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IT技術者の悲しい性(笑) (シリーズその8)

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 ずっと、目の前の仕事の生産性を上げていきましょう、上げ続けていきましょう、そうすれば劇的なパラダイム・シフトが起こりますよ、という話を続けてきているのですが、その最たるものについて書きます。

 今の時代、SEが生産性を上げていくとどうなるか。

 答えは、なぜか会社から仕事をとりあげられる(苦笑)。

 そして、大多数の自分より仕事ができない(生産性が低い)人間に仕事を「やらせる」のが仕事になる。

 それは部下だったり常駐パートナーだったり下請けだったりベンダだったりハケンさんだったり...

 あるいは自分の上司に仕事を「やらせる」こともよくありますね。

 やらせるだけならまだしも...

 いつの間にかオプションがついて、「育てる」がミッションになってきます。

 なぜか、部下だけでなく他の会社の人間も、上司すらもいっしょくたに育てゲーをしなければならなくなる。

 なぜなら、育てないと、育ってもらわないと、自分が忙殺されてしまうから。

ちなみに、ここでいってる生産性の高い低いというのは所与の能力、スキルではありません。努力を惜しまなかった結果として自身が生産性が高くなれば自然、周りを見渡すと皆生産性が低く見えるということです。つまり、相対的な話です。

 旧態依然とした会社ほどそういうところありますよね。スターを発掘すると、そのスキルを横展開するようそのスターに強要するというか。

 「オマエばかり生産性高いのはズルい!みんなに分け与えよ」みたいな。

早く帰れるはずなのに、わけわかんない内部の勉強会開けといわれてパワポ数十枚準備させられたり。しかも業務時間外に。

 しかもこれ、まったく余計なお世話なんですが、上層部はそのスターに対する会社の「親心」だと信じて疑ってないわけですね。育てゲーをして、オマエも育て、と。

 でも、会社の親心というのは、スター候補生を飼い馴らしていくため、その後出世すると仮定して、その会社独自のしきたりを教えて出世の障壁を少なくしてやる、ということであって、エンジニア/ビジネスマンとしての市場価値を上げてあげようという親心ではない。決して。

 会社としては、もしそのスターのスキルがまんまと現場にトランスファーされるのであれば、現場のスキルが底上げされて一石二鳥ですが、ところがどっこいそんなにうまくいくことはほとんどなく、結局底上げどころかただ「薄まる」だけなんですけどね。

 組織としては強靭になるはずもなく、脆弱になっていくだけです。

 現場でくすぶっている方々を育てようとしてもそもそも育ちません。なぜなら自身で育つ(生産性を上げる)気がないからです。その気があればとっくに育っていたはずです。

 会社に入って何年、あるいは何十年、生産性が低空飛行のままだった人間は、基本的にずっと、これからもそのままです。

 だから、育てゲーしてる(させられてる)方は毎日イライラします(苦笑)。

 「あーみてらんない!」「俺がやる!」と自分がやって、自分の作業の品質のほうが良いがためにその場をまるく納めたとしても、成果を出しても、なぜかオコられる。

 なんでオマエがやるねんと。部下を育てろと。

 あるいは、オマエは単価高いんだからワークするなと。

 そりゃ、ストレスたまりまくりですよね...

 自分が生産性高い人間になると、結果、毎日職場でイライラして過ごすことになる。これが「劇的なパラダイムシフト」(苦笑)。

え?そんな結論でいいの?(笑)

 だいたいですね、スターを発掘したらその人にまんまと育てゲーを押し付けるのがそもそもおかしくて、ほっといても仕事する(そして結果を出す)人材なんてホント貴重なんですから、勝手に好きなようにやらせておけばいいのです。

 今上層部に居座ってるヒトタチが、まだ現場の管理職だった頃にそういう生産性の低い人材を矯正して、育てゲーしておくべきだったんじゃないですか?

 それができなかったんでしょう?まんまと失敗したんでしょう?

 と、門外漢の私なぞは思いますけども(笑)。

 生産性が上がってくるとふたつの意味で目立つようになるので、

① 結果が出る ② 帰りが早くなるw

 ほとんど会社からのイヤガラセみたいな感じで「抜擢」をされてしまう。

 会社組織における「抜擢」とは不思議なことに「ますます活躍できるステージを与えられる」ではない。

どちらかというと「活躍を制限させられるステージ」

 せっかくの高い生産性は一旦高止まりした後に漸減し、多くの「元」スターは管理職になった後「ふつーの人」となり、会社に埋没していきます。

 スター社員が、ますます突き抜けていくことがもっとも会社への貢献となるのにもかかわらず、それを望んでも受け入れられず、無用な育てゲーで疲弊していく。

 これは、その会社単体ではどうかわかりませんが、間違いなく「社会的損失」です。

 そういう光景を日常的に見ていればどうなるかといえば、結局誰もが無用な抜擢を避けるために生産性をあげようとはしない。

 「クビにならない程度に頑張ろう」というヤツですね。

 あるいは、たとえば野望を持っている、等の特殊事情により生産性の高い(高くなった)方々はその会社、あるいはこの業界に見切りをつけて去っていく。

 最初からIT業界は腰かけであると割り切っているのかもしれません。それはそれで、よいと思いますが...

