地方で暮らすということ

2011/03/08 12:00:00

はじめに

 約1年間もごぶさたしてしまいました。修行中のひつじです。こんにちは。先日、コラムニストカード(コラムニストがもらえる名刺みたいなカード)をいただいたのを機に、再び筆を執りました。あらためて、よろしくお願いいたします。

「地方で暮らす」とは?

 一応、「大都会」である札幌を離れて、現在の街で暮らして足かけ5年。仕事自体は、いわゆる大手企業の支店・営業所に当たるため、さして首都圏や札幌と変化があるわけではありません。場所柄、大企業の北海道事業所が多く、いわゆる「支店経済」に近い一面も大きいです。

 私自身、中堅企業や中小企業勤務のときに比べると、正直仕事のレベルの高さを感じることは多々あります。そのため、地元の中小企業に勤める人よりは、実感として地方の厳しさを感じることは少ないように思えます。

 ※札幌も、首都圏から見ると十分「地方」ではありますが。

 それでも、街を歩いてみると十二分に地方の現実を感じることとなります。すっかり慣れてしまいましたが、いわゆる「シャッター通り商店街」。生活感の無い以上に、かつて中学~高校と過ごし、多少なりとも栄えていた時代を知っていると、さびしさ以上のつらさをひしひしと感じます。

 近くに、小さいながらオフィス街があっても、昼食時に外へ昼食に出かける光景はあまり見かけません。皆さん、お弁当なのでしょうか……。むしろ、郊外の牛丼店やファミレスにサラリーマンの姿をよく見かけます。地元の方は、昔ながらの定食店へ外回り中に立ち寄るようです。

 一歩郊外に転じてみると、勤務先のショッピングセンターを中心とした郊外型のお店のオンパレードです。ヤマダ電機とケーズデンキが近くで火花を散らしているのも、牛丼チェーン店に家族連れ用の席があるのも、土日に「どこから来たの?」と思うくらいの車で渋滞するのも、すっかり見慣れてしまいました。郊外型のお店の店頭に無秩序に並ぶ高校生の自転車も、轟音を立てる「ヤン車」も今となっては風物詩です……。

 そんな郊外型のお店も、いわゆる「転勤族」にとっては命綱です。たとえ、品ぞろえが少なくても、ショッピングセンターのスタバに駅ビルやファッションビルと違う空気を感じても、見慣れたお店の名前を見るだけで安心感を感じる…そんな気持ちです。悲しいことに、休日に勤務先の親しい同僚や上司と顔を合わせるのも、よくあることです。

地方の「IT」

 一般的に「SE」「システムエンジニア」という職種の人たちを見かけるのは、地元の第三セクターの「電子計算機センター」と呼ばれる施設や企業です。主に市や商工会議所、ガス会社やバス会社、信金や信組などの古くから大量の電算処理を必要としてきたユーザーを顧客としています。私の暮らす街にも、社員数150人規模の同種の会社があるほか、信金OBの派遣や保険サービスを行う会社に信金のシステム部門が切り離された形で存在しています。

 他には、工場や大企業の事業所内に「システム課」や「システム担当」という形で、いわゆる「社内SE」が存在しますが、これらはごく少数です。多くの企業は、管理部門の従業員がシステム担当を兼ねたり、あるいはそれ自体が存在しない、もっとも多いのはWord、Excel、会計ソフトといったパッケージソフトを使うのみの企業でしょうか。

 仕事を探しに、真っ先にハローワークへ「ITの仕事がしたいのだけど……」と相談へ訪れると、一様に厳しい反応です。「仕事自体存在しない」のが当たり前、前述の企業に欠員があればすぐに応募を勧められるくらい、求人自体が存在しません。もっとも、事務機販売の営業職で、PCのセットアップや複合機の設定、トラブルシューティング、簡単な修理等のCE業務を兼ねた仕事を勧められたことはあります。ちなみに、現職に就いたためにこの話はお断りしてしまいましたが……。

