事例:パソコンは経年劣化をするんだよ
とある取引先から、電話が掛かってきました。
受付:はい、ユースです。お世話になっております、あっ担当の○夫ですね。少々お待ちください。○夫さん、取引先の○○社からお電話です。
○夫:はい、御電話代わりました、○夫です。お世話になっております。パソコンの調子がおかしい。どういった様子なんでしょうか? はい、パソコンを使っていると途中で反応がなくなるんですか。
代用できるPCはありますか? とりあえず、空いているパソコンを代用できるんですね。どういう症状か詳しく見るために、伺います。
いくつか質問をして症状を聞き、電話を切った。
そういえばここのPC、1年ぐらい前に調子が悪いと言ってたな
見に行ったときに、どうもHDDのアクセスが遅くてウイルスじゃないかと思い、スキャンもしたんだっけ。
結局、ウイルスでもなければ、他のプログラムが負荷を掛けているわけでもなく、HDDの寿命が近く読み書きできないところが増え、レスポンスが悪くなって遅くなっていた。
その時はまだ使えたが、いつ壊れてもおかしくない。
それに、起動時に電源が入らないこともあるから、電源も寿命が近いであろう。
数年使ったPCだから修理でなく、新しいPCを使った方が今後のトラブルも少ない事を話し、次のPCを準備してもらうようお願いした。
その後、システムセットアップ費用の見積りなどで何回かやり取りしたが、結局依頼は来なかった。
そのツケが、とうとう来たようだ。
システムセットアップ用の媒体を引っ提げて、客先へ向かう。
○夫:こんにちは!
客先E氏:このパソコンなんだけど、早速見てもらえます?
○夫:これですね、調子の悪いパソコンは。とりあえず電源入れてみます。
(電源が入らない!)
電源が入りませんね。
E氏:ああこれ、何回か電源ボタンを押すと入るよ。
○夫:(……毎朝そんな儀式をやってたのか? これでも買い替えせず、ここまで使い込むとは)
E氏:どう、直りそう?
○夫:まだOSも立ち上がってません。(OS起動にとんでもなく時間が掛かってるな)。あっ、起動でエラーになった。
「ファイルが見つかりません」
E氏:あれ、壊しちゃった?
○夫:もう1回起動してみましょう。
E氏:……どうぞ。
○夫:(なんか俺が壊したみたいな雰囲気が出てるな)。10分以上たって、ようやくOSが起動しました。最初の動作といい、これは明らかにおかしいですね。
E氏:でも昨日までは、使えてましたよ。遅いパソコンなので、他のよりは処理するのに時間が掛かってたけど。
○夫:他のパソコンとほぼ同じ性能で、入っているソフトも同じです。これだけが遅いとなると、それなりの原因がありますし第一、昔壊れかけているので、新しくしないといつ壊れるか分からないと申告しましたよ。
E氏:そうは言っても、その時は予算の都合で買えなかったんだよ。今回もどうにかならないかな。
○夫:とりあえず、システムが動くか見てみましょう。システムの中のファイルがいくつか消えてます。フォルダもなくなっていたり、読めないものがあります。
そうして、このパソコンはもう使えない、使ってはいけない(何か保存してもなくなる可能性があるので)ということを理解してもらい、別途PC購入の運びとなりました。
<経年劣化でトラブる前に>
- ハードウェアサポートに入ってもらう(もちろん費用は掛かります)
- 購入(買い取りも)、リースどちらも長所、短所があるのでそこをしっかり理解してもらう
- そもそもハードウェア故障なのに、真っ先にシステム開発会社に連絡があるのはおかしい。ハードウェア会社へ連絡できるパイプを作っておく。
- 同時期に購入したものでも、なぜか1台だけ故障が頻発する。これは車や他の機械製品でも同じだ。運が悪いといっても納得はできないが、そういう場合もあるということを理解してもらう。
- 予備機を買ってあるが、それを通常業務で使っている。それは予備機じゃない!
ハードウェア交換の依頼をしても、使えるうちは使ってしまおうという方はよくいらっしゃいます。
でも、機器手配、システム環境の設定、動作確認で1日では済まないこともあるでしょう。その間、業務ができない場合が出てきます。
1日~数日を復旧に費やすこともあり得るので、そんなトラブルは事前に回避しておきたい。
壊れる予兆があるのに、交換・修理を拒絶されると、結構へこみますね。こちらは、儲けるという以前に、業務が止まる被害を出さない(ここ大事)という配慮で話をしていますから。