採用担当の立場から、エンジニアのキャリアをつぶやきます。

第5回:ほんとにあった転職失敗談

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 皆さん、こんにちは。久利隆太です。久々のコラムになってしまいましたが、本日もよろしくお願いいたします。

■依然不安な雇用問題

 早速今日のつぶやきです。

 世の中は少しずつ景気回復しているようですが、まだまだわたしたちの生活には実感がないですね。先日の選挙においては、「政権交代」をキーワードに掲げた民主党が圧勝でしたが、雇用に関してはいまだ不透明で、特に製造業派遣と高失業率の問題は解決しておらず、わたしたちの生活にどう影響してくるのかも気にかかるところでしょう。

 そして、身近の問題としては、依然として求人が少ないこと。

 リーマンショックの影響で昨年秋頃から減っていた求人が、景気回復の足並みに揃えて増えるどころか、さらに減っています。それも、急激な勢いで。企業は人減らしに走り、新規での採用は抑制する動きになっています。会社都合により転職活動をせざるを得なくなってしまった人には、厳しい状況が続いています。

 さて、今日は、わたしが今までに採用の仕事に関わり、数多くの方とお会いしてきた中で、「ほんとにあった転職失敗談」をお伝えしたいと思います。あまりの緊張のため、面接でやってしまった大失敗。皆さんも気をつけましょう。

■ほんとにあった転職失敗談 

=Aさんの場合=

 以前から志望度が高かった会社で、見事通過した書類選考。後日人事から連絡があり、面談日を調整して、いざ面接! というタイミングでした。しかし、Aさんはオフィスビルの前に来ると緊張で足がすくんでしまい、手の震えも止まらなくなってしまいました。

 「せっかく通った書類選考だから、失敗はできないな」と逆に自ら緊張を煽り、鏡の前で身だしなみのチェックするのも忘れ、受付で名前と採用面接に来た旨を伝え、面談部屋へ案内されました。

 そして、部屋で待っている間は、緊張で汗がびっしょり。ハンカチを忘れたことを後悔しましたが、待っている間は緊張でそれどころではありませんでした。深呼吸を繰り返し、面接官が入ってくるまでには多少落ちついていました。

 「失礼します」と入ってきたのは、採用予定部門のマネージャと人事の2名。簡単に挨拶をしたあと、採用面談が始まりました。

人事:
「2名だと緊張してしまうかもしれませんが、面接は誰もが緊張するものですので、あまり硬くならないで下さい。Aさんのありのままを出して下さい」

Aさん:
「は、はい。ありがとうございます」

 緊張がある程度とれたのを見て、その後、部門のマネージャから、過去の経験についていくつか質問をしました。気がつけば30分以上。書類だけでは見えない部分を、面接で細かく聞いていたためです。

 経験やスキルはある程度わかったので、次は、Aさんが弊社を志望する理由を聞くことにしました。入社後のギャップを防ぐためにも、Aさんが、なぜ弊社に入社したいと思っていて、それが、やりたいこととあっているのかを確認したかったためです。弊社に求めているものと本当に合致するならば、採用の方向へ進めたいと思っていました。

部門
:「それでは、Aさんが弊社を志望する理由を聞かせて下さい」

Aさん:
「はい。わたしが御社を志望する理由は……」

 Aさんは「待ってました」とばかりに、熱く志望動機を語りました。事前に調べていた情報を元に、御社の○○に携わりたい、これから○○をもっと拡大していきたい……等々。緊張で手は震えていましたが、どれだけ入社したいかは伝わったと確信しました。

 その後、面接官2名がAさんからいくつか質問を受け、約1時間で面談は終了しました。

■やってしまった大失敗

 面接終了後、自宅に帰るまでの間、Aさんは非常に疑問に思っていました。志望動機を話した後に、面接官の2人の表情が、随分と冴えなかったからです。確かに、面接では終始緊張し、自分の力を100%出し切ったとは言い難いのは事実です。けれど、事前に会社情報を丹念に調べ、自分の求めるものといかに合致しているかを話したはずなのに……。

 いったいなぜ?

 家に帰って、ネットを開いてみて唖然としました。

 なんと、Aさんは同業他社の志望理由を語ってしまったのです。

 緊張して2社がごっちゃになってしまって、自分でも気がつかないうちに同業他社の話をしてしまっていました。そりゃ、面接官の表情もさえないはずです。違う会社のことを熱心に話されているのですから。

 こうなってしまえば、もう取り返しはつきません。

 自動車に例えると、インサイト(ホンダ)を作るエンジニアを募集していたのに、「御社のプリウス(トヨタ)は素晴らしい。わたしもプリウスをより魅力的な自動車にしたい」といっているようなものです。しかも、熱く。誰もが間違っているとは疑いません。

 Aさんは、インサイトに興味を持っていたのは事実ですが、あまりの緊張ぶりにプリウスと勘違いしてしまったのです。面接官も途中で気が付いて言いたかったのですが、Aさんの熱さに横やりを入れることもできず、そんなに他社製品に関わりたいなら……と見送りにしたのです。まさにやってしまった大失敗です。

■面接前チェックシート

 Aさんのケースは不幸としかいいようがないのですが、このような失敗は防ぎたいものです。それでなくとも面接は誰しもが緊張しますので、わたしは、面接前には下記のようなチェックシートを活用することをお勧めしています。

=面接前チェックシート=

  • 履歴書・職務経歴書
  • 筆記用具
  • ハンカチ        
  • 名刺(名刺入れ)    
  • 面接企業名
  • 面接場所地図
  • 面接日時
  • 面接官(氏名・役職)  
  • 面接企業の連絡先
  • 路線経路・所要時間
  • 質問内容

 面接に持参するものを忘れたり、道に迷ったり、時間に遅れそうになっただけで、大きなプレッシャーになります。できれば、何時何分の電車に乗れば、何時何分に着くというとこまで書いておくと非常に便利だと思います。また、略称ではない正式な会社名、そして、面接官の情報が事前にわかれば、どのような方かネットで調べたり、職種や役職をメモしたりしておくのがよいでしょう。

 それと、緊張するとつい忘れてしまうのが、質問です。面接では、ほぼ間違いなく最後に質問の時間がありますので、そこの質問を忘れないように、事前に3つほど用意しておくことがBetterです。面接直前に読み返すだけでも心強いですし、どこかにメモしておいて、面接時に取り出して質問することも失礼にはあたりません。 

 以上で、今日のつぶやきを終わります。また次回お会いしましょう。

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