あるITエンジニアの日常を、擬人化ならぬ擬牛化しました。

ITエンジニアは、ドナドナの道を行く

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 「今月末で引き上げていいから」

 6月下旬のある日のこと。プロジェクトマネージャから、唐突にいわれたひと言でした。

 ぼくが、この農場(大手SIer)に常駐してから、5カ月目のことです。

 常駐したその日から、スケジュールは遅れており、逼迫したタスクをこなすために、「定時は22時」なんて、お触れが出たりもしました。それでも、どうにかこうにか実装を終え、ようやくシステムテストにこぎつけることが出来ました。

 日々、バグの嵐で、テストは進みやしませんが。

 PGとして常駐していたぼくの役目が、必要なくなってきていることは感じていました。何度か、常駐期間の確認をしていましたが、プロマネの答えはいつも同じ。

 「要員は一人でも欲しいので、このまま継続したい。ただ、予算が確定するのはギリギリにならないとねぇ」

 「そうですか……」

 覚悟はしていたものの、7月まで10日足らずになって常駐期間終了のお告げは、さすがに堪えます。

 ぼくの所属する牧場は、小さなSIerです。

 牧場には、ぼくの仕事はありません。別の大きな牧場や農場に常駐しなければなりません。常に案件を抱えている状況じゃない中で、ぼくの次の常駐先は、すぐに見つかるんでしょうか?

 ぼくが、今の牧場に入ったのは、2年前のことです。

 以来、3~5カ月くらいのスパンで、いくつかの牧場や農場に常駐してきました。PGとして常駐してるはずが、現場によっては、設計とか、テスターとか、ドキュメント補佐とか、改善提案とか……なんでもありです。プロジェクトのお好み次第。一貫性なんてありゃしません。

 常駐先が変わるたびに、仕事内容は勿論のこと、勤務場所も勤務時間もカラダの模様(服装)までも変わります。ホルスタインになったり、黒毛になったり。

 次は、どこへ行くんでしょう?

 ぼくの脳裏に、子牛の頃、耳にした歌が浮かびました(1番の歌詞を引用します)。

ある晴れた昼さがり 市場へ続く道
荷馬車がゴトゴト 子牛を乗せてゆく
かわいい子牛 売られて行くよ
悲しそうなひとみで見ているよ
ドナドナドーナ ドーナ 子牛を乗せて
ドナドナドーナ ドーナ 荷馬車がゆれる
(シェルドン・セクンダ作詞、ショロム・セクンダ作曲、安井かずみ訳)

 そんなぼくの、ドナドナな日常をお話していきたいと思います。

Comment(1)

コメント

ホルスタイン

あるある! つーか大半のエンジニアは牛なんじゃ・・・

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