 もう1つ、一般論的に「IT」への強い拒絶感を感じることもあります。マスメディアのステレオタイプの話が直接的なイメージとなっているらしく、「ホリエモン」や「奥菜恵の元旦那」のイメージで語られる場面は多いです……。私自身、「ちゃんと仕事していなかったんじゃないの?」なんて、最初のころはよく言われました。最近は、なぜか「GREEの社長」の話題が出ます。労せずして大金を手にしたというイメージがあるようです。「また、ホリエモンみたいなのが出たか」といった感覚です。このような反応は、決して年長者だけではないのが不思議なところです。

 いわゆる「IT業界」の多くがシステム・インテグレーションで構成されているものという認識が大きいとは思いますが、そのような仕事自体が多くの人たちにはイメージしづらいのは事実かもしれません。悲しいことに、地元に帰ってくる人の話を聞くたびに「ITの仕事していて、長時間労働で身体を壊した……」という文脈の話を聞くことも少なくありません。

■「内向き志向」とはまったく別の世界

 そもそも、「内向き志向」という言葉自体が地方には似つかわしくないかもしれません。

 もともと、地方に狭さや閉塞感を感じている人は、進学や就職で地方を離れてしまいます。特に、ノーベル賞受賞者を輩出したわが母校(出身高校)では、卒業生の9割以上が進学で地元を離れていました。首都圏へも卒業生の3割が向かいます。私の世代でも、海外へ数人が旅立ちました。Facebookで思わぬ再会をした元クラスメイトはオーストラリア在住、他にも地方紙の紙面を海外在住の卒業生の名前が紙面を飾ることは、少なくありません。

 職場の従業員の話でも、(場所柄、そういった年代の人たちは「お子さま」でもあります)本質的なところは10年ほど前の私の年代とも大きな変化を感じることはありません。むしろ、「内向き志向」という言葉で、海外に必要以上にフォーカスが移ってしまい、地方に眼を向ける人が少なくなることを個人的には危惧しています。

 地方の良さとして、挙げておきたいことの1つとして、絶妙な距離感があります。一般的に「県庁所在地クラス」と呼ばれる、人口10万人台~30万人台の地方都市。多少の「車社会」を覚悟すれば、行きたいところへすぐに行けてしまう。Face To Faceのお付き合いが残っていて、何かあっても、すぐに駆けつけてくれる。人付き合いでも、仕事でも、せわしなさもなく、狭苦しさもあまり感じず……といった距離感があります。

 もっとも、地縁の強い地域もありますので、一概にそうとは言い切れない一面もありますが、一度この絶妙な距離感に慣れてしまうと、首都圏へ出かけた際などに、言葉にできないような辛さを感じることがあります。

あとがきにかえて

 実は、このコラムは鹿島和郎(かしまかずお)さんの「海外に住みたい!?」に触発されて執筆しました。

 もし、いまの住環境や労働環境がなじめない……と考えている際に、ぜひ地方にも眼を向けてもらえればという個人的な思いがあります。

 正直なところ、地方が疲弊した状態にあることは認めるところであります。私の暮らす北海道でも、過去10年間で数万人の人が北海道を離れています。それでも、私はこの北海道という土地が大好きです。地方の現実に多少辛くなることもありますが、それでも気持ちは変わりません。

  きっと、東北にも、北陸にも、中国にも、四国にも、九州にも、同じようにその土地を愛する数多くの人がいます。そして、あなたの水に合う土地があるかもしれません。目指すキャリアに一直線に向かう生き方や、海外を目指す生き方とまた別の生き方があるかもしれません。

 地方へUターンやIターンする背中を押すことができるほど、私に力はありません。でも、ずっと好きになれる場所や生き方が、決して海外だけに存在しないことに気付いてもらえれば……と、ささやかながら思います。

突然のスカウトメール、あなたならどうしますか?

