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趣味で作ったバイナリエディタが、仕事になった

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大変ご無沙汰しています。50代になって、体力が落ちたなと感じることも増えましたが、なんとか生きています。

それにしても、今年の夏も灼熱でしたね。暑さに体力を持っていかれるのは、なかなかこたえます。

先日は、IPAの試験会場の下見で、金沢工業大学(KIT)に行ってきました。大学で若者たちの姿を見ると、自分もまだ何かできそうな気になります。少しパワーをもらいました。

とはいえ、元気をもらったからといって、体力まで回復するわけではありません。そこは別の話です。

さて、しばらく更新していなかった間に、少し面白いことがありました。今年の春、趣味で作ったWindows用のバイナリエディタがバズったのです。

バイナリエディタですよ。

ファイルの中身を16進数で表示して、直接書き換えるためのソフトです。ふつうのテキストエディタで開いても読めないファイルを調べたり、データの並びを確認したりするときに使います。プログラマにはおなじみですが、パソコンを使う人が全員必要とするようなものではありません。

そんな地味なソフトが、思いのほか注目されました。長くプログラムを書いていても、こういうことは予想できないものですね。

もともとは趣味で始めた開発ですから、売れる商品を企画して、狙いどおりにヒットさせたという話ではありません。そういう立派な話ができればよいのですが、残念ながら違います。作ったものが注目されて、そのあとで、さてどうしようかと考えることになりました。

■趣味の続きを、どうやって続けるか

趣味でソフトを作っていると、時間の使い方は自分で決められます。気が向いたら作る。別のことが面白くなれば、そちらに時間を使う。自分しか使わないのであれば、それで困る人はいません。

ところが、使ってくれる人が増えると、少し事情が変わってきます。

作った本人にとっては、いくつもあるプログラムの一つかもしれません。しかし、使う人にとっては、そのとき必要な道具です。日々の作業に使っているのであれば、作者が飽きたから開発終了、では困るでしょう。

もちろん、趣味の作者に、いつまでも無償で面倒を見ろと要求するのも違うと思います。ソフトは食事をしませんが、作っている人間は食事をします。電気代もかかるし、開発に使う時間もどこかから捻出しなければなりません。

そこで、いまは事業として、このバイナリエディタの開発に取り組んでいます。開発を継続するためです。

趣味を仕事にすると、好きだったものが嫌いになるという話もあります。たしかに、好きな部分だけやっていればよいわけではなくなります。ただ、私の場合は、続けたいから仕事として扱うことにしました。空いた時間だけで何とかしようとすると、結局、ほかの仕事を優先して後回しになってしまいます。

事業ならば、開発に時間を使う理由ができます。その時間に見合う売上を作る必要もあります。自分で自分に仕事を発注しているようなものですね。発注する側も、実装して悩む側も、同じおっさんです。

■バイナリエディタが海外で売れる

ソフトはMicrosoft Storeで配信しています。Windowsのアプリを入手できるストアです。

これが、地味に売れています。

バズったと書くと、ものすごい売上になったように聞こえるかもしれませんが、注目されることと、お金を払って買ってもらうことは別です。話題になった人数を、そのままお客さんの数として数えることはできません。

それでも、自分で作ったソフトにお金を払ってくれる人がいる。これは嬉しいものです。見て終わりではなく、自分のパソコンに入れて使う道具として選んでもらえたわけですから。

さらに、日本だけではなく、海外での販売実績もでています。ありがいことです。

自分が作ったソフトを、どこか別の国の人が使っている。頭では分かっていても、実際に売れたとなると、ちょっと不思議な感じがします。手元のパソコンで開発しているソフトが、海の向こうでも使われているのです。

バイナリデータは、日本で見ても海外で見てもバイナリデータです。0Aは0Aで、FFはFF。16進数の並びに国境はないのだなと、妙なところで納得しました。ただし、操作の説明まで16進数で済むわけではないので、そのへんは別に考える必要があります。

売上があると、開発を続けるという話も、気持ちだけではなくなります。時間を使って改良し、その結果をまた使ってもらう。まだ先のことは分かりませんが、少なくとも、そういうやり方で続けてみようと思えるところまでは来ました。

■開発環境は新しくなっても

開発にはVisual Studio 2026、略してVS2026を使っています。ソースコードを書き、実行して、動作を調べるための開発環境です。

昔からプログラムを書いている人間としては、「2026」という数字が開発環境の名前に付いているだけで、ずいぶん遠くまで来たなと思います。自分の年齢も増えているので、数字に驚いている場合ではないのですが。

道具が新しくなっても、プログラムを作るときに考えることは、案外変わりません。どういうデータを扱うのか。どこまでが正しい入力なのか。おかしな値が来たら、どう動くのか。見た目を作って動かすだけなら気分がよいですが、そのあとが長いです。

たとえば、ファイルの最後まで来たら、その先にはデータがありません。しかし、画面の上では、もう一つ先の場所を選べそうに見えるかもしれない。では、そこでキーを押されたらどうするのか。こういう小さな話が、実際には小さくありません。

バイナリエディタは、ファイルの中身を書き換える道具です。表示がおかしいだけでも困りますが、保存した内容がおかしくなっていたら、もっと困ります。派手な機能を増やす前に、ふつうに使ったときに、ふつうに動くことを確認する。書くと当たり前ですが、この当たり前を積み重ねるのが開発なのだと思います。

以前から、Linuxカーネルや組み込みソフトウェアのような、表からは見えにくい部分に関わってきました。バイナリエディタも、ふだんは見えないファイルの中身を見るための道具です。扱うものは変わっても、結局こういうところが好きなのかもしれません。

画面に並んだ数字を眺めて、何が入っているのか考える。分かったところで、知らない人からすれば「それで?」という話でしょう。でも、作っている本人は面白い。趣味で始めた理由としては、それで十分だったと思います。

50代になって、いつまでこんなことをやっているのだろうと思うこともあります。体力は落ちていますし、気合いで全部乗り切れるとは思っていません。若い頃と同じやり方を続けるのは、そろそろ無理があるのでしょう。

ただ、だからといって、新しいものを作らなくなるのも寂しいです。春に作ったソフトが注目されて、いまは事業として開発している。年齢だけを理由に手を止めていたら、この話はなかったはずです。

大学で若者たちを見て、これからいろいろなものを作るのだろうなと思いました。こちらも、まだ作りたいものがあります。ひとまず目の前のバイナリエディタを、ちゃんと続けていきたいです。

ホームページ
https://yutakasan.11ya.net/
エックス
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