いつも心は穏やかにと思っている私ですが……

あなたの会社にERPは必要ですか?

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 なかなか出口が見つからない不況の中、各企業では限られた予算額内でシステム整備を行うことが課題である。かつてITバブルの時代にはERP、SCM、CRMのような3文字アルファベットに踊らされていたが、今後はある程度大規模なシステムの導入については、それにより投資効果が見出せるものなのかどうか、慎重に検討する必要がある。

 企業が部門間にまたがるような大規模なシステムを採用するケースとして、次の2つが考えられる。

  • 今まで簡単なパッージソフトやExcel、Accessなどで業務を行っていたが、新システムを導入することによって合理化し、生産性を増大させたい
  • 今までホストを使って業務を行ってきたが、そのホストが老朽化したので、新たなシステムを導入したい

 全社的な新システムを導入するとなると、さらに2つの選択肢が考えられる。

  • 独自でシステムを開発する
  • 統合業務パッケージソフト、ERPパッケージとよばれるものを導入する

 ERPとはEnterprise Resource Planning の略であるが、どの企業でも適用できそうな業務をパッケージ化したもの、というのが実のところである。

 ERPの利点としては、さまざまな部門で扱うデータをデータベースで一元管理しているので部門間の業務連携がしやすく、いままで部門ごとに似たようなマスタデータを入力していたのが、1つの部署でマスタ入力することによって、二重入力などの業務の矛盾をなくせることだ。データベースはRDBMSが使われる。品番・品名テーブルなどは、受注データや在庫データなど多々のテーブルとSQL文で結合させられる。また、部門ごとで品名が食い違っているなどの業務上のトラブルを回避することができる。

 複雑な業務を要求される製造業では、受注、生産計画、在庫管理、資産管理をシステムに要求されるので、それらの業務をパッケージ化して一元管理するERPソフトの導入は検討する価値があると思う。製造業でもっとも重要なものは在庫管理である。

在庫管理の留意点

  • 受注を受けた製品が倉庫に存在するのか?
  • 製品を製造したいのだが原材料が倉庫に存在するのか?
  • 古い原材料や古い製造年月日の製品が倉庫に残らないようにする
  • 会計上、倉庫の製品、原材料の資産金額を算出する必要がある

 ほかにも、在庫管理についてはいろいろ気をつけなければならないことがたくさんある。逆に、在庫を持たない非製造業では、ERPは不要な場合が多い。SAPを導入していても、経理モジュールしか使っていないのでは、ERPを使っていることにならない。

 非製製造業でも、受発注や経理、人事などシステム化したほうがよい業務が存在するが、それほど大掛かりなシステムは要求されない。製造業でも製品の種類が極端に少ない場合は在庫の種類も少ないので町工場のようなところでは部品の確保のような問題があるが、ある部品が一定量以下になると発注するという発注点管理を行っていれば十分かもしれない。

  会社というものは、競争に打ち勝つために改善努力をするものだ。それにより同様の業務でもシステムの違いや変化が生じる。「パッケージを導入すれば効率がベストになる」という業務は、なかなかありえない話である。

業務パッケージソフトによって会社の成長がしばられてしまうのはまずい!

 業務パッケージソフトでも、どのような外部データの入出力機能があるかどうかも確認しておくと、将来的なシステム展開に役立つ。また、一度パッケージソフトを採用してしまうと、なかなかパッケージソフトから乗り換えられない。後々、ほかのパッケージソフトや独自システムに乗り換えたくなってもデータ移行できないと困るので、その点でもデータの出力機能が十分にあるか注意するべきであろう。

 パッケージはブラックボックスとなりやすい欠点があり、改良やカスタマイズには予想以上に費用がかかってしまう場合がある。さらにカスタマイズによってバージョンアップが困難になってしまうケースもある。その点、独自システムはデータベース構造やプログラムを仕様書で確認できるので透過性があり、最初は構築に費用がかかっても、のちのち改良が楽という面がある。

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