2010/03/19 16:00:00

 転職サイトへの登録や人材紹介サービスへの登録。人によって、登録した理由はさまざまかと思います。わたしの場合は、最初は転職を目的にしていましたが、現在は非正規雇用の身であるため、雇用契約がなくなった場合に備えての情報収集の意味合いへと変わっています。

 幸いにも、今すぐそのような事態が起こる可能性はかなり低いのですが、ある日突然、思いもよらない情報がもたらされることがあります。今回は、そんなお話です。

■それは、突然始まった

 先週のある日。いつものように食事休憩中にiPhoneにてメールをチェックしていると、ある転職サイトからのスカウトメールのお知らせが舞い込んできました。その場でチェックすると、それは、思いもよらない求人だったのです……。

 その内容は、あるシステム開発会社のプロジェクトリーダーを募集するもの。客先に常駐して、ITによる業務効率化の支援を行うもので、その中にはかつて派遣エンジニアとして関わったシステムが含まれていたのです。匿名でキャリアシートを公開していたので、「○○様」の書き出しにユーザーIDが入っていましたが、間違いなく指名でかつ具体的に今までの経歴を見た上での内容でした。

 具体的に、先方企業様が注目した点は3点。

  • 過去に、対象システムに派遣エンジニアとして関わり、一からわたしが開発したモジュールが募集対象のプロジェクトに含まれていること
  • 客先の業務知識や業界用語に通じていること
  • 現職での、さまざまな年代を抱えた中でのリーダー経験

 最初の2点は、何ら疑問に感じることはありませんでしたが、最後の現職でのリーダー経験に着目されたことは、思わず動揺してしまうだけのインパクトがありました。ほかにも、VB6.0から.NETへの移植経験に注目されたようです。

■求人内容から意図をくみ取る

 非公開のスカウトメールで「詳細は面談」となっており、勤務地・勤務時間・待遇の基本的な内容と、仕事内容のアウトライン程度のレジュメが添付されていました。

 まず、先方としては仲介者を介して、確実に条件に合った人とのマッチングを図りたい意図が読み取れます。さして規模の大きくない企業でしたので、より多くの人と会うよりも、確実なチャンスを作りたいのかも知れません。

 そして、レジュメを読んでいきます。

  • 開発を終えて導入 ⇒ 保守のフェーズに移っていること
  • 20代~30代のメンバー5名で構成、業務知識を持っているメンバーは2名であること
  • 導入支援業務から、フェーズが移るにつれてヘルプデスク業務へ変化していくこと

 開発スキルよりも、運用時の問題解決力や自社のチームメンバーと客先メンバー、そしてエンドユーザーとのコミュニケーション力を求められているようです。

 しかも、常駐先は最寄り駅レベルから推測する限り、どうやら3年半前にわたしがシステム課職員の求人に応募した先らしいのです。その際には「辞退者が出たら採用」となり、ご縁がなかったのですが、その際の印象は決して悪くなく、再び心を揺さぶられてしまいました。

■いまのわたしに求められているものは?

 そこで、求人内容からキャリアシートで企業が注目している内容を考えてみました。

  • リーダー経験(経験豊富なメンバーに支えられているようなものですが……)
  • 問題解決力(SE経験では確実に培われるもの、そして異業種でも通用するスキルです) 
  • エンドユーザーとしてのIT活用能力(システム開発には向かなかったことは、キャリアシートから読み取れているはず。それでも、IT職種を経験したことへの期待はあるようです)

 これらは、わたしとしては想定外のものであって、わたし自身が伸ばしたいと考えている能力、そして上司や現職の会社から求められている能力とは異なるものでした。どうやら、それらはまだ評価できる段階にはなく、経験を積み、培っていく必要性がありそうです。

■揺らぐことのない結論

 結論は、自然と出てきました。いま進んでいる道をそのまま進み続ける結論です。

 待遇でいえば、非正規雇用であるし、給与的にも厳しい面があるのも事実。でも、信頼できる上司に恵まれ、わたしにとって大きなステップアップが図れたことは大きいのです。それらを現職の仕事にフィードバックしていこうという決意には変わりがありません。

