「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

もっとコワーキングスペースを!

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■肩ひじ張らずに利用しよう

 コワーキングとは、仕事場を共有して働くことだ。しかし、あまり難しく考える必要はない。合コンではないのだ。いきなり気の合うパートナーを見つけて一緒に仕事ができなければ負け、というわけではない。あくまでも、場所を共有するのが始めの一歩だ。その中で、ひょっとしたら意気投合して同じ目的に向かって一緒に歩き始める人と出会えるかもしれない。しかし、それが唯一の目的というわけではないのだ。

 だから別に、積極的に交流しようとしなくてもいい。自分の作業に集中したいときは集中する。そして、ちょっと息抜きしたいときに、一般的な企業のオフィスのあちこちで自然にコミニケーションが発生するように、自然な展開で会話が始まれば、それを楽しむ。そんな感覚でOKだ。

■スローな出会いの場

 そのような会話は、それほど急速には起こらないかもしれない。会社でも学校でも、何度か顔を合わせるうちに少しづつ打ち解けて親しくなっていくものだ。それはそれでいいではないか。

 社内にこもりがちなエンジニアにとっては、まずは展示会やセミナーや 、あるいは勉強会のようなイベントと同様に外の空気を吸う貴重な空間を提供してくれるものと考えれば十分だ。そうやって何度も通って何度も顔を合わせて、ゆっくりとした出会いを楽しめばいい。

■「ドロップイン」から始めよう

 だから、理想的なのは、そのスペースを継続利用できるプランを使うことだ。しかし、大抵のスペースでは「ドロップイン」と呼ばれる1日単位とか時間単位での利用可能なプランも提供されている。まずはこれでスペースの雰囲気を何度か体験してみるといいだろう。

 ところで、現時点では、このようなスペースは大都市圏に集中しているのが実情だ。だから、毎日通ってオフィスとして利用するには遠すぎるという人も多いだろう。わたしもそうだ。そういう人にとっても、ドロップインはありがたい。

 また、サラリーマン向けに、平日夜のみ利用できるプランを提供するスペースもあるようだ。ドロップインで体験してみて、場の雰囲気が気に入ったなら、次にはそういうプランを考えてみるのもいいだろう。皆さんも自分に合ったスタイルのプランを探して見ることをお勧めする。

■コワーキングスペースの可能性

 しかし、先ほども指摘したように、地方にはこのようなスペースがまだほとんど存在しない。コワーキングスペースjpをみると、2012年4月12日現在、登録されているコワーキングスペースの数は39件。内訳は北海道・東北2件、関東25件、中部東海3件、近畿8件、四国1件、九州・沖縄2件となっている。関東といっても実際には東京が22件、神奈川2件、千葉1件。

 これは、裏を返せばビジネスチャンスかもしれない。わたしのように、地方で地元のコワーキングスペースを熱望するフリーランスは多いはずだ。地域振興のために、自治体がこのようなスペースをサポートしてくれてもいいようなものだが、どうなのだろう。

 例えば、私が最近利用している馬喰町の「Colormell(カラメル)」は、内装が結構オシャレで女性ユーザーも多いようだ。また、近所にKUMONの教室があって、道端でママさんたちを見かけることも多い。Colormellでは、そこに着目して自分の能力を生かした自己実現を目指しているママさんたちをサポートするようなイベントを開催するとのこと。

 このように、コワーキングスペースは、その性格上、地域密着型のコミュニティを産み出す母胎となる可能性も大いに秘めている。現在は大都市に集中しているが、これから地方へ広がっていくにあたって、地域密着型というのが1つの流れになるのではないだろうか。

■エンジニアの利用シチュエーション

 さて、それでは最後に、われわれエンジニアが気軽にコワーキングスペースを利用するとっかかりとなるシチュエーションをいくつか考えてみよう。

 

◆仕事場◆

 まず、誰でも考えるのがこれだろう。近所にスペースがあるなら、ぜひとも利用を検討してみるべきだ。会社勤めをしていた人が独立して自宅で仕事を始めたときに、よく言われるのが「自宅だと仕事のスイッチが入りにくい」ということだ。スイッチを入れるための場所としては、カフェよりもオフィスに近いこういったスペースは最適だ。また、独立に向けた準備や、社外でのプロジェクトを進めるために、平日の夜や休日を過ごす場として利用するにも最適だ。

◆ミーティングスペース◆

 コワーキングスペースでは、ホワイトボードやプロジェクタが使えるところも多い。つまり、ミーティングスペースとしての利用も可能ということだ。明確に会議室を用意しているところもある。実際、わたしが最初に利用したのは、友人とのミーティング場所としてであったし、共同作業をしているフリーランスのチームが定例ミーティングの場として使っている例もある。

◆セミナーや勉強会の会場◆

 コワーキングスペースでは、よくJellyと呼ばれるイベントを開催する。スペースの名前にJellyを冠したり、特定の曜日をJellyの日として定期的に開催しているところもある。なので、ひょっとしたら無意識の内にイベントや勉強会でコワーキングスペースを利用したことのある人もいるかもしれない。あるいは「勉強会を開いてみたいけど会場はどうしようか?」といったときに、その会場として検討してみる価値もあるだろう。

◆こもり、あるいは開発合宿的なもの◆

 わたしは以前、仕事に集中するためにビジネスホテルのデイユースを利用したことがある。しかし、これはあまりいい手ではなかった。なぜなら、ホテルの部屋は自宅と同じであまりにもプライベートな空間すぎるからだ。籠るなら、パブリックでしかも集中できるところがいい。その点、コワーキングスペースは最適だ。チームでこもるのもアリだ。開発系の会社などで、どこかに環境を変えて「開発合宿」するという話を聞いたりするが、コワーキングスペースを利用すると開発合宿的なことも安上がりに実施できるのではないだろうか。

 さて、いくつかの例を挙げてみたが、これ以外にも無数の活用シチュエーションが考えられる。それは立地条件や季節や曜日や時間帯によっても変わるだろう。いずれにせよ、大きな可能性を秘めたコワーキングスペースが、もっともっと全国的に広がりをみせてくれることを願って止まない。

Comment(1)

コメント

仲澤@失業者

コワーキングスペースも良いですが、
個人的には「エンジニアが集まるサロン」みたいなものを
渇望してますね。
さまざまな、元エンジニアの爺さん婆さんを集めて茶を飲ましておき、
問題を抱えた若いエンジニアにアドバイスするような・・・。
もちろん自分はそこのパトロンです(笑)。

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