余計なこと

2013/05/10 14:10:00

 あなたが何か、ITシステムを使っているとしよう。時には利用中のシステムに対してイラっとすることがあるはずだ。自分が利用しているシステムに100%満足しているという幸せな人に、私は今まで出会ったことがない。おおむね満足していても、必ずどこかしらに不満を抱いているものだ。そして、そのときのネガティブな感情は、以下の2つに集約できるのではないだろうか。

  1. 余計なことをさせるな!
  2. 余計なことをするな!

■これらの意味を考えてみよう

 この2つはまったく正反対のベクトルを持っているように見える。片方は「なぜもっと省力化してくれないのだ?」と言っているわけだし、もう一方は「なぜそんなに省力化する必要があるのだ?」と非難しているのだから。

 しかし、あなたの中でこの2つは何の矛盾も不整合もなく共存する。いったいこれはどういうことだろう。

■そこに矛盾は存在しない

 実は、この2つは、まったく同じことを言っているのだ。

 「余計なことをさせるな!」を言い換えると「そんなものは自分の仕事の核心ではない。自分の仕事に集中させてくれ!」であり、「余計なことをするな!」は「それこそが自分の仕事の核心的な部分なんだ。自分から仕事を奪うつもりか?」となる。

 つまり、あなたは「自分の仕事の核心部」を漠然とではあっても定義していて、それ以外のものの受け入れを拒絶し、侵入者は徹底的に排除している。それが「余計なことをさせるな!」と「余計なことをするな!」の正体なのだ。

■己の欲せざるところ、人に施すなかれ

 その閉鎖的な心の善し悪しをここで論じても意味がない。人とはそういうものなのだ。それを前提に対策を考えるというのが大人のエンジニアの取るべき態度だろう。

 あなたが嫌がることは、他の人も嫌がることに違いない。だから、あなたが作っているシステムは、ユーザーに余計なことをさせてはいけないし、ユーザーから余計なことと思われることをやってはいけない。つまり、システム構築時には、利用者の「仕事の核心部」をしっかりと把握しなければならないということだ。

 業務システムの場合、これが出来ずに利用者の反発を買うことはよくある話だし、コンシューマー向けのシステムの場合には、ネットで炎上したり、ただ単に無視されて終了ということになる。

 あなたが作っているシステムは、ユーザーに余計なことをさせようとしていないだろうか? また、余計なことをしようとしていないだろうか?

プロジェクトに4人の「センドウ」を参加させよう

2013/04/23 18:50:00

 「船頭多くして船山に登る」という。もちろんそれでは困る。だからここでは4人の船頭をプロジェクトに投入せよと言っているわけではない。しかしセンドウとは、船頭だけではないのだ。以下、プロジェクトに必要な4種類のセンドウを紹介しよう。

■船頭

 当然のことだが、船頭なしにうまく行くプロジェクトなどない。船頭=プロマネと考えれば間違いないが、明確にプロマネという役割と認識されていなくても、成功するプロジェクトには必ず船頭役のメンバーがいて、プロジェクトのゴールに向かって調整し続けてくれているものだ。

 まぁ、今更ここで船頭について私が解説するまでもなく、ITエンジニアならその重要性については十分認識されているだろうから、さらりと流して次に行こう。

■先導

 次は先導者だ。技術的な先導者がプロジェクトの中にいると、非常に安心感がある。有能な先導者は、常に先回りして技術的な不明点を調査検討し、プロジェクトが抱える技術的なリスクを低減するように努力する。

 ただし、注意点がひとつある。この役割は船頭が兼任してはいけない。この役割を兼任するような技術好き船頭は、放っておくと技術方面に没入してしまうものだ。そして船頭としての役割がおろそかになり、プロジェクトがうまく回らなくなる。

■煽動

 私の好きなジャズバンド、SOIL&"PIMP"SESSIONSの「社長」のパートは"アジテーター"と呼ばれている。観客を煽ってライブを盛り上げる役割だ。

 プロジェクトも、ある意味ライブだ。アジテーターの有無はプロジェクト内の雰囲気に大きく影響を及ぼす。キックオフ時には、メンバーの緊張を解きほぐし、全員が同じ方向を向いてテンションを上げるのを助長してくれるし、プロジェクトの後半、特にラストスパートにもその存在は進捗に大きく貢献する。アジテーターの一言が、メンバーから爆発的なパワーを引き出すこともある。

 先導者と違って、アジテーターは船頭が兼任するのもいいだろう。大きなプロジェクトでは、チームごとにアジテーターがいるのが理想的だ。

 メンバーのモチベーションは、プロジェクトにとって重要なファクターだ。アジテーターの役割を過小評価すべきではない。

■仙道

 「仙道?なんだそりゃ?」と思った人は、勉強不足だ。以前のコラムで、私は「ジョジョはエンジニアの必須科目だ」と言ったはずだ。よもや忘れたわけではあるまい?