 そして、将来に向けた明確なビジョンがあります。それは、10年後をしっかり見据えたもの。そのための行動を起こしたばかりです。具体的な内容は、こちらでは触れませんが、わたしにとっていわば「ライフワーク」として取り組む決意でいます。

 スカウトメールから、具体的なアクションを起こすことはありませんでしたが、この出来事は、ここ1~2 カ月ほど欠員分の仕事に追われ、目の前だけを見ていたわたしにとって、目が覚める良い出来事でした。いつか、わたしの将来的なビジョンと合致したスカウトメールが届く日を夢見て、仕事でもプライベートでも、ステップアップへの具体的なアクションを続けていきます。

ITエンジニアから異業種へ移る前に

2010/02/09 17:00:00

 立春も過ぎて、季節も少しずつ春へと近づいてきました。リーマンショックに始まった不景気の 最中ですが、新年度を控え、転職をお考えの方も多くいらっしゃると思います。

 過去にこんな記事がありましたが、ITエンジニアから異業種への転職を考えた方も決して少なくないかと思います。この当時とは違って、「リベンジ転職」は難しい情勢かもしれませんが、それでも異業種への転職を真剣に考えられている方に向けて、このような質問を用意してみました。

 これから、用意した20問に答えてみてください。

  1. あなたが、ITエンジニアの仕事にて最も辛かったことは何ですか?
  2. あなたは、最も辛かったことにどのように対処しましたか?
  3. あなたが、ITエンジニアの仕事にて最もうれしかったことは何ですか?
  4. あなたは、最も嬉しかったことについて、どのように感じましたか?
  5. ITエンジニアとはまったく違う職種ですが、あなたが活かせると考えている能力は何ですか?
  6. 逆に、この職種では活かせそうないと考えている能力は何ですか?
  7. 今までの仕事にて問題が発生したときの具体的なエピソードについて聞かせてください。
  8. (前の質問に続いて)その際に、良かったこと、反省点を聞かせてください。
  9. 仕事をする上で、あなたが心がけていることは? 座右の銘でも構いません。
  10. あなたの現職での仕事を、分かりやすいように説明してください。
  11. (前の質問に続いて)「○○(専門用語)」という言葉が出てきましたが、言葉の意味がわかりません。わかりやすいように、説明していただけますか?
  12. 同僚・上司(あるいは部下)とのコミュニケーションで心がけていることは?
  13. ITエンジニアと比較して、地味な仕事です。大丈夫ですか?
  14. 不特定多数の人(あるいはお客様)と接する仕事ですが、大丈夫ですか?
  15. 残業が続くことや、お客様の要望にあわせて休日出勤もあります。抵抗はありませんか?
  16. あなたが、ITエンジニアの仕事を辞めることになった原因は?
  17. 時には、1から覚えるものもたくさんあるかと思います。抵抗はありませんか?
  18. 「挨拶」はきちんとできますか? 「挨拶」で心がけていることは何ですか?
  19. 報告・連絡・相談、あなたが苦手としているものはどれですか?
  20. メールで問い合わせをしました。相手から連絡が来ません。どのように対処しますか?

 20問の質問を書きましたが、あなたはすべての質問に答えられたでしょうか?

 わたしがITエンジニアから異業種に移る際に、面接でさまざまな質問をされたのですが、その中で最も良く聞かれたことを、手帳のメモ等からまとめたものです。

 1~10の質問は、複数以上の会社の面接担当者から質問された内容です。

 11~14の質問は、現職の面接担当者(わたしの以前の上司です)から質問された内容です。

 15~16の質問は、もっとも印象に残っている質問の内容です。

 17~20の質問は、わたしが面接担当者として質問したい質問内容です。前回のコラムは、今回のコラムへのいわば「伏線」でもありました。

 ITエンジニアの仕事は、世間では間違いなく「新しい仕事」であって、異業種への転職は思っている以上に多くの人が疑問に感じているものなのです。

 面接する側にとっては、あなたに何らかの期待を感じていたり、「過去に異業種からの転職ですぐに辞められてしまった……」とのネガティブなエピソードの影響、あるいは何らかの意図があって、厳しい質問※が飛んでくるかもしれません。それらに向かい合う覚悟も必要です。

