いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

SESがクソなのは分かった。で、どうするんよ?

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SESとはなんぞや

ようはIT業界で人売りしてドナドナやってるアレです。私が説明するよりも、こちらの記事とブログを読んでください。

IT業界の仕組みと偽装請負の闇を分かりやすく解説しよう

残業ゼロのIT企業アクシア社長ブログ

私よりも実績があり、SESの会社を経営していた人が書いているので、信頼性が高いです。SESは以前からクソな仕組みとは思っていたが、きちんと名前があってどういうものか説明してくれているのでありがたい。

最近、ネットを見ていてもSESという言葉をよく見かけるようになってきた。こちらのブログの社長さんの功績でしょうか。だとしたら凄いです。スティーブジョブズのような露骨な話題性はないが、世の中に変化をもたらしたということだ。これは素晴らしいことです。

SESで働いている方であれば、何がどうまずいかは何となくは理解していることでしょう。しかし、具体的に何が問題なのか、そもそも、その業態の呼び名さえも知らない方もまだいるようだ。エンジニアとは呼べないようなていたらくでエンジニアを語れるのもSESのおかげだ。日本のITのレベルが低いのも、SESのようなやり方が通じてしまうからでしょう。

ブログを読めばSESについて分かりやすく説明されている。ただ、理解できたとして受け入れられるかどうかはそれぞれだ。見出しから三行を読んで拒絶反応を起こす人もいるでしょう。タイトルを見て発作を起こしTwitterでクソリプ飛ばしまくる人もいるかもしれません。ただ、受け入れようと受け入れまいとこれが事実だ。クソリプで事実は覆らない。

残業ゼロはユートピアへの片道切符ではない

正直なところ、アクシアの社長さんのブログを読んで、私もアクシアで働きたいと思った。ただ、よくよく考えてみると世の中はそんなに甘くはない。この残業万歳の狂った世の中で、クソ案件をバッサリ切り落としてキチンと利益を上げるということがどういうことなのか。ある程度の知性を持ち備えた人であれば理解できるはずだ。そう。この社長さんはズバ抜けて能力が高いということだ。

残業無しの定時で帰ると言っても、SESで働いている人には相当厳しい現実を突きつけられる。少なくとも、無能な客やクソマネージャに「Yes」でご機嫌を得ているような人では、残業無しで案件をこなす能力は無い。そう断言できる。クソなものにはクソと、エビデンスを添えて突きつけて改善策まで提示できるくらいの人でなければ、残業無しで結果を出すなど無理だろう。

クソに巻かれればクソになる。SESで働いている人はそれを自覚しよう。残業無しな会社がメジャーになっても、自然とみんなが幸せになるほど現実は甘くない。SESでヘラヘラと仕事をしてた人はIT業界から淘汰される。周りの環境が進歩したとして、自分が進歩するかどうかは別問題だ。周りに合わせて自分も勝手に成長すると考えるのは甘すぎる。それが嫌なら、くだらない社内の政治ゴッコに奔走せずに技術を磨こう。

結局のところ、ろくに考えずにお金を稼ぎたい人が多いからSESみたいなクソな仕組みが通用してしまう。エンジニアとして相応のスキルを磨かなければ、まともな仕事をやっている会社では通用しない。ITで開発の仕事をしていて「プログラミングのスキルなんて必要ない」なんて無知なことを言っている人は、状況が変化したとき悲惨な待遇が待っていることだろう。

そんな私はSES

そんな私もSESにどっぷりだ。ちなみに、アクシアの社長さんのブログでは、SESの泥沼から抜ける方法として、「自分の成果物を公表して自社開発やってる会社へ転職」というのを挙げている。実のところ私もこれをやった。勉強会などで積極的に登壇したり、コラムを書いたりして情報発信をした。それをきっかけに自社開発をやっている会社からオファーが何回か来て、実際に働いたこともある。

だが現実は厳しかった。自社開発だろうが炎上しているところは炎上している。また、自社開発は小規模から中規模の案件で業務が回っている傾向が強い。行政機関や金融機関、その他大規模なプロジェクトは、SESにどっぷり依存した大企業で受注していることがほとんどだ。そういう大企業経由のSESで鍛えたスキルと、自社開発をやっている会社で求められるスキルの質には大きな開きがあった。

