筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

傷ついた翼

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 僕を、航空機のパイロットに例えれば、僕は18歳から39歳まで、21年間の飛行経験を持つ。いつも何度も倒されて起き上がっては、全力で生きてきた。そういう訳なので、ここいらで、ちょっと小休止をしたい。尼崎市保健所に言われた。「田所さんは今度、精神2級になりましたよ」と……。資格試験や介護生活の何もかもを頑張りすぎたため、障害等級がワンランクアップしてしまったのだ。これではいけない。このままではいけない。この人生に、小休止が必要だ。

【人生の踊り場で小休止】

 常日頃、頭痛がするので、SG顆粒(医療用のセデス・ハイ)を呑む。呑むと眠れないので、ショートスリープ型の睡眠薬、レンドルミンを呑む。夜中、ふと目が覚めて、レンドルミンの効き目がなくなると、今度は頭痛がするのでSG顆粒を呑む。SG顆粒を呑むと、成分に含まれるカフェインで眠れないので、またレンドルミンを呑む……まず、この悪循環を絶たなければならない。

 近所の庶民スーパーで、背広を新調した。夏物と、合い物。2パンツスーツだ。もちろんオーダーできるだけのカネはないので、既製服だ。それから、楽天市場で、長年使ってきた腕時計に代わって、セイコーの逆輸入品を購入した。数千円ちょっとでも、一応クロノグラフだ。齢(よわい)40も近い男が、ホームセンターで売っているような、安価な腕時計をしているのは、考えてもおかしい話だ。また、よく歩けるよう、某通販の、アイグリップウォーカーという紳士靴を購入した。本当かどうか知らないが、歩けば歩くほど、頭脳に効くそうだ。

 人生の踊り場で、小休止しようじゃないか。そう思った。このようにして、生活のベーシックな部分を、徐々に立て直す。身の丈に合わなくなった背広をタンスにしまい、靴を、また、時計を新調し、戦闘員(会社員)にはまだ加わらないが、せめて戦闘服(背広)だけでも、いつ戦闘員(会社員)になってもおかしくないように、今のうちに整えておきたい。そう思うのだった。

【まつりばやし】

 中島みゆきの歌の中に「まつりばやし」という曲がある(goo音楽・歌詞)。幸いにして、僕はまだ死んではいないが、もはや精神的には死に体と同じようなものだ。

 人は時として、身体的、精神的なアクシデントによって、いわば「まつりばやし」(社会生活)に参加出来なくなる時が訪れる。どんなに紅い花が揺れても「まつりばやし」に参加できなくなる時が訪れる。父親が45歳で心筋梗塞になったように。また、祖父が56歳の若さで脳溢血で亡くなったように。幸いにして僕は、命に別状はなかったのだが、世の中が神経症的になるにつれ、僕も神経症をこじらせたのだった。

 でも、僕はまだ諦めてはいない。これだけは誓う。僕は、いつの日か再び「まつりばやし」の中に、至極、まっとうな形で復活する。現在の状態は、いわば「心の風邪」なのだ。今はただ、よく眠ろう。よく休もう。誰にも邪魔されずに、好きな音楽を聴き、好きな小説を読み、これまでの戦いの傷を癒すのだ。そう思うのだった。

【神様がくれたプチ・リタイア】

 これは、天の神様か誰かは知らないが、もし、そういう存在があるとするならば、その神様とやらが、僕の寿命を延ばすためにとった「粋な配慮」だと考えてはどうだろうか。身体に深刻なアクシデントが来る前に、誰かが僕のブレーカーを落としてくれたのだ。誰かが僕のヒューズを切ってくれたのだ。このまま暴走して、命が取り返しの付かない事になる前に「粋な配慮」をしてくれたのだ。そう思いたい。

 レーシングカーだって、周回の途中でピットインする。それこそ、航空機だって、定期的なメンテナンスをする。この時間は無駄ではなく、神様がくれたプチ・リタイアだと思って、ここは、焦る気持ちを我慢するしかなさそうだ。

【有効求人倍率と失業率は】

 折しも、有効求人倍率、0.42倍。完全失業率、5.7%(2009年7月の統計)。つまり、この国では、仕事量に対して、会社員が飽和しているのだ。そうして、完全失業者が約359万人。つまり、横浜市の人口が全体で約367万人(2009年8月の統計)なので、全国で、およそ横浜市1市分の人口に匹敵する雇用が、消えてなくなった計算になる。むしろ、いま会社員でいられることの方が、ある意味ラッキーともいえる。

 いや、組織全体の仕事量が同じだとすると、減らされた会社員が解雇されたことによって、残された会社員、約6270万人に、何らかのしわ寄せが来ているのかも知れない。なので、会社員でいることの方がアンラッキーとも言えるのだろう。そうして、年間約3万人が、貧困や過労の自殺で命を落としている。

ご参考:NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/keiki/shitugy/

(今後も不定期に、思索と模索は続きます)

Comment(2)

コメント

組長

お久しゅうございます。

以前、わたしの現場で休職された方がおられました。奇しくも同じ39歳。その人が言ったのですが、自分の年齢を3で割ると、人生時間が分かる、と。

当時27歳だった私。27割る3で、9となります。これは午前9時を意味するのだそうです。普段の生活時間の中では、やっと「さー、仕事始めるぞ!」という時間帯です。と、いうことは、人生における27歳というのは、「ようやく、これから仕事を始めるお年頃=ようやく一人前に自分の仕事を出来るようになる年齢」ということになります。

その考え方で行くと、39歳は12時ということになります。12時って後半に備えて、お昼休憩を取る時間帯ですよね?ということは、39歳というのは、人生の後半に備えて力を蓄え更なる活躍をするべく小休止する年齢だ、ということになります。だから、その方は、ご自分が休職することになった事実を「自分の人生に必要な時間だ」と前向きに捉えるよう努力している、と言っておられました。

私のような、お気楽な小娘が軽々しく言えることではありませんが、人生の小休止は必要だと思います・・・。

組長さん、お久しぶりでございます。稲造です。

「小説大好き!!」の総支配人を引退し、「小説家になろう」グループへ吸収されることになりました。引退はもうすぐでしょう。

39歳はお昼休み……そう考えると、気が楽になりますね。お昼休みに何をするかですが、再び、放送大学に(奨学金次第で)行くことになりそうです。阪急六甲の神戸大学がスクーリングの場所なのですが。高校も通信制、大学も通信制。

政治経済の単位を取って、政治家にでもなるかあ(苦笑)なんてね。冗談ですよ。でも、何らかの機会があれば、再び首都圏進出も視野に入れております。

とにかく疲れました。あ、第三バイオリンさんにもよろしくお伝えください。

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