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僕はコミュニティの人々と旅をした――コミュニティ駆動人生

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人生とは、あなたが出会う人々であり、その人たちとあなたが作るもの。 だから、待っていないで作りはじめなさい。 人生は短い。 情熱を身にまとい、自分の夢を生きよう。 THE HOLSTEE MANIFESTO

 僕は、勉強会と出会い、そこに集う人々と会う中で、エンジニアとしての人生を歩み始めることができました。

 初めて勉強会に参加したときから、もうすぐ2年が経とうとしています。その2年で、僕の人生がどう動いていったか。それを書いてみようと思います。

■冴えなかったコミュニティ参加以前の自分

 小学校のころ、成績は良い方でした。ただ運動は苦手。いじめられタイプというかいじられタイプというか、そんな子どもでした。

 中学に入ってから、いじられの度合いよりもいじめの度合いの方が増してきました。それだけが原因ではないのでしょうが、おそらくストレスが原因で自律神経失調症を患いました。結果として、学校に通えなくなります。

 そんな状態だったので、通っていた高校も不登校児などのわけありな人たちが集まっていました。勉強も中学のあたりからやり直し。「こんなんじゃない」と思いながら3年間過ごしていました。

 大学はサークル・学生会の活動をしていました。でも周囲にいまいち馴染めずにいたように思えます。コミュ障というか、馴れ合えなかったというか、そういう自分だったのでしょう。

 そんな中、いろいろと忙しくなった大学4年の4月ごろに体調を崩しました。後にうつ病であることが分かります。

 結局就活ができないまま卒業した後、縁あって前職の会社に就職。そこは人材派遣や客先常駐という言葉で揶揄されるような会社でした。しかも、どこかの現場に出される前にリーマン・ショックが起こって案件がなくなり、自社に引きこもることになります。

 そこで研修サービスを立ち上げると言われたものの、「能力なくて無理でしょ!」と反発していました。それでも頑張っていたけど結局2年で辞めることとなります。

■勉強会にのめり込んだ日々

 そうして現職に移ったタイミングで初めての勉強会に参加します。XPJUGが主催する「XP祭り2010」でした。そこで選んだセッションは、アジャイルUXのワークショップ。

 同じテーブルで手を動かす人がいたのが幸いして、その後の懇親会ではぼっちにならずにすみました。そうやって同じテーブルで手を動かした人のうちの1人は、このあともいろいろなところで関わることになりました。

 次に門を叩いたのは、懇親会で話したワークショップの講師が関わっているすくすくスクラム。ここに参加したことがきっかけとなって、本格的にアジャイルを学び始めます。この当時は、そうやって知ったアジャイルを組織で取り入れたいと思い、職場の人にいろいろと話をしていました。ですが、結果としては玉砕。いま思えば、ある意味、熱に浮かされた状態だったので、仕方のないことだったのかもしれません。

 とはいえ、その後もアジャイル関係の知識は継続的に勉強を進めていきます。そうやって得た知識は、単独で進められる仕事に対して使っていくようになりました。

 そして、自分にとってのホームとなったコミュニティ、DevLOVEと出会いました。勉強会参加以前に独学で学んでいた設計技法の実践者が講演をされることをTwitterで聞きつけて参加をします。思えば、ハードすぎる内容でありました。あのとき聞いた話を、いまどこまで理解しているかは怪しいところであります。ですが、そうやって新しい知識を仕入れていくことが快感でした。

 だからでしょうか。あの当時のDevLOVEは月に何本もの勉強会を開催していました。自分はそれらに足しげく通っておりました。また、このころから、勉強会の内容をマインドマップでまとめて公開することを始めました。これが思いの外評判を集め、以来いくつかの勉強会では今でもマインドマップの人と認知されています。

 そしてここまでくると、もう一参加者としては留まれなくなるものなのでしょうか。DevLOVEのある方に背中を押されて、初めてのLTを体験します。2010年の年末のことでした。

■格の違いを思い知らされる

 そのLTを体験した夜、DevLOVEのスタッフに誘われ参加をします。参加をしたのはいいのですが、できたことは、当日の手伝い。それはそれでいいのでしょう。ですが、自分で企画を出したくとも、出せるネタがなくて悔しい思いをしました。

 あるとき、DevLOVE内でやっていた開発プロジェクトを覗く機会がありました。そこで、「こんなものを作りたい」と熱く議論を交わしていたのですが、自分に何ができるか考えたとき「自分は何もできない」ということを痛感しました。

 使ってる言語が違う。設計の能力なども、明らかに上。当然といえば当然のことで、当時の僕はまだ3年目。明らかに積んできた時間が違いました。

 そうやって、鼻っ柱を折られ、悔しさを感じていくなかで、「勉強会に参加するよりも、まず自分で学ぶ時間を作らなければ」と思うようになりました。寒風吹きすさぶ、2011年冬のことでした。