 そして、転職はあくまでもスタートライン。転職後に続く、まったく勝手の違う道を走り続ける忍耐も必要です。それは、どのような仕事に就いても同じです(※いわゆる「圧迫面接」以外に、あなたにとって「厳しい内容」を含みます)。

 つい、入社試験の難易度で転職の難易度を測りがちですが、実は入社後にあなたが会社に貢献できることは何か、そしてあなた自身のキャリアの「その先」を考えることが求められているように考えています。仕事では常に成果が求められますが、キャリアはそこに至るまでの過程そのものではないかと思います。先に挙げた質問のうち、多くが具体的なエピソードについての質問です。異業種の仕事での成果が測れないからこそ、今までのキャリアの過程を知りたいと考えているのではないでしょうか?

 転職の多くは「キャリアアップ」というポジティブなものではなく、さまざまな事情をはらんだネガティブなものではないかと思います。それでも、転職の成果があなたにとってポジティブなものになるように、祈念しております。

ワークスタイルを考えよう(1)~挨拶のススメ~

2010/02/04 16:30:00

■ご無沙汰しておりました

 すっかりご無沙汰してしまいました。こちらを留守にしていた間、仕事に打ち込む毎日が続いておりました。昨年8月に担当業務のリーダー職に登用。生まれて初めてのリーダー経験に戸惑いながら半年経過、半期に一度の面談にて予想以上の評価をいただけて、ほっとしているところです。

 ITエンジニア時代は、漠然と「30歳になる前にリーダー経験を」と考えていましたので、まさかこのような形でキャリアを叶えるとは思いもしませんでした。先月末で異動した上司が兼任していた業務の後任者として、今月から様々な後方支援業務を担当しています。主任職への登用の必須条件ですから、まだまだ努力が必要なようです。

 ITエンジニア時代の話は、わたし自身の現在の経験と対比させながら、コツコツと書いておりますので、公開するにはもうしばらく時間がかかりそうです。もう1つのテーマとして、総務系の仕事に就いているわたしから見た、ワークスタイルや職場環境の話題に触れていこうと考えています。

 初回は、「挨拶、してますか?」とのテーマで職場での挨拶についてお話しさせていただきます。社会人のマナーとして基本的なこと? いいえ、それが意外と難しい問題をはらんでいるのです。

■挨拶、してますか?

 みなさんは、職場での「挨拶」はしていますか?

 出勤時、退勤時、同僚とすれ違った際、ユーザ先、いろいろな場面が考えられるかと思います。実は、わたしがITエンジニア時代にもっとも気になっていた職場での習慣、それが挨拶でした。

 シャイな人が多いのか、作業中に邪魔になるのか、果ては単に面倒なのか、出勤時に「おはようございます」と声を掛けても、すれ違いざまに「おつかれさまです」と声を掛けても、退勤時に「お先に失礼いたします」と声を掛けても、返ってくるのは蚊の鳴くような声。あるいは、「……」と無言。新入社員が元気に挨拶をしていても、そのうち「朱に交われば赤くなる」のことわざのごとく、蚊の鳴くような声に変化していきます。そして、いつしか新入社員の「おはようございます」に蚊の泣くような声で答える「先輩」に変わってゆく……。

 これは、すごく悲しいことです。「挨拶は、コミュニケーションの始まり」と教えられたわたしにとっては、このようなオフィス環境は衝撃的でした。多少「空気の読めない奴」と思われようとも、マナーとして最も大切にしていた部分でしたので、職場を何度変わろうとも、ずっと続けておりました。一度だけ、ユーザの情報システム子会社に派遣された際には、業務が業務ゆえだったのか、あるいはユーザーに見られ続ける環境であったからなのか、出勤時にも、退勤時にも挨拶が元気に響き回っておりました。ただし、わずか10人ほどの小所帯でしたが……。

