九州のベンチャー企業で、システム屋をやっております。「共創」「サービス」「IT」がテーマです。

システムと業務の微妙な関係

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 システムを導入して、ビシバシ業務を効率化して、投資対効果を求めて、というのが一般的な考え方です。しかし、いろいろなお客様とお会いすると、目からウロコが飛び出すような発言をされるお客様と出会う機会があります。その様な発言を少しご紹介したいと思います。

○安全計画書

 工事を請負う会社さんの中には、安全計画書なるものの提出を発注者から求められる事があります。多くの安全計画書は、ExcelやWordで作成されており定型で、その中の工事件名や工期、担当者などだけが変わっているという代物です。したがって工事の担当者は原本の安全計画書をもっており、請負った工事に応じて該当箇所のみを修正し印刷、押印して発注者へ提出します。

 工事システムなどを提案した際には、これが自動で出力できるようになるので、手間が省けると結構喜ばれます。

ところがその機能をみた、とある工事会社常務さんの発言。

 「昔は工事の度にに手書きで作成していた。だから否が応でも内容が頭の中に入っていた。それがパソコンが普及し一部を修正するだけになり、今度はシステム化され自動で出力される。内容に目を通す者はいなくなるだろう。だとしたら、安全計画書は何のために作成するのだろうか?」

 しばらく考えられ、さらにもう一言。

 「そうか。業務をシステム化するということは、便利さの代わりに安全をどう担保するかを考えることなんだな」

 脱帽です。

○最終検収

 発注管理システムを使っていただくお客様の中には、出来高精算という業務処理が発生します。

年間でどれだけの量が発生するか分からない際に、取敢えず予定数で発注しておき、毎月発生した分の数量を月々検収し、最後に当初発注分と検収総額の差額を設計変更として再度発注しなおす、という業務処理です。

この業務処理、ミソは最終検収月で、最終検収を行わないと当初発注金額と検収総額の差(設計変更分の発注金額)が分かりません。すなわちシステム化すると、最終検収後に設計変更という流れになってしまうのです。

従って、最終検収後に設計変更を行う機能を提案したところ、発注担当の方から苦渋の表情で却下されました。

 「確かに、そのやり方の方が、現場は楽になるという事は重々分かっています。でも、それを認めてしまうと仕事が終わった後に、発注、ということとなりコンプライアンス上問題になってしまいます。だからその機能を認める訳にはいかないのです」

 ため息交じりに、さらにもう一言。

「説明会の際には猛反発されるのだろうなぁ」

 プロです。

○最後に残念な発言も…

 その会社さんは業務のシステム化を機に、コンプライアンス向上の為、承認機能強化しました。そのためシステムでの承認処理が増え、現場は不満タラタラ。もっと承認が楽にならないのか、という現場の意見に言い放った担当者の一言。

 「このシステムでは、できません」

 システムのせいにすな!

Comment(2)

コメント

nsh1960@twitter

>> 現場の意見に言い放った担当者/発注担当の方/工事の担当者/その中の工事件名や工期、担当者など

文中の登場と逆順に抜き出しましたが、筆者コラムニストにとってお客様は「発注担当の方」で残りはジョイントベンチャーの協働社か自社かはさておいて仕事上発注元ではなく自分の側の同一人物、ということで合ってますか?分かりにくかった(というか別のいい回しで記述してくれてたらよかったのに)

山無駄

どうも nsh1960@twitter 様

ご指摘ありがとうございます。確かに、すこし分かりづらかったですね。申し訳ございません。
本文の修正はのちほどとして、当コメントで少しフォローさせていただきます。

本稿では、あくまでの鋭いお客様とのエピソードが趣旨でしたので、我々(システムを構築する側)の事は登場していません。各タイトルがそれぞれ個別のエピソードになっているとご理解ください。
したがって「安全計画書」「最終検収」「最後に残念な発言も」ともに、それぞれお客さまも違いますし、システムも異なります。

特に分かりづらいのが、「最終検収」の段ではないかと思います。ここに出てきている発注担当者とは、その会社の資材部署の担当者の事で、資材発注システムを導入した際にその方と仕様や機能を詰めさせていただきました。また現場とは、その資材発注システムを利用する資材部以外の部署のユーザの方々を指し、資材発注システムを資材部が導入し、他の部署のユーザに使わせる、という構図になっております。

その辺りの経緯を端折って、発注担当者や現場などの言葉を使ったたために混乱させてしまったかと思います。申し訳ございません。言葉足らずでした。

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