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エンジニアに簿記は必要か?

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 こんにちは、サトマモです。

 昨今、「英語・IT・会計」が3つの柱というような意見もありますが、エンジニアの皆さんはこれについてどう考えているでしょうか? エンジニアとして「IT」は当然として、英語の必要性も理解できるところでしょう。技術資料の大半は英語ですし。そのほかに、楽天の社内会議の英語化などはホットな話題ですね。

 なぜこのようなテーマを話し出したかというと、ちょうどわたしも簿記を勉強しているところだからです。実際に簿記を学んでみて、エンジニアにとって簿記はどんな位置づけになるかを考えてみました。

■ そもそも簿記って何だろう?

 今まで簿記の簿の字も知らずに生きてきたわけですが、学んでみると、なぜ会計知識を知っているといいか、ということが分かってきました。また、英語やITと同列に位置づけられている理由も合点がいった部分があります。ITも英語も、業界とかそういうものを問わない中立的なスキルです。透過性(※1)があるという表現でも良いかもしれません。

※1:技術用語だと「transparent」とかよく出てきますね。

 会計や簿記も同じで、会社の経済状況や取引を表すための言語なのです。知っている人には当たり前かもしれませんが、自分が実感できるようになると、感じ方も違います。そういう意味で実際に勉強して、体感できたことはとても有益でした。

 では、言語として簿記を知っていると、何が嬉しいのでしょうか? 会社の経済状況が分かる、財務諸表が読める、などさまざまに言われていますが、個人的に一番大きいのは、「会社の行動の意味が分かる」ということじゃないかと感じています。

 残業すると収益が減ってしまう、というのは容易に想像もできますが、資産管理を考えてみましょう。弊社でもそろそろ半期の棚卸しがあるようですが、会社資産のPCのカウントなどが実施されます。ここでもし、「ありません」、「不明です」となるとどうなるでしょうか。こういうものは、棚卸し損として計上されて、損益計算書(P/L)では棚卸減耗費とか損失として明示されることになりそうです。

 (きちんと確認していないので、弊社の会計処理と実際は異なるかもしれません)

 損失が発生するとどうなるか? 当然、収益が減ることになります。収益が減るとどうなるか。1株当たり当期純利益(Earnings Per Share)が低下します。EPSはどれだけ儲かっているか、の視点であり、投資家からみれば、投資するか否かを検討する材料の1つです。となると、このPCが行方不明になるインパクトって、思ったよりも重大じゃありませんか?

 そんなことが財務諸表や勘定と結びついて理解できるようになり、企業活動に対する理解は深まります。自分の会社の状況を知っておくというのも、いまのご時世ではとても重要ですよね。

 以上は社会人なら誰でも共通に得られるメリットですが、エンジニアにとって、わざわざ会計の勉強をする意義はなんなのか? という部分をもう少し考えていきます。

■役割によって、会計知識の重要性や意味は異なります

 毎日ひたすらプログラムを書いているエンジニアにとって、会社の財務諸表や日々の取引の勘定はどれだけ大事でしょうか? 確かに自分の会社が幸先不安かどうかを知る、というのは雇用問題として大事でしょう。景気のいい会社に転職するための判断材料にもなるかもしれません。これはメリットとして考えられそうです。

 メインの仕事を業務要件の取りまとめにしているような、SEやITコンサルタントにとっては、顧客の業務がビジネス上どんなインパクトがあるのかをきちんと理解して、提案や機能設計をしていくことが極めて重要です。当然、分野にもよるわけですが、会計はITとの相性が非常によく、SAPのERPを始め、さまざまなアプリケーションが会計処理を扱っています。これらを語るのに、最低限の会計の知識は必要になるに違いありません。やはり知っておくにこしたことはないでしょう。ただし、必須かというと、担当している業務にもよるので、一概には言えません。

 プロジェクトマネージャ(PM)から見るとどうでしょうか? PMはプロジェクトから利益を出すのが指名の1つなので、少なくとも、プロジェクトの損益については理解して損を減らすように気をつけているでしょう。PMが直接仕訳をするわけではないですが、自分が買った備品や契約、チームメンバーの人件費がどのように会社で処理されているかを知っておくと、自分の仕事をよく知ることにもつながります。数年前の工事会計基準の導入はPMさんにとっては、提案や見積もりを作る際の考慮事項だったはずです。個人的な感覚では、日商簿記2級程度の知識があると、かなり自信が持てるのではないかと思います。

 こうやってみると、いろいろな役割がある中で、知ってて損になるということはなさそうです。新しい知識を得るわけですから、そもそも損があるわけではないですが……。というわけで、役に立ちそうなので、みんな勉強しましょう!!!

