ホワイトな大手企業へ転職!番外編 職場での選挙活動その3 遂にキレる!
そして、すぐ隣で仕事をしていた勤続30年目の矢口先輩に組合の支部委員である高松先輩が早く書いてくれと催促をしに行ったときのことである。このとき矢口先輩の装置は珍しく絶好調で稼働が良かった。だからせっかく調子が良いのにルール違反の署名のために装置を止めるなんてことはしたくなかったのだ。当然、矢口先輩は装置が稼働中だからということで署名を拒否、しかし高松先輩も引き下がらない。「谷口係長が装置を止めても良いとの許可をとってありますので!」両者の押し問答が数回続いた後突然、矢口先輩が切れた「いい加減にせい!」と、怒鳴りつけたのだ。
大阪出身なので物凄い迫力のある関西弁がフロア中に響いた。しかし高松先輩も書いてくれと言うだけ。遂に矢口さんが高松先輩の胸倉を掴み、殴ろうとした瞬間に、状況を察して近くに来ていた川藤先輩が羽交い絞めにして必死に止める。高松先輩はビビッてしまって身動きできない状況だった。ビビった高松先輩は部品などを蹴っ飛ばして八つ当たりしながらどこかへ行ってしまった。と思ったら、署名のキーマンである谷口係長と藤田班長を連れてきたのだ。しかし、矢口さんは係長と班長にも喰ってかかる。「なんやあ!」と二人を怒鳴りつける。確かに、この署名のやり方は度が過ぎている。自分も心の中で矢口さんの応援をしていた。喧嘩でもしてくれないかなぁ、なんて思ってたんだけどそこまではいかなかった。
結局、矢口さんは班長と係長に怒鳴り続けて署名しなかった。このような押し問答で署名を拒否した人も居れば、頭脳プレーで署名を拒否した人も居た。自分より一ヶ月後に中途入社した桑田先輩である。後に桑田先輩とは一緒にコンビを組んで装置を担当することになる人だ。桑田先輩は私に「あの署名の件ではさ、俺も高松君と衝突したんだよ」「え?マジですか?でも署名しろってしつこかったし、係長の許可もあるとかいろいろ言われたんじゃないですか?」と、私は聞いてみたのだが桑田先輩は「それならさ、警視庁に親戚がいるからこれは犯罪じゃないか聞いてみるよ。大丈夫なら署名するから」と言ったら、高松先輩は渋々と引き下がっていったということだった。さすがだ!
更に他の理由で署名を拒否した人も居た。それは宗教上の理由である。同じフロアでMGをしている大磯先輩である、彼は熱心な〇〇会の信者。その〇〇会は〇〇党を支持していたのだ。そして、ここの企業は別の党。その大磯MGは「こんなの任意なんだから署名なんてしなくていいんだ!」と、突っぱねていたのだ。宗教にはまっている人はやはり凄い。というかその人の言うことが正論なんだけどね。