 ジョジョの歴史は仙道パワーを源とした波紋エネルギーからスタートした。だから決しておろそかにしてはいけないのだ。ここで注目したいのは、波紋戦士の心意気だ。

 ジョジョPart2。ローマでジョジョとカーズが最初に遭ったときのシーザーを思い出せば十分だろう?波紋戦士は仲間思いやる心を大切にする。これは4人目というよりも、プロジェクトメンバー全員が持つべき力だといえる。

 メンバー全員が他のメンバーを思いやる心を持ち、常に周囲に気を配ることができれば、きっとプロジェクトを楽しむことができるだろう。

 以上、「センドウ」というキーワードで(最後はかなりゴリゴリな感があるが)プロジェクトを円滑に進める上で必要な役割を示してみた。プロジェクトの進行中は、どうしてもタスクやコストや納期ばかりに目が向き勝ちだが、ヒトに目を向けることの重要性も忘れないで頂きたい。

ハートに火をつけて

2013/04/05 15:00:00

 理解はできるけど納得はできない。

 よくある話だ。

 だって、人間だもの。理詰めで来られたら、北風に打たれたようにコートの襟を立てちゃうさ。

◆企業と消費者の間の見えない壁

 この気持、消費者として日常生活を送る中で企業と関わるときによく感じる。企業側の説明は至極もっともで理路整然ともしており、言っていることはよくわかる。

 でもね。。。

◆システムと利用者の見えない壁

 この気持ち、システムを利用する際にもよく感じる。特に自分がエンジニアだということもあるのかも知れないが、作り手の考え方が結構わかってしまうこともある。いや、ホント、よくわかるよ。なんでこう作ったのか。

 でもね。。。

◆理解しても人は動かない

 理解できたからと言って、その商品を買おうとか使おうとか好きになるとか、そういう感情が沸き起こるかどうかはわからない。それはまた別の話なのだ。

 人は心に動かされる。心に届くメッセージのみが、人を動かす。

◆必要なのは情報量ではない

 理解させようと努力すると、どうしてもすべてを語り尽くそうとしてしまって情報量が多くなる。しかし受け取る側にしてみれば、情報量が増えれば増えるほど話の輪郭がボヤけてしまうことが多い。逆に、たったひとことに感動して、行動を起こすこともある。それほどに、頭ではなく、心に届く言葉は非常に強力だ。

◆好きか嫌いか、それが問題だ

 結局、心に訴えるということは、好きになってもらうということだ。そしてそのための一番の近道は、自分が好きになることだ。

 といっても、ユーザーのことを好きになるのではない。企業がユーザーへの対応を考えるなら、自分がユーザーとしてその対応を受けたときに好感を受けるかどうか。システムなら、自分がユーザーとしてそのシステムを好きになれるかどうか。

 モノをつくるにせよ、売るにせよ、大切なのはユーザーのハートに火をつけることだ。そして、そのためにはまず、自分自身のハートに火がつかなければ話にならない、ということだ。

◆ハートに火をつけよう

 あなたもハートに火をつけてみないか? まず自分の、それからユーザーのハートに。きっと自分の仕事に対する考え方が変わるから。

あぁ、でもくれぐれも炎上には気をつけて。

(ちなみに炎上してしまったハートに油を注がないためには、隙を作らず理路整然と行くしかない。そこが難しいところだ。)

プロジェクト「今年こそは」

2013/02/04 13:00:00

 さて、月が変わって、いよいよ2013年も残すところあと11ヶ月となった。まさに光陰矢の如し、といったところだが皆様はいかがお過ごしだろう。そろそろ年の初めに決意した今年の目標も忘却曲線の彼方へと飛んで行ってしまったのではないだろうか?

◆母さん、僕のあの決意どうしたでしょうね?

 毎年毎年、「今年こそは!」と思ったことをやり遂げられる人はどれだけいるのだろう。そもそも年初の気持ちを、年末になっても覚えている人がどれだけいるか。

 思いは思っているだけでは前に進まない。行動が伴わなければ。しかし、やみくもに行動したからといって、前に進めるとは限らない。計画が伴わなければ。

 そして何事も計画通りにはいかないものだ。敷かれたレールの上を走るのはつまらない、などというヒトもいるけれど、レールの上を走っている電車にだって事故は発生するのだ。

 計画し、行動し、確認し、調整していかなければすぐに思いは忘却の彼方へと去ってしまう。これは家でも職場でも同じことだ。

◆課長、僕のあのタスクどうしたでしょうね?

 もしも仕事上のチームメンバーが、毎年「今年こそは!」を繰り返している人ばかりだとしたら、そのプロジェクトはかなりヤバいのではないだろうか。

 たくさんのタスクやマイルストーンが忘却の彼方へと飛んで行く。考えただけでもゾッとする。しかしよくよく思い返して見たら、それが日常茶飯事で、職場で繰り返し見られる光景だと気がついて、余計にゾッとするヒトもいるに違いない。

◆仕事のスイッチなんて働きマンしか持っていない

 プライベートの目標が進まないのを「仕事が忙しくてなかなかねぇ。。。」という人は、仕事が進まないときにも「急ぎの仕事が入っちゃっってさぁ。。。」などといいがちだ。オフィスのデスクが整理整頓されているひとは、自宅のデスクも綺麗だろうし、逆もまた真だろう。

