「人に嫌われているかも」と悩んだときの処方箋
===2010年 6月のお題「人生の1冊、心に残った名言」 ===
このお題に答えたいので、お題に沿った記事を書きたいと思います。
といっても、あるフレーズが、僕の心の中にずっと残っていただけであって、「人生の1冊」とまでは言えないのですが。1回捨ててしまいましたし(今回の記事を書くにあたり、ブックオフで中古本を買いなおして読み直しました)。
捨てた理由は、いろいろありまして。当時、大流行した本なので、数年後に「もういいかな」と思ったから。本のタイトルや内容がアレなだけに、いつまでも保管するのは、ちょっと……と思ったから。などなどです。
で、その本は何かといいますと、故 飯島愛著『プラトニック・セックス』です。
■愛情に飢えた少女の半生記
この本は、今から10年ほど前に出版された、彼女の半生記です。子供のころからスパルタ教育を受けた彼女は「自分は両親から愛されていない」と感じるようになります。「こんな家、出ていってやる」。そう思うようになった彼女は、中学に入ると家出をするようになります。家出をしては補導されて帰宅の繰り返し。ついには、愛する男性の下へ転がり込み、自宅へは戻らなくなります。
その後、夜の街に魅了され、毎晩のように遊んだり、棲家を転々としたり、男性からの愛情を強く求めたりする生活。遊ぶためや海外へ行くためのお金欲しさに、好きでもない男性と一夜を共にしたり、AV女優としてデビューしたり。AV女優デビューがきっかけで芸能界デビューを果たし、一躍有名人になる、そんな彼女の半生記です。かなり生々しい表現も書かれているため、苦手な人は苦手かもしれません。
この本がベストセラーになってからの彼女は、テレビでも知的な部分を見せるようになり、芸能界の姐御的存在として、ファンや共演者から親しまれる存在になりました。しかし、2008年の末に急逝。彼女の心には深い闇を持っていたのでは、などというような考察もされていますが、死の真相は闇の中。ただただ、彼女のご冥福をお祈りするばかりです。
■心に残った、ラストの一言
今回のコラムの本題に戻ります。
子どものころは両親の愛情を感じられなかった彼女。小説の終盤、精神的にも大人になった彼女は、自分が子どもだったころの両親の苦悩、ならびに愛情に気づきます。それに気づいた彼女は、両親と和解し、お互いを認め合う存在になりました。
そして、小説の最後の一節に、こう書かれています。
「わたしは遠回りをして、家族や恋人や友達の大切さを知った。愛されていることを実感できる人は、他人を愛することができる。わたしに大切なのは愛することだ」
この言葉が、10年経った今でも心に残っています。
■嫌われていると感じたら……
この本を読んでいたころの僕は大学生。コミュニケーションスキルに難がある僕ですが(苦笑)、昔はいま以上に人とのコミュニケーションができず、人間関係に悩んでいました。にも関わらず、相手が頭に来るようなことを平気で言ってしまうような尖った部分もあり、人間関係がうまくいかないのは自分の性格にも問題があることを自覚していました。そんな中で、小説のこの部分を読んだときに、深く心に突き刺さりましたし、いろいろと考えさせられました。
例えば、職場でも苦手な社員さんというのは、誰でも1人はいるかと思います。「なんで、この人は他の社員には優しいのに、自分にだけ冷たい態度を取るんだろう」とか、「この先輩は僕の真ん前の席だというのに、毎回、作業指示をメールで送ってくるのは僕としゃべりたくないからなのだろうか」とか。僕にもそういう経験がありました。その度に、愚痴を言うなどしてしまうのですが、冷静になって小説の言葉を思い出し、
「あの人、絶対僕を嫌ってると感じてしまったけど、実は僕の方があの人に対して心を閉ざしていないだろうか」
と考えるようにしています。相手は本当に僕を嫌っているかもしれません。しかし、それは僕の被害妄想かもしれません。相手にとっては何気ない言動なのに、僕が勝手に変な解釈をして勝手に心を閉ざしているのかなあ、と、自己反省するようにしています。自分から話しかけると大概、普通に接してもらえているので、僕の不安は杞憂でしかないのですが。
仕事ですから、誰々を好きだ嫌いだとは言っていられないのは確かで、仕事上では我慢するというのも手かもしれません。でも、少しでも皆が気持ちよく働くために、良好な人間関係は重要だと思います。
もし、誰かに嫌われているのではないか、と感じたら、それは逆に自分が相手を苦手な存在だと思っていないかと反省し、その相手と対話することが大事なのではないでしょうか。もちろん、相手が生理的に嫌いで無理無理無理っていうこともあるとは思いますが……。
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次回からは、WACATEレポートを数回に分けて更新していく予定です。
コメント
しっぱ
こんにちは。しっぱと申します。
いいお話ありがとうございます。
苦手意識を持っている人ほど自分から近づいてみると以外に仲良くなれたりするものですよね。
まあ、ある意味自分に似ている人(嫌な部分がとかですがw)に対して苦手意識を持つことはよくあることですしねw
「嫌われてるかも」って思う前に自分を見直すこと。やっているようでいつの間にか忘れてしまっている大事なこと。
渡井自身見つめなおすよい機会になりました!
しっぱ
連投失礼いたします。
>渡井自身見つめなおすよい機会になりました!
私自身でした・・・
失礼いたしました。
あずK
しっぱさん>
コメントありがとうございます。
> 苦手意識を持っている人ほど自分から近づいてみると以外に仲良くなれたりするものですよね。
先日WACATEに参加したときも経験しました。
ちょっと話しただけなのに「僕、この人苦手だわ」と思ってしまった人と
もっと色々と話をしたら仲良くなれました。
相手のリアクションを見てるとどうも僕を嫌ってるっぽい。
だから僕、この人苦手だわ。
そう思いがちですが、話してみたら、そうでもないんですよね。
「僕、この人苦手だわ」と思ってしまう気持ちが
更に相手との心の距離を離してしまうので、今後も気をつけたいと思います。
> いいお話ありがとうございます。
(中略)
> 私自身見つめなおすよい機会になりました!
そう言って頂けて嬉しいです。書いてよかったなと思います。
ありがとうございました^^