地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

まだAIに実現できないことを探して

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 ビジネスの世界でも AI に関連する話がますます増えてきています。自分の仕事として関わる領域でも、AI に関連した案件も増えているのを実感できるほどで、いかに世の中で盛り上がっているかがわかります。最近では、企業内で扱うような気密性の高い情報を安心して扱うための仕組みも増えてきたので、これまでリスクを懸念していた企業でも活用方法を考え出しているのではないでしょうか。

 現在では文章や画像だけではなく、プログラムコードや簡単なアプリケーションまでもが AI による自動生成の対象となっています。簡単なコードやアプリに加え、テストコードの生成も合わせた可能になっていることを考えると、映画の世界にあるような自律的に成長を続けていく仕組みの第一歩が整いつつあるように思えます。もちろん実際にそこまでのものを作り上げることは、現時点では解決できていない問題もあるのでそうそう簡単にすべてを自動化することはできませんが、非常に夢のある世界です。

 将来的には生成系の AI を利用して一つのシステムを構築することも可能になるのは間違いないところですが、そこまで技術が発展したときに、私たちは何をやることになっているのかは大変興味のある疑問です。ここまでの技術の発展も同様ですが、人間の作業を肩代わりすることが機械の主な目的でした。機械ができることは機械に行わせ、人間でしかできないことを人間が行う、これまでに共通していた方法です。実際に、システムの導入も同様の理由で行うことが多く、機械的に対応できるものは機会に任せることで効率を向上させようとしたものです。

 この流れをふまえると、AI にできないことを行うことが今後の私たちに求められていくのは避けられないと考えられますが、AI にできないことというのはどのようなものなのでしょう。

 素人的な発想ですが、新しく何かをはじめることが AI が実現するまでには一番多くの時間が必要なことなのではないかと考えます。いまの AI は、既に存在している情報をもとに解析や学習を行うことで成長を続けていく仕組みになります。事前の情報などが何もないものに対しては、AI は適切なものを生み出すことができないと言えます。現在のプロンプトエンジニアリングとしても、適切な例を与えなければ望んだ回答には近づかないので、この部分については人間側の優勢がまだしばらくは続くのではないでしょうか。

 これからもこの業界に関わっていきたいと考えると、AI にとってかわられる可能性が高い領域よりも、そう簡単には代替がきかない領域を目指すことが重要になるのではないか、最近の情勢を見ているとそのように思えます。どの領域に携わるかは、まだまだ多くの選択肢が残されていますので、いまのうちからでも手を伸ばしておくのは、あとあと大きな結果につながるのかもしれません。

 個人的には、日本語固有の世界はまだまだ AI などで対応しきれるようにはならないとみています。簡単な例だと、日本語の文章を英語に翻訳して再度日本語に翻訳した場合、もとの文章と同じような表現にはならない確率の方が高いです。意味は同じでも表現が全く異なる文章を非常に多くのバリエーションで作成できる、それぐらい日本語の表現力は他言語と比較するとおかしいものがあります。そのような日本語固有の領域に注目して、AI だけでは実現できないことを対処していければなと思います。

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