 仕事とかプライベートとかは関係なく、その人はそういう人なのだ。仕事のスイッチが入ると別人になる、なんて働きマン的なヒトはそうそういない。

◆案件は待っていても動かない

 そんなわけで結局のところ、毎年我々は「今年こそは!」という漠然とした案件を抱えて一年をスタートするわけだが、その案件をしっかりとプロジェクトとしてスタートさせられない人も多い。

 そして年の終わりになって、頭の中の未処理のタスクトレイの一番下から、「今年こそは!」と書かれたメモを発見することになる。これが年末の風物詩のひとつとして定着している人もいるのではないだろうか。

◆そしてマーチがはじまる

 仕事なら納期があるのでデスマーチになるが、プライベートでは納期を意識することはあまりない。するとどうなるか。いつまで経っても終わらない、死ぬまで終わらない「デスまでマーチ」がはじまるのだ。

 このエンドレスなマーチを止めるにはどうすればいいのだろうか?

 まぁ、すでに答えは上の方で書いてしまっているのだが。「計画し、行動し、確認し、調整していかなければすぐに思いは忘却の彼方へと去ってしまう。」と。

 結局のところ、モノゴトはPDCAで回していかないと進まないという話だ。しかし考えてみたらこの「今年こそは」プロジェクトは自分の管理能力を高める絶好の素材ではないだろうか。思いを実現できる上にそんなオマケまで付いて来るのだ。一粒で二度おいしいとはまさにこのことだ。

 はじめに私は「あと11ヶ月しかない。」といった。しかし大丈夫。もしもあなたが去年までと違って計画し、行動し、確認し、調整をして進めたならば、11ヶ月もあればかなり多くのことができるのだから。

 さぁ、今年こそは、年末に凱旋マーチを高らかに鳴り響かせよう。まずはタスクを洗いだすところからはじめようか。

週末プチ・スマホ断ち

2012/11/27 17:00:00

 土曜の朝、iPhoneが水没した。ちょうど1泊2日の箱根行きの途中でのことだったので、そのまま週末まるまるスマホ断ち、SNS断ちをすることになった。今回はそのとき感じたことを書いてみよう。

■何が私を縛っているのか

 私がまず痛感したのは、自分がどれだけ時間に縛られているのか、ということだった。時間を確認するために、私はどれだけ頻繁にスマホをチェックしていることか(私は携帯を持つようになってから腕時計をしなくなった)。

 時間を気にするのは、予定が決まっているからだ。

 「9時から客先で打ち合わせだ。ということは、7時の電車に乗らなければならないな。そのためには遅くとも8時45分までには家を出なければならないってことか。」

 「今日の待ち合わせは10時半だ。そろそろ行かないと間に合わないぞ。」

 このように、我々はさまざまな予定を立てて、それを消化するために走り回っている。では、この状態から解放されたければ、予定を立てない生活をすればいいのだろうか?

■予定を立てないとどうなるか

 事前に予定を立てないと、リアルタイムで刻々と変化する状況に的確に対応する必要がある。そのためには、判断材料となる膨大な情報の収集が不可欠となる。では、どうすればいいのだろうか。

 いやいや、心配ご無用。ここに最適なツールがある。スマホとSNSアプリだ。

 「いまどこ?」

 「何してる?」

 「これからヒマ?」

 友達のタイムラインを見れば、相手の大体の状況がわかる。これでリアルタイムに調整し合って、めでたく仕事帰りに仲間と街に繰り出せるというものだ。

■綿密な計画は情報の流量を低減するか?

 予定を立てれば時間に縛られ、予定を立てなければ情報に縛られる。いずれにしても、縛られる運命なのか。ひょっとして、私は縛られるのが好きなM体質ということなのかも知れない。

 まてよ。予定を立てても時間に縛られず、予定を立てなければどこまでも暴走するラテン系のノリに、私が激しく共感し憧れを感じるのは、その裏返しということなのだろうか?しばらくはラテンのノリで生活してみるか?

 いやいや、そういうオチではない。私が言いたいのは、予定をしっかりと立てていれば、時間にさえ気を付けていれば大抵の場合、物事を滞りなく進めることができるが、予定が大雑把だと調整のために必要な情報量が増大し、そのためにリアルタイムでの状況をトレースしやすいスマホ&SNSによるコミュニケーション量が増加するのではないだろうか、ということだ。

 こういうことを考えていくと、色々とアイデアも湧いて来るではないか。

■プチ・スマホ断ちのすすめ

 巷ではダイエットや健康のために「プチ断食」というものが流行っているらしい。スマホ断ちやSNS断ちも、いきなり1ヶ月とか言い出すと敷居が高いので、まずは週末のプチ・スマホ/SNS断ちをやってみるといい。

 きっと、スマホやSNSとの関わり方や度合いによって、それを2日断った際に感じるものは人それぞれで違うだろう。私がラテンのノリに救いを見出したことに失笑する人も多いだろう。しかしそれは当然のことだ。答えは本人の中にしかない。

 だから、まずはやって、感じて見ることだ。必ず、新たな発見ができるに違いない。

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コラムニスト プロフィール

onoT
「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

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