム会社では、すでに新卒さんが2名も辞めていったとか……。

 「せめて、もう少しがんばろうよ……」と激しく思いつつ、就職難のこの時期に、あっさりと職を捨てる勇気に、ちょっとした感銘すら覚えます。

Comment(4)

コメント

第3バイオリン

カモメさん

はじめまして。第3バイオリンと申します。
私もコラムニストです。どうぞよろしくお願いします。

上司の方から書いてと言われたということは、カモメさんはお仕事でコラムを執筆されているということですか。珍しいですね。

私は院卒で、社会人5年目です。3年目のときには27歳でした。
年齢とキャリアのギャップに悩んでいた4年目の夏に開発から評価部署に異動して今に至ります。
(そういう意味で今は「オールドフレッシャーズ」といったところでしょうか)

今は開発とは全く違う仕事をしていましたが、開発にいた最初の3年間は無駄ではなかったと思っています。
開発の知識や仕事の進め方を知っていることは評価ではかなり役に立っています。

どんな仕事でも3年以内に辞めてしまうと、その仕事でしか通用しない知識しか得られないように思います。
逆に3年続けてみると、仕事の内容を飛び越えたところにある、もっと普遍性のあるスキルを身につけたり、仕事に対する考え方を成熟させたりできるのではないかなと最近思うようになってきました。

カモメ

第3バイオリンさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
第3バイオリンさんのコラムも、何度か拝見させていただいております。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

>3年続けてみると、仕事の内容を飛び越えたところにある、もっと普遍性のあるスキルを身につけたり、仕事に対する考え方を成熟させたりできるのではないか

まさにその通りだと思います!

1年目=とにかく目の前のことを必死にこなす
2年目=自分の周りが見えてくる
3年目=全体を見渡す余裕ができる

というのが、一般的(または、そのように世間から評価される)なのではないでしょうか。

第3バイオリンさんのように、開発のご経験を、他の職務でもしっかり役立てていらっしゃるのは、素晴らしいですね。

ちなみに・・・
>お仕事でコラムを執筆されているということですか。

はい。「定期的に投稿せよ」というのが使命です(笑
内容は好きに書いていい!と言われているのですが、だからこそ、「本当にいいのかな…?」と少しドキドキしながらの投稿しています。

はじめまして。修行中のひつじと申します。
同じく、昨日にご挨拶が載りましたが…

私は、新卒後ちょうど3年最初の会社に勤めました。
いわゆる、ネット界隈でいわれる類の「ブラック企業」でしたね…いま思えば。
それでも「正社員で3年勤めた」ことが辛うじて防波堤になっているらしく、
その後も何とかかんとか、チャンスをもらう機会に恵まれています。

私の場合、3年間は「どぶ板」でかけずり回っていた状態で、
とても普遍的なスキルを身につけることはできませんでしたが、
かえってそれが、普遍的なスキルを身につける大切さや、
会社に依存しないキャリアデザインを考えるきっかけを生んだように感じています。
あまり格好いいことをことをいえる立場ではありませんが(笑)
(実際はまるでパッチワークのようなキャリアですからね。)

3年目に会社を退職した際に、「人材紹介」のお世話になっています。
残念ながら「ご縁」はありませんでしたが…
「エンジニアは厳しい」と思っても、引き返す絶妙なチャンスかもしれません。
5年となればちょっと厳しくなりますし、7年となればかなり大変です。

このような場でコラムを書けるのは面白い機会だと思いますので、
お互い頑張ってコラムを進めて参りましょう!

カモメ

修行中のひつじさん、はじめまして!

「ブラック企業」ですか・・・
コラムでは「3年がんばれ!」と言っておりますが、中には本当にヒドイ企業もあるようですので、そこで3年間耐えるのは本当に大変だったろうとお察しいたします。
けれど、そのことが修行中のひつじさんに「気づき」を与えてくれたのであれば、無駄ではなかったはずです(と信じましょう:笑)

>「エンジニアは厳しい」と思っても、引き返す絶妙なチャンスかもしれません。
>5年となればちょっと厳しくなりますし、7年となればかなり大変です。

そうですね。
年齢が上がれば、それだけ未経験の業界・職種への転職は厳しくなりますし、収入の維持ができずに諦める…というケースも出てくるかもしれません。
たとえ何歳であっても、全く別の業界にチャレンジするのも、それまでの経験が「全て無駄になる」ということは無いと思いますが、それを決断する勇気とパワーが必要になりますよね。

修行中のひつじさんは、5年で異業種に移られたのですよね?
そこに至るまでに何があったのか・・・私も興味深く拝見させていただきました。
(と、ここで書くのはオカシイ気もいたしますが・・・)

せっかくこうした機会をいただいたのですから、私も「面白くて為になるコラム」を目指してまいります!
お互いにがんばりましょうね!

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