町工場から大企業、そして派遣社員も経験した現役派遣社員の壮絶体験

ホワイトな大手企業へ転職!その46  頭も体も使う技術部!

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さて技術部に応援に来てから、私の生活もガラリと変わってしまった。とにかく帰りが遅いしバラバラ。まだ20歳そこそこで遊びたい盛りの若者にはほんとにきつかった。肝心の仕事の方はというと、助手みたいな役割。私たちの製造現場に新しく生産装置を納入する計画があるのだが、その生産装置の開発を私が派遣された技術グループが担当しているのだ。その中心となっているのが高橋さん、木内さんの二人のエンジニア。木内さんは私より2歳年が上だが後に20代で技術部の課長になる超エリートだ。そして高橋さんはこのとき33歳だったと思うがこの方も後に出世していく。

そんなエリートの人たちとの仕事が始まったのだが、内容は私のような現場作業者でも簡単に出来るような仕事だった。二人のエンジニアが作った試作品の寸法測定と、その測定値をPCに入力するという単調な仕事であった。来る日も来る日も同じことの繰り返し。これじゃあ製造現場の仕事とたいして変わらないんじゃないかと思っていたのだが、しかしこの気の遠くなる単調な仕事が製品完成の全ての土台になるということを思い知らされることになる。

何度も何度も試作品を作りデータを取得していく、前例のないものを作るときはこのようなやり方をしていくのだ。「カット&トライ法」ってやつである。最初は経験と勘だけで試作や実験を繰り返して膨大なデータを取る。そのデータからどの値が製品として一番最適なのか?それがわかると次に化学的な根拠や力学的な根拠を突き止めて行く。数学と逆のやり方ですね。数学は答えよりも答えを出すまでの仮定が大事だけど、この仕事は先に答えを出して後から答えに至るまでの経緯を突き止めて行く、そんなやりかたでした。

これと同じというか似たようなやり方で世界最大の戦艦大和を完成させているんですよね。どういうことかと言うと、大和の船首が丸くなっていますけど、あの形が一番水の抵抗を受けないのだそうです。それを調べるために当時の日本軍のエンジニア達は何度も何度も船首を作り直して実験した結果、世界最強の戦艦大和を完成させています。ほんとに日本の技術って凄いと思う。さて肝心の仕事の方なのだが相変わらず毎日が同じことの繰り返しであった。

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