 その会社から飛び出してしまえば新天地で活躍できるのでしょうが、もっともよくないと思うのは、生産性の高い方がまんまと懐柔されてしまうケース。

 その会社「だけ」で通用する人材に変貌させられてしまう... すなわち生産性は「並」へ逆戻り。

 せっかくセンスも才能(努力の才能)もあるのに、最終的には「クビにならない程度に頑張る」人たちと同じ組に入れられて、ラットレースをさせられてしまうのです。

 大変残念なことに、生産性が並のほうが会社という組織においては居心地がよいんですよね。そのヒエラルキーが強固であればあるほど。

生産性が高くても低くても居心地が悪いので、「並」に収斂していく。

 所与の才能はそれほど関係ないので、効率のよい努力を継続することにより、生産性や作業品質でもって現場で突出することは誰でもできるのです。

珍しくフォローしておくと(笑)それがこの業界のよいところではあります

 でも、そうするとソンすることばかり(丸投げ、尻ぬぐい、火消し、昇進という名の管理職への配置転換)。

 だから、この業界は変われないのです。

 この業界で慢性的に労働時間が長い原因も、そこですよね。

 よく言われる物言いを使わせてもらうならば、そもそも「適材適所じゃない」ということです。

 その原因は主にふたつあって、ひとつめは、会社側は自信をもって、適材適所だと思って人員を配置するが、それが笑ってしまうぐらい間違っている。

 もうひとつは、適所つまりポストがないんでしょうね。なぜポストがないかというと、キャリアパスがスタティックすぎる。旧態依然としすぎているということなんでしょう。

 IT業界、特に私のよく知っているインフラレイヤはずっとこの問題を抱えたままで、ドラスティックなカイゼンを先送りにしてきました。

 結果、生産性が並のサラリーマンSE(インフラなのでコーディングもできない)を大量に発生させ、やたら人海戦術&根性論でプロジェクトをまわすのが常態となり、足りないスキルセットについてはトンガった人材を外部から法外な単価で雇ったりしています(苦笑)。

出る杭を見守らず、手当たり次第打ち続けているがために気が付くと内部に人材がいないという...

◆結論

 これを読んでくださっている同業者の方は、ここまで書いていることに真新しさは感じないでしょう。たくさんの方がいろいろなところで指摘していることです。

 そして、指摘あるいは提案だけは喧しいのですが、ここ20年?ばかし、抜本的には何も変わっていないところでもあります。

 なぜ変わらないかについては前回書きましたが...

 このままだと、そろそろ泥船が沈んでいくように見えます。

 生産性が高い人間は、いなくなるかあるいは仕事がきわめてやりずらい環境になって生産性を下げざるを得なくなり、生産性の低いままの人間の仕事の多くはキカイにとられちゃうわけですから。

 ではどうすればよいか?

 それでも私は、こつこつと努力を積み重ねて生産性を上げていくことをお奨めしたいです。

 まぁいってみればコソ練ですね(笑)。

 ちょっと孤独になってみることです。

孤高?

 そして、生産性を上げた(上げてしまった)ならば...

 もっと思いっきり、自分のやりたい仕事を長時間好きなだけやれる環境、いわばマイブラックな環境を、つくってしまえばよいのです。

 IT技術者は根っからブラックなので(笑)やりたい仕事をずーっとやっていたいのです。

 そしてIT技術者がやりたい仕事をずーっとやっていればそれが「適材適所」なのですから、業界全体の生産性も上がっていくはずです。

 というかそれが自然な流れになってきます。これからの世の中は。

やっと!

 ただし、私が棲息しているインフラレイヤは、そういう流れになるのはずーっと先でしょうね。私はもはやこの世にはいないかもしれません(笑)。

 そういう環境、自分のやりたい仕事を好きなだけやれる環境を今現在、どうやってつくるのか?

 たとえば現在卓越した技術力があり、にも拘わらず、毎日言うこと聞かない、生産性低いSEの管理業務に忙殺されている方はどうすればよいのか?

 それは、この場の答えは「自分で考えましょう」ということですね(爆)。それを書いてしまったらつまらないでしょう(苦笑)。

 とにかくまずは飛び出すしかないでしょう。

 ポストは待っていれば与えられるものではなく、居心地のよいポストは自分で自分に準備するものである、という考え方に変わることですね。これこそがパラダイム・シフトです。

あー、やっと結論に着地した...(ホッ)

 別に会社をつくれといっているわけではありません。どこかの会社に自分にふさわしいポストがあるのであれば、転職してそこに落ち着けばいいわけですから。

 それでも今の環境から飛び出すのには変わりありません。そして能動的に自分にふさわしい場所を探さなければなりません。

 あるいは、今の会社の中でもできるかもしれませんよね。社運をかけたプロジェクトをふたつぐらい成功させれば、デキるメンバーを社内で引き抜いて好きな仕事させてもらえるかもしれません。

デキないメンバーをあてがわれるのではなく、自分でスカウトし、自分でチームをつくる!

 この、IT業界の積年の課題については、現在、パイオニアが苦労して新しいレールを敷いてくれているところですので(たぶん...)、あともう少ししたら、フォロワーはそのレールをたどっていけばよいだけになるかもしれませんね。

 それがあと何年、何十年かかるかはわかりません。スキームが抜本的に変わるのにどれぐらいかかるか?は、志も、生産性も高い方がどれだけ飛び出してきてくれるかにかかっています。

 多ければ多いほど、ドラスティックな変化は早い時期にやってくることでしょう。

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