@IT自分戦略研究所 編集部が独断と愛によって選んだ「テーマ別コラム」をピックアップして紹介します。

よいプロマネになるための考具箱

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 本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。

 ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「プロマネ(PM)になる」。よいプロジェクトマネージャになるために必要な考え方、ノウハウについて紹介する。

PMがやるべき仕事を概観する

 まずは基本から。『新人PMの現場体験記』の安藤大輔氏が、「PMの仕事」について説明している。

 プロジェクトマネジメントは、「(1)目標(2)リソース(3)活動を管理し、プロジェクトを成功に導くこと」である。PMがすべき仕事は下記のとおりだ。

 (1)目標を管理する:システム開発には2つの目標がある。「社内業務のシステム化によるコスト削減」という顧客の目標と、「売上の達成」というSI企業の目標だ。これらを実現させるために、ステークホルダ間の調整や目標の再設定を行う。

 (2)リソースを管理する:プロジェクト目標を達成するために、必要なリソース(ヒト・モノ・カネ)を活用、管理する。

 (3)活動を管理する:プロジェクトの進ちょくを把握し、リスクの特定や対応、プロジェクトチームが気持ちよく活動できる環境を整備する。

PMの仕事は○○に似ている

 もう少し、PMの仕事について理解を深めよう。日常生活において、プロジェクトマネジメントのノウハウが使える場面は意外と多い。日々の生活で意識すれば、プロジェクトマネジメントを学べるのである。さっそく、「PMの仕事と○○は似ている」という例を3件紹介しよう。

●入院とプロジェクトマネジメント

 『It’s Party Time!』のあずK氏は、「父親の入退院とプロジェクトマネジメントが似ている」と語る。

 あずK氏の父親が入院したとき、たくさんのことを同時にこなさなければならなかった。入院費や交通費などのさまざまな費用を管理する。退院までにやるべきことをリスト化し、スケジュールを組む。どうしても都合がつかない場合は、親戚の手を借りる。入院して落ち込んでいる父親のメンタルに気を配る、など。

 プロジェクトを運営する側の仕事をとおして、あずK氏は「プロジェクトは1人で回るものではない」と気が付いたという。

●室内楽とプロジェクトマネジメント

 『オブリガート ~感謝されるテストエンジニアになる~』の第3バイオリン氏は「プロジェクトマネジメントと室内楽」の共通点について語っている。

 プロジェクトマネジメントと室内楽には、以下の共通点がある。

  • 演奏項目を決める=要件定義
  • 演奏会当日=納期
  • 曲の構成を理解する=設計
  • 演奏する=実装

 練習は、PDCAサイクルで回す。事前確認をして、実際に演奏してみる。問題点をチェックし、もう一度練習を再開する。演奏会実施までは、スケジュールやリスクの管理が必要だ。

 第3バイオリン氏の演奏会は無事に終了した。「今回の反省点を生かして、次回の演奏会とプロジェクトにつなげていきたい」という。

●引っ越しとプロジェクトマネジメント

 『結婚は人生の墓場となり得るのか?』のホリススム氏は「引っ越しプロジェクト」の様子を紹介している。

 仕事をしながらの引っ越しは、なかなか難易度が高い。ここで、ホリススム氏はPMBOKを参考にして引っ越し作業を行うことにした。プロジェクトを成功に導くために重要なのが「チームメンバーのモチベーション」だ。余裕のあるスケジュールが災いして、モチベーションは極度に低下していた。そのため、新たに追加要員を募集する窮地にまで追い込まれたのである。ピンチを迎えたかに見えたが、どうにか引っ越しプロジェクトは無事に終了した。今回のプロジェクトについて、ホリススム氏はQDCバランスを下記のように評価している。

現場からの提言「PMは頻繁にコミュニケーションを取るべき」

 次に、PMが持っておきたい考え方を紹介する。『下流から見たIT業界』の後藤和彦氏は、「頻繁なコミュニケーションを行えば、プロジェクトのプラスになる」と主張する。

 後藤氏は、「プログラマがお互いに意見を交換し、必要なときであればミーティングを行う開発現場が理想」と主張する。しかし、現実はそうではない。プログラマたちは黙々とコーディングをするばかりだ。

  コミュニケーションがない職場では、プロジェクトはうまく回らない。PMは、チームメンバーとのコミュニケーションを頻繁に行うべきである。進ちょく状況はもちろんだが、よいコードには賞賛の言葉を贈ろう。優秀なプログラマは、自分のコードに誇りを持っている。「PMは頻繁にプログラマの肩を叩き、声をかけてほしい」と、後藤氏は提案している。

「PMはコードを書け」「頭の中は常にプログラマであれ」

 最後に、ベテランPMからのアドバイスを紹介しよう。『ソフトウェア開発に幸せな未来はあるのか』のにゃん太郎氏の主張は明確だ。「PMもコードを書くべし!」。

 仕事に熱心なPMほど、顧客満足のために「ベスト」を尽くす。しかし、実際にプロジェクトを運営する場合は、ときに「ベター」を選択することも必要だ。そうでなければ、プロジェクトが回らずに火を噴くからである。PMは、チームメンバーへの配慮を忘れてはいけない。

 さらに、にゃん太郎氏は「PMはプログラミングスキルを磨け」と主張する。にゃん太郎氏が要件定義や設計をするとき、常に頭の中でロジックを考えているという。「やっていることはPMやSEでも、考えていることは常にプログラマ目線」なのだ。PMがきちんとコードを理解していれば、無理な設計をすることが減り、部下の要求にも答えやすくなる。

 「PMとして、常に楽することを考えている」というにゃん太郎氏のコラムには、多くのアドバイスが詰まっている。ぜひ、熟読してみてほしい。 

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