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第593回 目的と目標の違い

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 皆さんは「目的」と「目標」を使い分けていますか? かく言う私は今まで明確に使い分けていませんでした。。。

 なぜこのような話をするのかと言いますと、以前、目標についてのコラムを書かせてもらっていたのですが、そのコラムを書いた後に目的と目標の違いが私の中で明確になっていないことに気づいたんです。

 そんな訳で、今回は自分自身の学びとして目的と目標の違いを考えてみることにしました。

■辞書に書かれている目的と目標

 まず目的と目標の意味を辞書で調べてみました。

目的
1 実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて。「当初の-を達成する」「-にかなう」「旅行の-」
2 倫理学で、理性ないし意志が、行為に先だって行為を規定し、方向づけるもの。

目標
1 そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの。「島を-にして東へ進む」
2 射撃・攻撃などの対象。まと。「砲撃の-になる」
3 行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。「-を達成する」「月産五千台を-とする」「-額」
→目的[用法]

※いずれもデジタル大辞泉から引用

 今回は意味を正しく理解したいと思い、どちらも同じ辞書(デジタル大辞泉)から引用させてもらいました。しかし、これを見ても正直ハッキリしません。なので、デジタル大辞泉で目的を調べた際に補足のような内容が書かれていたのでこちらも引用してみます。

◇「目的」は、「目標」に比べ抽象的で長期にわたる目あてであり、内容に重点を置いて使う。「人生の目的を立身出世に置く」
◇「目標」は、目ざす地点・数値・数量などに重点があり、「目標は前方三〇〇〇メートルの丘の上」「今週の売り上げ目標」のようにより具体的である。

デジタル大辞泉から引用

 このように書かれていると少しわかりやすい感じがします。この内容から私は

目的も目標もどちらも指している対象物は同じだが、その表現の仕方が抽象的(目的)なのか、具象的(目標)なのかが違う

と解釈しました。

■ネットに書かれている目的と目標

 一方で、ネットで目的と目標の違いを検索してみると、このような内容が散見されました。

目的...最終的に成し遂げたい事柄(目で見える「的」のこと)
目標...目的を達成するための指標(目で見える「標」のこと)

 この表現では最終的な到達点として目的があり、その過程として複数の目標があるという考え方です。この考え方だと「目的=目標」とはならず、目標の積み重ねが目的をなるようなイメージです。こちらは意図することは分かるのですが、少し私のイメージからはかけ離れているように感じました。

■キャリコンにおける目的と目標

 で、ここからは私自身の話になるのですが、先日のコラムで目標についてこのように書いています。

課題:解決すべき問題

目標:課題が解決した姿(状態

方策:課題を解決するための具体的な方法(行動

 ここでいう「目標」は課題が解決した姿を捉えていますので、目的か目標かで言えば目的が正しい表現のような気がします。そして、方策は具体的な行動を表していますが、その方策の目指す具体的な姿が目標になるのかもしれません。つまり、

課題:解決すべき問題

目的:課題が解決した姿(状態)

目標:課題を解決させる具体的な姿(目印

方策:課題を解決させる具体的な方法(行動)

のように整理すると目的と目標が共存できそうです。例えば、「コミュニケーション不足」という課題があったとして、その課題が解決されることによって「職場でストレスなく働けるようになる」という目的が得られます。では、その目的を達成するための目標は「〇〇さんとのコミュニケーション不足を解消させる」という状態(目印)を表し、そのために方策として「思っていることを直接伝える」などの具体的な対応方法を検討するという流れになります。まとめると、

課題:コミュニケーション不足

目的:職場でストレスなく働けるようになる(状態)

目標:〇〇さんとのコミュニケーション不足を解消させる(目印)

方策:思っていること直接伝える(行動)

のようになりそうですね。

■自分自身で考えることの大切さ

 目的と目標の明確な違いを理解していなかったので、今回は私の学びを兼ねて目的と目標をネタにコラムを書いてみました。デジタル大辞泉の内容とネットに書かれている目的と目標の違いがあるように私には感じたのですが、これって結局はどちらも正解だと思います。

 私はネットに書かれている目的と目標の意味がしっくりこなかったのでデジタル大辞泉の内容で目的と目標の違いを考えるようにしましたが、どちらの内容も正解であるならば、後は私がどちらを選ぶかということだと思うのです、

 私たちの身の回りにはたくさんの情報で溢れています。その情報を私たちがどう取り扱うかは私たちに委ねられています。そのいずれもが正しい情報だとするならば自分はどの情報を選ぶのか? そうしたことを考えさせる今回のお話でした。

Comment(2)

コメント

ちゃとらん

いつも楽しく拝読させていただいています。


> どちらの内容も正解であるならば、後は私がどちらを選ぶかということ
その通りだと思います。


私の直感で言うと、目的は抽象的でかつゴールであり、そのゴールに向かうために、複数の具体的な目標を設けて、進んでいくというイメージがあります。


例えば、企業経営の目的(企業理念)を実現するために、売り上げ目標、離職率の低減目標、有給消化率向上の目標など、いくつもの指標を設けます。
さらにこれらの指標は、階層構造になっており、状況、環境、自身の実現可能性などを考慮し、都度見直しを行いますが、目的は、都度見直しを行う事は、あまりないと思っています。


言葉の定義は、個人個人で考えて選択(イメージ)すればよいのですが、これを他人と意見交換する場合が、なかなか面倒です。自分の定義が相手も同じだと思い込んでいると、議論がかみ合いません。


社員教育やコンサルなどで使う場合は、目的(状態)と目標(行動)に分けた方が使いやすいので、双方でその定義を理解したうえで運用するのが良いと思います。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん


いつもコメントありがとうございます。


ちゃとらんさんのコメントで


> 社員教育やコンサルなどで使う場合は、目的(状態)と目標(行動)に分けた方が使いやすいので、双方でその定義を理解したうえで運用するのが良いと思います。


このようにおっしゃられていますが、正にその通りですね。
こうしたことに気を配ることが何より大切ですね。

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