■独学と勉強会と発表と

 転機となったのは、2011年3月11日。東日本大震災でした。テレビの報道に嫌気が差し、交通も麻痺して出社不可能となったときに始めたのがHead First Railsの写経でした。1週間かけて写経を行った後、写経ではなく、自分のコードを書きたいと思うようになります。そこで書いたのがTwitter Bot。当初選んだ構成でうまく行かなかったところをTwitterで質問して助けられたりしました。

 また、Rubyのコードを書く時間を作ろうと思って参加したのが、黙々とコードを書くのが主体の勉強会であるyokohama.rbでした。

 初心者として勉強会に参加しつつ、独学を進めていく。そうやって学んでいく中で、2012年の7月、DevLOVEで行われたRuby初心者向け勉強会で発表する機会をいただきました。

 「あの発表を聞いて、Rubyに触れてみました」そんな声も聞けました。

 「自分の経験は誰かの学びたいという想いを駆動させる。」それに気付いて、それから4カ月ほど、LTができると聞きつけた勉強会でLTをして回っていました。

 何度かLTをするなかで、スライドのクオリティが上がっていきました。その経緯をまとめて、2011年の12月には、DevLOVE Pubという電子書籍に取り組むコミュニティで出したLTの同人誌に寄稿をさせていただきました。

 また、このころ、コードに対する興味はRubyからiOSに移りました。Objective-Cを独学で学びました。ですが、結局どう書けばいいのか分からずに挫折をします。だけども、自分でアプリを作りたいという想いは消えませんでした。

 年が開けて、今年。2012年1月。エンジニアとして、開発についてコミュニティで語れるような軸を作ろうと思い、Titanium Mobileを学び始めます。ここでもRubyを学んでいたときと同様に勉強会に参加しつつ独学をしていくスタンスを取りました。

 横浜へなちょこiOS勉強会とTitanium meetup tokyoに参加しつつ、アプリを作っていき、無事公開。そこに至るまでの経緯を横浜へなちょこiOS勉強会で発表させてもらいました。

■2周目の学び・2周目のコミュニティ活動

 こうやって、アプリを作ったりLTをしていくうちに、あれも作りたい・これも作りたいというアイデア、あれを話したい・これを伝えたいというアイデアが湧いてくるようになりました。

 その自分の想いに従って、再びRubyを学び始めました。そろそろ1つWebサービスを作ってみようかと企んでおります。

 いまここでコラムを書いているのも、この自分に想いに従ってのことです。「自分の経験は誰かの学びたいという想いを駆動させる」これを信じて、これからもコラムを書いていこうと思っています。

 アジャイルから始まった僕のコミュニテイ人生。開発系コミュニティを経て再びアジャイルに戻ってきてもいます。ずっと行きたいと思っていたアジャイルサムライ道場は今年に入ってから横浜の地で参加。すくすくスクラムにも、再び参加するようになりました。

 1年間、いろいろなことを経験して貯めた経験値が多かったのでしょうか。昨年の今ごろと比べると、理解の度合いが増していることに気付きました。

 LTのクオリティも上がっているのではないかと感じています。ここで書いているコラムや、2012年4月に京都のプログラマーズナイトというイベントでやった初めてのDJ。それらの経験が、表現者といしての力を引き上げてくれたように思います。

 それらを通して得た気付きを、改めてDevLOVE PubのLT同人誌に盛り込みました。8/12のコミックマーケット82 東地区“U”ブロック-04b DevLOVE Pubブースにてその同人誌、「ライトニング・トークス 脅威のプレゼン さあ、プレゼンに目覚めよう」の頒布を行います。

■僕はコミュニティの人々と旅をした。そして……

 「高校デビュー」「大学デビュー」といった言葉があります。ですが、僕はそれができなかったように思います。だからこそでしょうか。いまになってようやく「コミュニティデビュー」を果たせたのかもしれません。

 それができたのも、技術に対して真摯に向かい合う人々と出会い、共に深めていけたから。成長意欲が人一倍強い自分にとって、最高の出会いとなりました。

 そうして、コミュニティの人々と旅をしていく中で、非常に多くのものを得られました。これからも、コミュニティと共にありたい。そう願っています。

 僕の例は極端かもしれません。ですが、僕と同じように、コミュニティに出会って人生が大きく動いた人も多くいると思います。

 これを読んでいるあなたが、今の自分の人生に閉塞感を感じているようならば、勉強会などこれまで自分が触れてこなかった人々の集まりに行ってみてはいかがでしょうか。

 それで、もしその勉強会が合わなければその先に行かなくてもいいのです。肌に合えば何度も通いましょう。

 そして、自分の想いのままに巻き込み巻き込まれていってください。

 そうやって起こした行動の1つ1つが、あなたの人生を動かしていくと信じています。

 May community members be with you. コミュニティの人々と共にあらんことを。

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