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第625回 eラーニングを考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 前回までキャリコンネタが続いたので少し話題を変えようかと思います。そういえば、以前新しい研修のスタイルについてあれこれ模索している話をさせてもらいましたが、今回はその絡みでeラーニングについて考えていることを書きます。

■eラーニングとは

 eラーニングをWikipediaで調べてみるとこのようなことが書かれていました。

eラーニング(イーラーニング、英語: e-learning, electronic learning)とは、情報技術を用いて行う学習(学び)のことである。(Wikipediaより)

 いやまぁ、そりゃそーですよね。。。要するに情報技術、つまりITを使った学習ということで、一般的にはコンテンツ動画の視聴が主になるのではないかと思います。このeラーニングですが、更にWikipediaで調べてみると利点と欠点も書かれていました。

利点

学習者側

  • 同時間、同一場所に集まる必要がなく、自由な時間と場所で学習できる。
  • 個々人の習熟度に応じて学習を進めることができる。
  • 目的に応じた均一化(標準化)された授業を受けることができる。
  • 印刷教材だけの通信教育に比較して、印刷教材の量を減らすことができる。

教師側

  • 学習者と同時間、同一場所にいる必要がなく、効率的に業務が遂行できる。
  • クラスごとに同じ授業を繰り返し行う必要がない。
  • 印刷教材の量を減らすことができる。
  • 成績管理などの自動化が図れる。
  • 教材の更新、最新化が容易である。

また、集合教育よりも、スケールメリットを生かせる分、低コストであるとされる。

欠点

学習者側

  • 学習意欲の持続が難しい。
  • 画面越しのコミュニケーションの限界が充分に理解できていない。
  • 質疑などその場での問題解決がしにくい。
  • 教師やほかの学習者との交流がとりにくい。
  • 資格や単位を取ることができない場合がある。

教師側

  • 学習者の状況をデータからしか把握できない。
  • 画面越しのコミュニケーションの限界が充分に理解できていない。
  • 教材・学習材の作成の工数が大きい。
  • イニシャルコストが高い。
  • 実技や実験・実習を必要とするような科目に向かない。

 ここに書かれている内容は私も体感的にその通りだと思います。

■eラーニング、役に立ってますか?

 では、ここから更に突っ込んで考えてみたいのですが、ぶっちゃけ、eラーニングって役に立ってますか? この問いに「はい」と答えられる方は少数なのではないかと思います。勿論、統計を取ったわけでもないので私の肌感覚ですが、恐らく大きくずれてはいないと思います。

 その理由は、圧倒的にモチベーションが続かないからです。そもそも、eラーニングは情報発信型のコンテンツであるため学習者は情報を受け取るだけの状態になります。正直、これって飽きるんですよね。。。その状態を回避するためにテストやクイズなどを組み込むタイプもありますが、逆にこうしたことがネックになって更にモチベーションを下げてしまっているケースもあるように思います。

 また、先ほどのWikipeidaの利点の所に書かれていた「時と場所を選ばらず学習できる」点も実は曲者で、いつでもどこでも空いた時間で学習しようというモチベーションを持っている人って、正直少数なのではないでしょうか。だとした場合、「時と場所を選ばず学習できる」というのは実はそれほどの利点にはなっておらず、寧ろ学習効率を考えた場合はマイナスになることあるため、それなりに時と場所をちゃんと設定して学習した方が私は効果が高いと考えています。

■eラーニングの効果的な活用方法

 それではeラーニングコンテンツは意味がないモノかと言われると私はそうは思いません。非常に有効なコンテンツだと考えています。では、何が有効なのか? それは、先ほどのWikipediaの利点のこの部分です。

  • 学習者と同時間、同一場所にいる必要がなく、効率的に業務が遂行できる。
  • クラスごとに同じ授業を繰り返し行う必要がない。

 なぜこれが利点になり得るのか、それはeラーニングコンテンツをどう使うかに関係してきます。

 実は、eラーニングは一人で実施すると非常に根気のいる学習になりますが、複数人が同時にeラーニングを視聴する形を作ると学習の状況が変わってきます。この状態はオンラインの研修に近い状態になるので、比較的集中力を保ちやすくなります。また、eラーニングコンテンツを学習した後に振り返りや実践の時間を設けておくと、自分たちでeラーニングコンテンツを習得しようとする動きが生まれます。その結果、eラーニングを使って自分たちが自律的に学習する行動が見受けられるようになります。

 更に言うと、研修を行う場合、講師やトレーナーの質が研修の善し悪しに大きく影響を及ぼすのですが、eラーニングの場合、ある程度講師やトレーナーの質が担保されているので、必要な情報を過不足なく届けることができるようになります。

■eラーニングを活用した新しい研修のスタイル

 私は今までワークセッションという形が研修の最終形態だと考えていました。ワークセッションについては過去のコラムでも書いていますが、簡単に言えば参加者自らが答えを導き出し学びを深めていく研修のスタイルです。しかし、そこには講師が介在しなければならず、講師の善し悪しによってワークセッションが成功するか否かが変わってきます。そのため、講師の質という問題がワークセッションにはつきまとっていました。

 この問題を解決する一つの鍵になるのが私はeラーニングだと考えています。eラーニングをワークセッションに取り込むことによって講師の質に頼らない一定レベルの学習コンテンツを提供することができるようになると考えています。

 そして、このeラーニングにホワイトボードアプリケーションとアジャイルの概念を組み込んだ研修スタイルがワークセッションの発展形であり、現時点における研修の理想形に近い姿だと考えており、私はこれを自律型研修と呼んでいます。

 既に自律型研修はある程度完成してきており、概ね想定している成果を生み出してくれています。こちらに関しても時期が来ましたらまたお話しさせていただきますね。

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