 と、言いたいわけではありません(笑)。

 実は、ここでもう1点考えたのが、業務外の勉強をするのはいいが、「何に役立つのか、役立てるのか」を明確にすることが大事ということ。これは社会人の学習として、基本的なことだと思います。新しいことを勉強するのは楽しいことです。だけど、時間も当然食います。時間を投資するだけの意義を見つけておかないと、挫折するか、せっかく勉強しても実践的に身につける機会がない、なんてことになってしまい、もったいないと思うのです。

 これは資格マニアにならないように、自分へ向けたメッセージでもあったりします(笑)。

■それで、会計はお金になりますか?

 最後に、勉強をしてエンジニアとして儲かるか、という点について考察したいと思います。モチベーション向上の一観点として。

 結論から言えば、大して儲からないでしょう。

 前述した内容のとおり、IT屋としての活動はシステムを作ることです。機能として会計処理を理解する必要はあるかもしれませんが、たまたま会計システムでも作っていない限りは、直接的に業務に役立つことはないでしょう。それならば、開発手法や新しい技術、プロジェクト管理手法を勉強した方が価値がありそうです。

 一方、昨今話題のIFRS(国際会計基準)の適用であるとか、IT企業として儲かる点は常にあるように思います。これに乗っかっていこう! ということで、会計を勉強するというのであれば、それもいいかもしれません。ただし通常、会計基準の変更なんてITエンジニアの手に負えるものではないので、会計士やコンサルタントに業務要件を定義してもらった後に入って、システム構築をする、というのが現実的な進め方ではないかな、と思いますが。

■おわりに

 やはり業務に役立てるという意味では、一部の会計システム担当者を除き、モチベーションは上げにくいような気がします。なので、効果の上がる勉強を先にやった方が良いでしょう。

 以上。

 って、そんな結論にしてしまうと、勉強中の自分のモチベーションが著しく低下してしまいそうですが(笑)。

 他にもエンジニアの方でIT以外の勉強されている方がいらっしゃれば、コメント、ご意見いただけると幸いです。よろしくお願いします。

Comment(2)

コメント

匿名

顧客の立場になってみましょう。もし己が2つの会社が選択できる状況で、片方のプログラマーが会計士の資格を持ってるもう一社は持ってない。この状況ならUIとか見た目とか機能性、料金に大きな違いがない限り普通は資格を持ってる方を取るのが普通の判断だと思います。

おかねはだいじだよー

エンジニアが会計回りの知識を得ておくことは、自らのセカンドキャリアを考える際、非常に有益だと思います。

・仮にIT業界を去って、事務・営業や経営企画系の職種に就くなら、簿記の知識は、まず何よりも、いの一番で極めて役に立ちます。

・エンジニアを卒業してコンサルになるなら、会計の知識は必須です。簿記2級程度の内容すらわからない、理解できないようでは、コンサル業自体成立しません。
簿記検定で言ったら、2級のような経理現場系のスキルよりも、1級のような経営管理系のスキルが大事です。意思決定会計とか税効果会計とか。
会計の話については、税理士や会計士とある程度突っ込んだレベルでこなせないと、経営コンサル・ITコンサルとして、顧客の経営層からは信用されないと思います。お金の話はビジネス(企業活動)の本丸ですから。

・キャリアアップの先に開発案件のプロマネを目指すなら、会計知識は参考程度でしかないとは思いますけどね。

・生涯一エンジニア!というなら、全く必要ありません。そのままエンジニア道を突進していけばいいと思います。

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