キャリア20年超。ずっとプログラマで生き延びている女のコラム。

質問できない新人への檄文

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 3月のお題は「新人/部下の教育」だそうです。

 その手の話題で炎上おこした身としては、なかなかビビるものがあるんですが(苦笑)。

 そこで、炎上の際にコラムのテーマからはずれる(とわたしは認識していた)ので、言及を避けていた「新人の質問のしかた」についてちょっと書いてみようかと思いつきました。

 なお、この記事に書かれている方法を実践してなんらかの不利益が生じても、当方、責任を取る気はまったくありません(笑)。

 まず、最初に言い切っちゃいますが、新人は自分から質問をするべきです。

 当然、相手がものすごく集中している様子の時とか、ばたばたしている時は避けるべきでしょうが、質問なければ自分の仕事が一歩も進まない、とかいう場面ではそれを躊躇すべきではありません。

 たまに「質問をすると怒られる」と言う人がいますが、わたしは社会人になってけっこう、長いですけど、「質問をしたから怒られている人」をみたことがありません。

 質問をした際に怒られた、という場合は、「質問をした」と「怒られている」以外のなんらかの要素が存在しています。

 「前に同じ質問をしていたから怒られた」とか、「もっとはやくに訊くべきことだったのに、それを遅らせて怒られた」とか、要するに質問したこと自体が怒られた原因ではないんです。

 怒られたことばかり気にかけて、怒られている内容を理解して改善するという行動をとらないと、いつまでたっても似たような理由で怒られ続けることになります。質問したことがトリガーになっているから質問そのものをしない、という理屈が正当であると信じるのであれば、その考えに従って行動すればよいことですが、その結果、先輩や会社からどういう扱いをされても不当ではありません。

 本当に質問をしたこと自体が理由なら、当然、先輩の方に非があります。けれど、そういった問題行動のある人は、まず教育係には任命されません。会社側だって、せっかく採用した新人にすぐに辞められては困りますからね。

 もし「質問をしたから怒られた」と感じたのなら、それ以外に問題がなかったかをよく考えてみてください。

 そして、どこが問題なのかがわからない時は、リーダーかマネージャに「こういうやりとりをしていて怒られた」と相談してみることをオススメします。

 自分に問題があるのならどういう点に気をつければいいのかアドバイスしてくれるはずですし、原因がわからない場合は質問相手の方に事情聴取にいってくれるはずです。

 二者間で冷戦が勃発する前に、第三者に調整を依頼しましょう。

 冷戦がはじまると、解決はかなり難しいことになってしまいます。

 それと、「なにがわからないのかわからないんだから、質問のしようがない」と言う人もいます。パニクっているのでそういう考えになるのかもしれませんが、冷静に考えて「質問のしようがない」という事態が仕事関係で発生することはまれです。

 質問のしかたに困った時は、とりあえず出発点を説明してみたらどうでしょうか。

 「昨日、頼まれた○○の件ですが、どこから片づけていいのかわかりません」とか「この仕様書に書かれているコンフィグファイルがわかりません」とか、どこが起点になっているのかを説明すれば、相手はだいたい察してくれるはずです。

 「どういう理由」(例:仕様書通りにプログラムをつくりたい)で「どういう問題」(例:コンフィグファイルがわからない)を解決したいのか。

 とりあえず、この二点だけを伝えて、問題の整理を相手に委ねてしまうというのも一手なのです。

 変に優等生な質問文を模索して時間を浪費するくらいなら、「困っているので助けが欲しい」とシンプルに伝えてみましょう。

 ところで、質問についての説明をきいている時に、頭の中が混乱することがありますね。

 せっかく説明してくれているのに話をさえぎるのはよくない、とか思っちゃって、ついうっかりうなずいちゃうことがありますけど、それはよくありません。結局、あとで同じ質問をするはめになって、かなり気まずい思いをします。

 そういう時は、率直に「すみません、ここまで説明していただいたことがちょっと混乱してきたので、整理して出直してきていいですか?」といった言い方をするのがいいんじゃないかと思います。

 質問をしなおす時、すでにアポをとってあるので、ちょっと気楽になります。

 先輩に時間の余裕がある場合は「どこでわからなくなった?」と言ってもらえることもあります。

 そういう時は遠慮なく、どこで混乱したのかを説明して、話をちょっと巻き戻してもらえばいいのです。

 その派生パターンで、説明をしてもらっていた時は理解できたつもりだったんだけど、席についてよく考えてみたらまたわからなくなってきた、という事態に遭遇することがあります。

 基本的に同じことを二度質問してはいけませんが、あやふやな状態なままでいるのはもっといけません。そういう場合は、「先ほど教えていただいた件なんですが」と最初っから自己申告してしまいましょう。