 どうやら、「挨拶」は業種・職種問わずに多くの職場で問題になっているようです。NHK教育テレビの若手社員向け情報番組でも、挨拶が特集としてクローズアップされていました。そこで、挨拶をしない理由として多く挙げられていたのが「挨拶が返ってこなく、そのうちしなくなってしまった」というものでした。

 そう、負の連鎖です。わたしの職場でも、「従業員間の挨拶」をしっかりしようという取り組みが継続的に行われています。「挨拶をしない従業員は、お客様応対調査の顧客満足度が低い」という衝撃的な(!)データも出ており、大きな課題ともなっています。この法則は、ITエンジニアとユーザーの関係にも共通項があるかもしれません。

■挨拶をしてみよう!

 ここまで「挨拶」についてお話しさせていただきましたが、それは「挨拶をしてみよう!」という挨拶のススメに他なりません。「挨拶は、コミュニケーションのはじまり」ということで、挨拶をきっかけに社内や職場の人間関係に新しい接点が生まれたり、ユーザーとのコミュニケーションが円滑になったり、果てはシステムへのクレームを円満に解決する鍵となるかもしれません。

 「ファーストコンタクトで6割の印象が決まる」とも言われています。ファーストコンタクトの多くが「挨拶」から始まります。気持ちのよい挨拶でよい印象を与えられれば、あなたの印象も大きく変わるかもしれません。

 決して難しいことではありません。今まで学校や新入社員研修で何度も教わったとおり、「明るく・元気よく」が基本です。そして、「挨拶が返ってこなくても、継続的に挨拶を続けること」これが大切かと思います。

 挨拶で、新たな「きっかけ」をつかんでみませんか?

ITエンジニア時代を振り返る(2)~カオスへの突入~

2009/06/11 18:25:00

 2009年も6月に入りました。わたしにとっては20代最後の年もすでに後半戦です。本州各地では、梅雨の季節に入りました。本来ならば、さわやかな天気が続くはずの北海道。しかし、わたしの暮らす街は9月半ばごろまで続く海霧の季節に入りました。梅雨とはまた違うのですが、なかなかうんざりする季節でもあります。

 今回は、そんな海霧のように、前が徐々に見えなくなっていったITエンジニア2年目のお話です。

■対症療法~カオスの本編へ~

 2年目の春は、異動先の部署でスタートしました。入社してから3人目の上司から与えられた仕事は、導入の滞っていた自治体に福祉業務システムを導入することでした。システム自体は、すでに他社のパッケージを購入済、しかもすでに自社の総合行政システムとの連携も動作実績がある……という触れ込みでした。しかし、それはふたを開けてみると実用に耐えないとんでもないものでした。

 少なくとも、引き継いだ時点で3点の大きな問題がありました。

  1. 手当などの受給資格判定のロジックが、法規で指定された計算方法に準拠していない
  2. 本来連携できるはずの自社の総合行政システムから、計算に必要な税額データを取得できない自治体が存在する
  3. 受給者証や認定証の印刷位置がずれて、実用にならない

 言うまでもなく、このような問題を抱えていたことから、導入途中で頓挫していたのでした。

  1. の問題は、外注にて作成した別プログラムにデータを渡し、再びパッケージに取り込むことで解決
  2. の問題は、パッケージ開発元から修正モジュールを提供済
  3. の問題は、印刷位置のずれる特定メーカーのプリンタでの出力を止める

という対症療法が用意されていました。

 それから3カ月先まで、北海道内を300km以上移動する旅を続けました。ペーパードライバーのわたしは、ひたすらJRと高速バスを組み合わせて行脚を続けます。行脚する先々で、上記の対症療法に対して「責任逃れ」との激しい突き上げに遭います。

