若手の目からみたこの業界のアレコレ、気の向くままに書いてみます。

「即断即決」は計画的に

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【Intro】

 わたしは小さな会社にお世話になることが多いので、「社長直轄」なポジションで仕事をすることが多々あります。商談の場に同席する機会もそこそこあったりするのですが、そういった場での社長を見ていると、「『即断即決』タイプが多い」というような偏見を持っています。特に「元技術者」(あるいは、現役の技術者)の社長に多いように思えます。

 ……が、それって時と場合によっては考えものですよね。

【フィクションのお話で実例を】

 具体的にどのような場合に「考えもの」なのか。わたし自身が経験した過去の体験フィクションのお話をさせていただこうと思います。

 受託開発のご依頼をお客さまからいただき、詳細な内容を把握するためお客さまのオフィスに社長が向かったとします。数時間後、社長から会社に電話があり、「この仕事、決めてきたから。詳細は後で話すね」とのこと。

 社長が会社に戻ってきてから、関係者が集まりその案件の詳細の説明を受けます。その話を聞けば聞くほど、実務担当者がどんどん渋い顔に……。どう考えても、社長が決めてきた工数では無理ですし、工数が何とかなったとしても社内のリソースでは対応が難しそうです。

 その旨を社長に伝えたところ、社長の口から飛び出した言葉は……

  • え? なんで?
  • 簡単でしょ?
  • そんなこと、いまさらいわれたって……
  • なんとかしてよ

といったものでした。さまざまなしがらみにより、仕事を断るわけにもいかず、条件を変更するわけにもいかず……といった理由で、結局この案件は現状維持のまま着手することになりました。このようなケースは今回だけではなく、以前も何度か同じようなことがあったとかなかったとか……。

【続・フィクションのお話で実例を】

 別なケースについて、わたし自身が経験した過去の体験フィクションのお話をさせていただこうと思います。

 うちの会社が、新しく人を採用することにしました。さっそく求人サイトに登録したところ、数人から面接を受けたいとの申し出がありました。うちの会社では、基本的に面接だけで採用の可否を決めるルールになっているため、履歴書と職務経歴書を持参のうえ、オフィスに来てもらうよう手配しました。

 面接当日、社長と社員数名が面接官となり、応募者の面接を行いました。一応、履歴書や職務経歴書の内容などをベースにいろいろ質問しつつ面接を行っていたところ、社長が一言、「よし、採用決定! いつから働ける?」。社長曰く、「話も弾んでるし、悪い子じゃなさそうだし」とのこと。

 応募者も面接官役の社員もしばしフリーズ。……紆余曲折を経て、最終的にその応募者は社員の一員となったわけですが。めでたしめでたし(?)。

【Outro】

 フットワークの軽さは、非常に強力な武器になります。が、使いどころを間違えるとあちらこちらから悲鳴が聞こえてきますよね。「即決即断」はいっこうにかまわないのですが、こと技術の話が絡むのであれば、いったん封印していただいてもいいのではないかな、と思う今日このごろです。

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