 同じことを質問してしまっているのはわかっています、ということを自供(?)しておけば、多少は態度もゆるくなります。

 それでも、どこまでは理解できていてどこからわからないのかを事前に説明して、同じことを説明させてしまう手間を少しでも減らすくらいの配慮はするべきですが。

 他の先輩に訊きにいく、という手もありますが、最初に尋ねた先輩がそれを知ってしまった場合に「おれの説明じゃわからなかったのかよ」とかいうことになってご機嫌を損ねるおそれがあるのでこっそりやりましょう(苦笑)。

 質問は大事です。

 会社における学習の基本は質問と言ってもいいくらいです。

 新人時代はどれだけ質問をしても「新人だからわからなくてもしかたない」と思ってもらえる幸せな期間です。

 その期間を有効活用しなきゃ損しますよ。

 まあ、マニュアルを調べればわかる程度のことを質問しない、というのは当然ですが。

 質問は一種のメッセージなんです。

 質問をする際に「自分は何がわかっていないのか」「何を知りたいのか」を素直に伝えてみましょう。

 それによって質問された方は、この子はこういうことが苦手でこういうことが得意でこういうことに興味を持っているんだなあ、と判断します。

 ですから、わからないのに質問しなかったり、わかってないのにわかりましたと言ってはいけません。

 そういう間違ったメッセージを発すると、後々、自分が苦しむことになります。

 新人が先輩に面倒をかけることを躊躇していては、なにもできません。

 この場合、重要なのは「迷惑」ではなく「面倒」をかけるということです。

 似ているようだけど、これはまったく違います。

 質問を受けることは「面倒」かもしれませんが、わからないままでトラブルを起こされると「迷惑」です。

 質問の相手をしてあげないといけない一年生は、確かにたまに「面倒」だったりしますけど、指示なしでは何もできない三年生に育ってしまうと本格的に「迷惑」です。

 「面倒」ですまされるうちに、どんどん質問してしまいましょうよ。

 余談ですが、わたしは新卒採用してもらった会社の入社式で「いつか必ず戦力になりますので、しばらく面倒みてください。よろしくお願いします」的なことを言って、「今年はおもしろい子が入ってきたなあ」と先輩方に大爆笑されました。その時はなんで笑われたのかがわからなかったんですが、どうやら「ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、よろしくお願いします」的な言い回しをするのが普通らしいんですね。社会人の第一歩目からはずしまくってたんだなあ、自分。

 閑話休題。

 「この子には技術を身につけたいという意欲がある」「この子は教えたことはちゃんと身につく子だ」と思ってもらえれば、先輩は喜んで質問に答えてくれるようになります。

 エンジニアというのは基本的に、自分が持っている技術を誰かに伝えたい、という気持ちを持っているものですから。

 うざい、とか思われちゃうのは、質問されることそのものではなくて、その成果が見えないとか、いかにもしかたなく質問しているという態度が見える時です。

 わたしが思うに、新人の頃の質問のしかたの基本ルールは「自分の状態を正直に伝えること」、そして、「むやみに相手の空気を読まないこと」です。

 ヘタに相手のことを勘ぐるから、しなくてもいい心配をして、ぐるぐるして、あげくに「質問をするのがこわい」とかいうことになります。

 自分の気持ちを素直に伝えること、相手の言葉をポジティブに受け止めること、質問して返ってきた答えをできるかぎりの努力で自分のものにすること。

 それを心がけていれば、質問を嫌がられる新人にはなりません。

 新人の皆さん。質問をして、答えを食べて、成長してください。

 それが先輩の望みなのです。

Comment(7)

コメント

インドリ

こんばんは。ひでみさん。
この記事、非常に良いと思います。
次は「質問の仕方」をコラムに書くとよいかと思います。
それは何故かといいますと、「最近の若い人は質問の仕方を知らない」という話しをよく聞くからです。
ひでみさんならば、新人達に対して、正しい質問の仕方を教えられると思います。

Soda

「質問の仕方」について細かく書かれているコラムだと思うのですが・・・(^^;

聞くことが恥ずかしくて、聞けない人。
プライドのために、聞けない人。
先輩が嫌いだから、聞けない人。
聞くとバカにされると思う人。

聞けない理由も沢山ありそうですね。
質問される立場から見れば、聞かない奴が悪いと思うでしょう。
でも、質問する立場から見れば、聞けるような雰囲気を作らない奴が悪いと思うでしょうねw
実際にそういう現場もあるんでしょう。

前のコラムの反応は、立場の違いが綺麗に二つにわかれたような印象でした。
互いに悪いのは相手だと思うのは、しかたがないですね。

聞いてわかるなら聞いたほうがいい。
わからないままでいるほうが、自分のためにならないと割り切ってもいいんじゃないかな?
・・・というか、わからないという状況が最悪だと考えれば、聞くことで損することはないとw

わかったふりをされるのが一番困りますね。
わからないのは教え方が悪かったせいかもしれないので、仕方が無いと思うことも多いと思いますが・・・
いや、わかったふりを最後までしててくれれば、まだマシなんだけど・・・
バレバレだとリアクションに困るというか・・・今まさにひでみさんが困ってないかなーと心配だったり(^^;

