ユーザーに転じて見えてきたもの~ヘルプデスクを通して~
2回目のコラムからITエンジニア時代についてお話ししようかと考えていましたが、ちょうど先日「ヘルプデスク」なるものにお世話になる機会がありましたので、テーマを変えてお届けします。
初回にて「事務職」と自己紹介しましたが、今年の2月から前任者の退職に伴って、システム担当を兼務しています。
とは言っても、ほとんどの作業が本部よりリモート処理されており、日次の作業は15項目ほど。開店前に店内のクライアント数台と営業用のPCサーバ電源投入、POSレジの設定変更、データのバックアップ作業といったところです。
他には、週次で売上データをExcelシートに加工して配布することでしょうか。故障した機器の修理取り次ぎやサプライ品の発注といった作業もあります。言うまでもなく、この程度の作業量ですので、通常の業務と兼務することになります。前任者は営業事務と兼務しておりました。
作業量としては、ITエンジニア時代と比較すると微々たるものです。しかし、繁忙期にお取引先様からの請求が重なったり、月末等の締め日に重なってしまうと、悲鳴を上げることになります。
特に、売上データの集計や販売スケジュールの出力といった時間のかかる作業と重なると、さあ大変! 時間勝負に走ることになります。そして、締め日と重なった先日、事件は起きたのです。
朝8時。いつものように営業用のPCサーバに電源を投入して、バッチ処理を走らせると……いつもならば数分で終わるはずの処理が15分以上経過しても終わりません。やっと動き出した画面にはバッチ処理PGのエラーダイアログが。
操作手順書を見直して、ヘルプデスクに電話です。朝一番でしたので、すぐに繋がりました。VPN越しでリモート操作を行い、指示に従って電源の再投入。そして、再びバッチ処理が走り出します。処理が正常に終わり、ほっとした数分後……。
今度はバッチ処理後に数台のクライアントへコピーされるはずのデータファイルがコピーされていません。再びヘルプデスクへ電話。こちらもリモート処理で解決です。その間、別の仕事をして(朝は時間勝負ですから!)待っておりました。
そう、現役ITエンジニア時代には、地方のユーザーへ同じような手順で何度も繰り返していた作業そのものです。ルートセールスもSEもヘルプデスクもすべて1人でこなしていた6年前。電話を受ける立場で、出勤すると月に1回はお決まりのように遭遇していた作業。
その際には、ユーザーが朝一番で時間勝負に追われていることや、たとえ3分でもお時間をいただくことがユーザーの負担になることを見逃していたように思えました。
そんな過去のわたしを思い出し、心の中で深く反省してしまいました。その日1日、無事に稼働している営業用サーバを横に、なんだか心が晴れない気分でした……。
現職の入社時研修でこんな話がありました。
お客様に「少々お待ちください」とお時間をいただいた場合、多くの方が許容範囲と感じる時間はわずか90秒。だからこそ、お客様の要望には素早くお答えできるようにするのが大切。
想像以上にシビアな内容です。わたしは3分と考えていました。
そんなわたしのユーザー対応は、果たしてご満足いただけていたのでしょうか?
ITエンジニア時代には、いわゆる「クレーマー」を何も知らされずに担当していたこともあって、どこかユーザーに対して不信感や疑心暗鬼な気持ちが先行していました。
しかし、担当していたユーザーの多くは、大切な「お客様」であったはずです。それを考えると、過去のわたしの対応はあまりに素っ気なく、ユーザーの事情や気持ちに鈍感であったように思えるのです。
「相手の立場になって考えてみる」と、幼いころから教わってきたと思います。
大人になって感じるのは、簡単なようで実に難しいことである、ということ。
どのような仕事にも、普遍的に共通するものは存在していて、「人としてどうあるべきか」ということは職業人にとって大切なことかもしれない。現職に転じてから、そんなことをよく考えるようになりました。
次回から、3回連続でITエンジニア時代のエピソードをお話しする予定です。お楽しみに!
(※回数は若干、増減するかもしれません)