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想定外の想定

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 今ほど、「想定外」という言葉を耳にすることはこれまでなかったでしょう。

 しかし、ある人が言っていました。

 「想定外、という思考停止を認めていいのか?」

 この人の言い分はこうです。

 「高さ10メートルの津波を想定した発電所では、皆で一所懸命10メートルの波に備えた発電所をつくるだろう。その時に、もし10メートル以上の波が来たらどうなるのか? という議論はされているのだろうか?10メートルと想定したとたん、皆、それ以上の事は起こらない、もしくは考えても仕方がないと思考停止に陥ってしまうのではないだろうか? 諦める、という結論になるかもしないが、想定外のことも想定しておく必要があるのではないか」

 発電所の建設時に10メートル以上の波が来ることを想定していたのか、思考停止に陥ったのかはわかりませんが、おそらく、設計書になった段階で10メートルを想定した結果しか残らない、というのが実態に近いのではないかと思います。

 もしかすると、誰かは10メートル以上の波が来ることを想像していたかもしれません。その時の対処は設備ではなく、運用であり、経営であり、行政だったかもしれません。しかし「10メートル」という数字を「想定」しなければ設備の設計はできず、設計ができなければ建設することはできません。

 しかし「10メートル」という数字を「想定」したとたん「10メートル以上」は「想像」になってしまい、後世に伝わらなくなってしまう。

 これが現在の人工物が抱える危うさであり、設計時のコンテキストを如何に残し、伝え、広げるかが今後の大きな命題であると思えてなりません。

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