不幸なのは説明が下手な先輩だった時かなぁ。
わかりにくいので、何回も聞くことになるんだけど、それが原因で教えてくれなくなると(^^;
どちらも悪気はないんでしょうがね(^^;

ひでみ

こんばんわです。ひでみです。

インドリさん。

心構えとかではなく、さらに具体的なことを書いてみよう! ということでしょうか。
新人さんと先輩さんの性格や関係性でだいぶ違ってくると思うので、難易度が高いです。
これ以上のことは個別案件としてご相談ください、とか書いちゃってコメント欄が質問箱みたいになっても困りますしねえ。


Sodaさん。

> わかったふりをされるのが一番困りますね。
> わからないのは教え方が悪かったせいかもしれないので、仕方が無いと思うことも多いと思いますが・・・

そうなんですよ。この子はこういう説明のしかただとわかってもらえる、こういう説明のしかたでは通じない、というデータがとれないと、同じような失敗を繰り返しちゃうんですよ。で、成果があがらないと、両方ともくたびれてくるという。
だから、私に正確なデータをよこせ! と(笑)。

> 不幸なのは説明が下手な先輩だった時かなぁ。
> わかりにくいので、何回も聞くことになるんだけど、それが原因で教えてくれなくなると(^^;
> どちらも悪気はないんでしょうがね(^^;

なるほど、これは確かに両方とも悪くないのに、両方とも不幸になるパターンですね。
「先輩は説明が下手なんですよ」ということを先輩にうまく説明する方法が思いつきません(苦笑)。

インドリ

おはようございます。ひでみさん。


>L心構えとかではなく、さらに具体的なことを書いてみよう! ということでしょうか。

そうです。
と思ったのですが…


>新人さんと先輩さんの性格や関係性でだいぶ違ってくると思うので、難易度が高
>いです。
>これ以上のことは個別案件としてご相談ください、とか書いちゃってコメント欄
>が質問箱みたいになっても困りますしねえ。

確かに仰るとおりです。
そこまでは考えていなかったです。
失礼しました。

がると申します。
私は
> 「質問をしたから怒られている人」をみたことがありません。
見た事があります orz

とある会社さんに窺った時に見ていたのですが。
なんでも「会社は仕事をしに来るところであって勉強をしに来るところではないから、質問をしてはいけない」んだそうです orz
きちんと質問を持ち上げてくる、私の見解的には「よい新人さん」だったのですが。
彼はいきなり(今から冷静に考えると、かなりグレーな期間で)「契約を解除」されていました。理由は「質問のしすぎによって周囲の手が止まるから回りに迷惑をかけているから」だそうです。

私は「ソフトウェア職人気質―人を育て、システム開発を成功へと導くための重要キーワード」という書籍にある「人を育てる」という部分をとても大切に考えるので、上述のような見解は、根本的に理解不能ではあるのですが(そも、まがりなりにも「相応の職能」が要求されるお仕事において、仕事場でのトレーニングが存在しない、という事自体が「あり得ない」と思っているので)。
ただ、世の中には「教え教わる」事が「不要というよりももう一歩進んで罪悪だ」と考える人がいる人もいる事を書いておきたいなぁ、と思いましてコメントを書きました。

ひでみ

こんばんわです。ひでみです。

がるさん。

「契約を解除」ということは、その新人さんは契約社員だったりするんでしょうか?
契約社員だとすると、教育のコストをかけたくないから契約社員を使っているのに、なんで教育しなくちゃいけないんだ、という言い分もありそうな気はします。
ここらへんは、どういう認識でその新人さんを雇い入れたか、でだいぶ見解が違ってきますね。
もし「教育をしなくてもいい人だ」という認識で雇ったのなら、そう思わせた人物に非があるんじゃないかと思います。

「教える気がなくて雇った人が質問してきたから怒られた」といったところでしょうか。
そうだとしたらその新人さんにとってはかなり気の毒なことです。

もし、正社員だとしたらかなり解せない話です。ていうか、犯罪的……。

がるです。
返信有難うございます。

たしか、その新人さんは契約社員だったと記憶しています。
> 契約社員だとすると、教育のコストをかけたくないから契約社員を使っているのに、なんで教育しなくちゃいけないんだ、という言い分もありそうな気はします。
なるほど…確かに一つ、ありそうな見解ではありますね。

ただ、私はあまりそのように思っていなかったりもするのですが。
理由としては
・「出来ない」事がわかっているから、ある程度安い金額で雇い入れている
という部分が一つ。
そうしてそれ以上に
・どうせなら(無理のない程度に)教育したほうが、会社に居着いてくれる確率も上がるし(同じ金額で)より色々出来るようになるし
という利点もあると思っています。
# ちなみに。私がやっていたのは「1回5分」の教育*1日に3回、程度でした。

まぁ…この辺は「派遣問題」とかその辺にもつながるのかなぁ、とか、少し考えてしまったりします。
私はそれ以前に「雇用契約の種別を問わず。仲間なんだから助け合おうよ」って思うだけなのですが。

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