「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

そして我々は、決して振り返ることのない情報を墓場に葬りつづける

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 あ、ちょっと待って。この記事に「後で読む」フラグを立てるのはちょっと待っていただきたい。これからその理由を説明するから、どうか後で読もうとは思わずに、今ここで読んでほしい。

■そもそも我々は、後で読んでいるのか?

 皆さんは、いわゆる「後で読む」系のサービスを、活用できているだろうか?

 我々エンジニアにとって、情報収集は重要なスキルのひとつだ。しかし、そうはいっても残業も多く、じっくりと本やネットの記事を読む時間が自由には取れないことも多い。目の前のタスクの消化にいっぱいいっぱいで、かなり意識しなければ新たな情報に接することさえ億劫になる。

 そうなると、面白そうだったり有益そうだったりする記事を見つけても、その場では読めないから、後で読もうと考える。さて、このときの行動が運命の分かれ道だ。

■「後で読む」サービスは永遠に読まれない情報の墓場

 ここで安易に「後で読む」系のサービスに保存してしまうと、その記事を実際にあとで読む可能性はほとんどない。

 いや、全員がそうとは限らない。ものすごく自己管理ができている人で、毎日どんなに遅くなっても疲れていても、あるいは酔っぱらっていても、寝る前にその日を振り返って当日に収集した情報をしっかりと整理し直すというライフハックの教科書的な習慣が確立している人なら、ちゃんと読むだろう。

 しかし、普通のエンジニアはそんなにキッチリと自己管理できないのではないだろうか。正直に言おう。私はできない。だから「後で読む」サービスには永遠に読まれることのない記事が無限に追加され続けることになる。我々は日々、大切な時間を割いて、せっせと無用な情報を墓場に葬るという不毛な作業を続けているのだ。

■欲しいものは今手に入れろ

 そもそも情報を集めるのは、解決すべき問題を抱えているからだ。だから情報収集の基本はプルだ。必要な情報は、その場でキーワードを組み合わせながら絞り込み、検索結果の内容を確認しながらさらに取捨選択していく。有益ならその場で利用したり、課題が解決するまで参照しやすいカタチで保管する。

 つまり、本当に必要な情報なら「後で読む」という選択肢はあり得ない。ただ、例えば移動中に時間をムダにしたくないから調べて見つけた、という状況もあるだろう。そういう状況では、その場ですべて読むことが不可能な場合もある。そういう緊急時の対策として使うなら問題はない。

■今必要ないものには手を出すな

 しかし、多くの人はなるべく広くアンテナを張り巡らせておきたいからと、ニュースサイトのRSSやキュレーションサービスなどをチェックして、ちょっと興味を引いたものには今すぐに必要のないものでも「後で読む」フラグを立ててしまう。

 このような使い方をしていると、今すぐに必要ではないので、少し忙しいと後回しにしてしまい、あっという間に数日分溜まることになる。すると、もうそれを再び開いてチェックする気にはなれなくなる。

 「後で読む」とチェックすることにより安心感だけは得られるので、情報収集を怠っていないという、かりそめの満足感に浸ることもできる。しかし、そんなものに何の意味があるのだろうか。

■自分は今、何を必要としているのか

 「今必要のないものには手を出すな」というと、「それでは、今の仕事に必要のない情報は切り捨てろというのか? 広くアンテナを張り巡らせておかなければ、すぐに知識は陳腐化してしまうというのに!」と反論されるかもしれない。しかし、あなたがどんなに優秀だとしても、すべてを知ることなど不可能だろう。スキルアップを考えるにしても、全方位にまんべんなくスキルアップしようとするのは非現実的だ。

 重要なのは、今の自分が本当に必要としているものは何かを明確に認識することだ。それができてはじめて、必要なものと不要なものを選別することが可能となる。

 今の仕事に直接は関係なくても、自分の目標を実現するためにどうしても必要な情報であれば、遅くとも週末に自分の時間を割いて読むことができるだろう。「なんとなく面白そう」ではなく、「これは絶対必要!!」という判断基準をまずは手に入れるのだ。結局のところ、自分にとって必要なものは何かを理解することこそが重要なのだ。

 でなければ我々は、決して振り返ることのない情報をこれからも墓場に葬りつづけるだろう。

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