特に、インフラで言えばWindows系、開発でいうならJavaにどっぷりな人は厳しいと思う。Windows系は基本的に金がかかるので、自社開発をやっている会社でWindowsはあまり聞かない。アクシアの社長さんのブログに書いてあるが「ちなみにJavaがメインの求人企業は今のところ1件もありません。」です。SESで求められるスキルと明らかにベクトルが違う。また、問題解決に対する考え方も大きく違う。ここら辺は経験しないとなかなか分からない。

キャリアをしっかり考えて勉強すれば解決するのか。これに関してはその人次第だと思う。基本的に、今まで仕事で積み重ねたものを全部捨てて更地からの挑戦と思った方がいい。言うほど簡単じゃない。そんなことで、結局私は自社開発に転職してミスマッチでSESに戻った。あと付け加えておくが、私の場合はSESで働いてた方が経歴のアドバンテージが活きて給料が高い。単純に自社開発の会社に行けば幸せになれるという訳でもない。

そして私がとったアプローチ

まず、SESから自社開発の会社に転職したいと思うなら、以下の四つを忘れないで欲しい。

1. 自社開発でもクソなとこはクソだ

2. 自社開発だからといって給料が上がる保証は無い

3. SESから自社開発の会社に行くにはプライベートの時間でスキルの積み直しが必要

4. 転職後もスキルの積み直しが必要

転職の成功例は華々しく紹介されるが、実際は私のような失敗例もかなりあるようだ。転職を考えるなら博打的な要素は避けられない。キチンと理屈で説明できて成功確実なやり方など存在しない。本来であれば仕事も同じだが、リスクを覚悟の上での選択をしなければ何も得られない。どんなに情報を集めようとリスクをゼロにはできない。

SESの業態はきっぱり否定する。しかし、他に行けばパラダイスという訳でもない。なので、フォーカスを「アフター SESの世界」に照準を合わせている。この先、SESが衰退するのは確実だろう。ただし、衰退した後に多くの負の遺産を残すことだろう。その、負の遺産に対応できる技術を今から考えるという、かなりファンタジーなことを私はやっている。かなり狂った発想だと思っている。発想の起点が一般的な技術者と違うので、なかなか話が合わずに苦労している。

SESという狂った仕組みに対抗するには、こちらも狂気をもって対抗するしかない。アクシアの社長さんも、「無茶をいう乞客は断る」という一般的な企業からすると狂気とも言える離れ業をやってのけている。SESに携わるエンジニアも、自分の抱える問題をどうにかしたいなら、そのくらいの離れ業をやってのけないと乗り越えられないんじゃないかと思う。

このコラムで何が言いたいか。アクシアの社長さんのブログを一度は読んでおこうというのが一つ。10月のOSC東京で私が登壇する予定です。狂気の一端をエンターテイメントとして聞きたい方、ぜひ来てくださいという宣伝。この二つです。

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コメント

仲澤@失業者

長年ソフトウエア技術者をやっていると感じるのですが、
大昔(1990年代頃)は大変に困難だった事が、今ではきわめて簡単にできてしまうというのがあります。


それは「自分の作ったアプリケーションを世界に販売(または頒布)する」ということなのですね。
現在ではソフトウエアに限ったことではありませんが、ソフトには次のような特徴があります。


1.せいぜい10数万のPCが必要なだけ(まぁ通信費はかかりますが、もはや電気代と同列)
2.開発環境(コンパイラ等)やツール類がほぼ無料。
3.材料費が無料(自身の人件費だけ)。
4.商品の運搬費が無料(アプリケーションには物理的な体積も重量も無い)。
5.AppleやGooglが、かってに陳列して、かってに売ってくれる(楽だ)。
6.潜在的対象ユーザーが数十億人もいる。


といった面を考えると、ソフトウエア技術者は最も有利な立場にあると考えています。


若い頃に思い描いていた夢でもあったのですが、自分も数年前から自身で作ったアプリケーションを世界に発信しました。
現在、アクティブユーザーは18000端末程度ですが、日本専用向けなのに東南アジアや欧米に数千人のユーザーがいてくれてます。
ただし、心労も増えてしまいました。
なにせ、世界中から改善提案や苦情がとどいちゃうのですね。これはちとまいりますけど。


ソフトウエア技術者なら、クソ仕事の合間に挑戦してみて損はないと思うのですが。
どうなんですかね。

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