 ある地方の自治体では、電算室に監禁されて、激しい突き上げに遭いました。携帯電話にて上司やパッケージ開発元に連絡して電話に出てもらい、2時間ほど説得した結果「次回にパッケージ開発元の担当者と営業部長を連れてくる」との約束で解放されました。解放された後、偶然にもJRに接続するバスが30分後にあり、逃げ帰るように札幌に帰りました。バスの道中で泣いたのは大変お恥ずかしい話ですが、今でも忘れられません。

■衝撃的なクレーム

 もう1つ、同時期に札幌近郊にあるY町の福祉施設のシステムも担当していました。システムのちょっとした不具合を契機に、無償にて標準では導入されない機能を無償で導入するよう要求されたり、サプライ品を無償で納入するよう要求され、営業担当者はこの要求を飲んでいたのです。会社にとって命題であった営業目標の達成のため、営業担当者はクレームをひた隠しにしていたのでした。

 その施設の担当者は出向してきたY町職員でした。年齢は、ちょうど今のわたしの年齢と同じです。言葉の節々に、本来は非常に優秀な役場職員であったことを伺わせるものがありました。

 しかし、ひとたびシステムの内容に触れると、一変して厳しい要求を突きつけられました。在社中にFAXにて要求事項が送られてくるのは、日常茶飯事。わたし自身も、販売ヘルパーのアルバイト経験がありましたので、多少は厳しい言葉や要求にも慣れていました。

 しかし、ある振替休日の明けた日、受け取ったFAXを前に身の凍る思いをしました。

 そこには、わたしのコンプレックスをあざ笑う言葉が書き連ねられていました。

 あまりのショックで、その日は仕事が手につかず、翌日・翌々日と生まれて初めて欠勤しました。

 さすがにこのようなFAXが届いた事態は重く、わたしの手を離れてこの問題は解決が図られることになります。わたしが退職した後に、人づてに他社のパッケージに変更されたこと、そして当時の担当者が出向を解かれ、課長職となったことを知りました。

■事態は混沌と

 その後も、次々とやってくる仕事に追われます。時間外手当は出ましたが、残業食やタクシー移動で足が出ていく状況。ノートPCの持ち出し規定が厳しくなり、「持ち帰り残業」もできなくなりました。対顧客のストレスは減ったものの、混沌とした状況下で社内の協力会社のスタッフから突き上げに遭うことも次第に増えてきました。

 休憩中に雑談混じりで不満点を聞いてみたり、親しい協力会社のスタッフの方と食べ飲みしたりと、当時のわたしとしては精いっぱい「なんとかしよう」と試みました。いま思えば、いわゆる「上から目線」(個人的には嫌いな言葉です)であったかもしれません。そして、契約途中で去る方も現れ始めまし た。

 そんなある日、仕事中に突然しゃっくりが止まらなくなります。トイレの中で倒れましたが、誰も気づきません。早退の手続きを取って、病院へ。原因不明の胃腸炎にて半日入院となりました。2日間ほど何も食べられず、大変な思いをしました。

 そして、次第に出社できないことが起こるようになりました。これを契機に、心療内科へ定期的に通院を始め、服薬するようになります。

 これが、約3年半の通院生活のスタートでした。薬をもらうようになって、原因不明の体調不良はなくなりましたが、今度は精神的に沈むことが多くなり、変調をきたすことになります。

 そんなある日、再び異動が決まりました。次は、住基ネットの保守作業担当でした。上司も替わり、はじめて同期の社員のいる部署へ移ります。このときは、まさか同僚から子供のような「社内いじめ」を受けるとは思いもしませんでした……。

 詳しい話は、次回にしましょう。

 次回は、ITエンジニア3年目についてお話ししていきます。人生初の大きな「経験」についても当時の手記を交えながらお届けしたいと考えています。(次回もネガティブな内容です。ポジティブな話はもう少し先になります……)

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コラムニスト プロフィール

修行中のひつじ
北海道で非正規雇用の事務職をしています。ITエンジニアから現職に転じて2年。異業種転職の「その先」をポジティブに考えていきます。

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