知的エンジニアライフの方法 (5)休み方

■あなたの休日は、輝いているか?

 ゴールデンウィークを目前にひかえた今、エンジニアのみなさんに1つ質問を投げかけたい。ゴールデンウィークだけに限ったことではないが、あなたの休日は輝いているだろうか?

 このシリーズの最初の回で、わたしはエンジニアを仕事としてではなく、生き方としてとらえた。そのようなライフスタイルとしてのエンジニアに、休息というものはない。なぜなら、エンジニアとしての生き方を休むことは、自己否定につながってしまうからだ。だから我々は死ぬ瞬間までエンジニアであり続けるのだ。

 それなら、なぜここで休み方を論ずる必要があるのだろうか。ポイントは質問の中にある。「輝く」ためにはエネルギーが必要だ。休日といえども我々は平日に使い果たしたエネルギーを回復するのではなく、さらにエネルギーを消費することになる。しかしこのエネルギーの消費と引き換えに得るもの。それこそが好奇心駆動で生きるエンジニアのパワーの源なのだ。

 一般的に休日は「オフ=休暇=プライベートな時間」のことで、「オン=仕事」の反対語として定義される。「オンとオフ」というと、たいていの場合は、仕事とプライベートの切り替えを思い浮かべる。しかし、そのスイッチは意味のあるものなのだろうか?

■ハレとケで考えよう

 「仕事vs.プライベート」という構図は、しょせんは日常生活の中での話だ。しかし我々はもうひとつ違う次元のスイッチを持っている。それは、日常と非日常を切り替えるハレとケのスイッチだ。

 実は、このハレの日こそが、我々に必要なものなのだ。エンジニアにとってのオン・オフとは、このハレとケのスイッチを切り替えることに他ならない。仕事とプライベートを切り替えたところで、日常生活におけるプライベートな時間とは、実はいつも同じことの繰り返しで変化に乏しいルーチンワーク、なんてことも多いのではないだろうか。恋人ができたり、結婚したり、子供ができたりすれば、しばらくは非日常的な気分でいられるだろうが、それもいつしか日常的なものになってしまう。

 変化の乏しい日常が続くと、我々はストレスを感じ、どこかで発散したくなる。しかし、仕事帰りに酒を飲んでも、それは既にルーチンに組み込まれた日常であり、それすらがストレスを増幅させる原因になったりもする。もっと根本的な対策が必要なのだ。

 そこで我々は、日常からの脱出を求める。我々には、ハレの日が必要なのだ。

■そこで何を得るのか

 もともとハレの日とは、変化の乏しい日常の中で、永遠に繰り返すのではないかと思われる退屈な毎日から解放されて、ハメをはずせる数少ない機会としてつくられたのだろう。そこに「休息」という意味は見いだせない。祭りに必要なパワーを思い浮かべれば分かるだろう。あるいは正月の豪華なお節料理。除夜の鐘。富士山頂で初日の出。このように、むしろ日常よりも莫大なエネルギーを消費して楽しむのがハレの日なのだ。

 ハレとケの切り替えで求められるのは、疲労の回復というような、何か失ったものを取り戻すことではない。そうではなく、今まで持っていなかったものを新たに得ることなのだ。補充とか回復ではなく、新しいものの追加。ハレの日を体験することで新たな力を得て、新たな自分に生まれ変わる。だからこそ、ハレの日は人生や季節の節目のタイミングで行われてきた。

■非日常へのいざない

 さて、もうお分かりだろう。エンジニアにとってのハレ=非日常とは、新しいテクノロジやメソドロジなどに触れることだ。そのためには、積極的に展示会やカンファレンス、勉強会などに参加するのだ。

 そういう意味では、必ずしも休日である必要もない。カンファレンスなどは平日に行われることの方が多い。そんな時には、エンジニアなら迷わず「ハレの日スイッチ」をオンにするべきだろう。私がまだ会社に勤めていたとき、「これはヤバい! 面白そうだ!!」と心の琴線に触れるカンファレンスを見つけた場合、会社を休んで自腹を割いてでも参加したものだ。

 もう1つ、エンジニアといえどもITとは関係ない非日常に身を置くことも、大きな刺激となる。つまり、普段は接することのない異質な文化や慣習に接したり、心を揺さぶる芸術作品に接することは、自分の思考に柔軟性と新たな視点を与えてくれる。たとえば海外で接するサービスからインスピレーションを得ることもあるかもしれない。あるいは、芸術作品がユーザーエクスペリエンスの参考になるかも知れない。

 さぁ、これがエンジニアの休み方だ。思いっきりハレの日を楽しもう。ピカピカに光り輝く休日を過ごそうではないか。

 それではみなさん、よい休日を!!

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コラムニスト プロフィール

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「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

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