東京都内の某SIベンダーの共通技術SE。現在社会人大学院に在学中。

社会人大学院への挑戦

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 はじめに、エンジニアライフ開設おめでとうございます。また、このような場を与えてくださり、大変ありがたく思っております。

 改めまして、みなさんはじめまして。阿部と申します。秋田県出身で、現在は東京都内の某SIベンダーに勤めて9年目のSEです。

 正直なところ、わたし自身特に取り柄がある訳でもなく、どちらかというとこつこつやってきたタイプなのですが、逆に、普通のSEの生の声といいますか、地道なところでの悩みや取り組みのようなところで、何かしら皆さんの参考になれればと思いますし、逆に同じような悩みを持つ方々からご意見などいただければ、と思っています。

 本コラムのタイトルにもあります通り、現在SE職につきながら、産業技術大学院大学という大学院に通っています。といっても、何かを研究して修論を書くような普通の大学院ではなく、いわゆる情報システムに関わる全般を学び、アーキテクトを育成することを目的とした専門職大学院です。このコラムでは、しばらくはその大学院での経験や得られたこと等、お話していきたいと思いますが、まずは初投稿ということで、自己紹介やこれまでの職歴、大学院に行こうと思ったきっかけについてお話したいと思います。

 さて、現職は社内の共通技術部門で、方式設計や開発標準化などをメインに、現場の開発プロジェクトの支援や技術整備、社内展開などを行っています。そういう意味では、SIベンダの社内SEとでもいう立場でしょうか(ちょっと違うかもしれません……)。

 現職に就く前は、基本的には開発プロジェクトの現場で「共通技術グループ」の一員として、設計開発、技術支援、といったところを行っていました。「共通技術グループ」といっても、具体的に何をするのかイメージしにくいかもしれません。具体的には、主に以下のような役割ととらえていただければと思います。

  • 開発標準化(設計や開発における規約、設計、開発の手順書作成、標準ドキュメント整備等)
  • 方式設計・共通部品・フレームワークの設計・開発
  • その他、業務機能開発者に対する開発支援やトラブル対応 等

 この中で、主に大規模系のプロジェクトを幾つか経験してきていたのですが、2年ぐらい前、あるプロジェクトのカットオーバーをきっかけに社内に戻って現職に就いた、というのがこれまでの流れです。というわけで、現在は現場から少し離れて、社内でフィールドSEさん達の支援を行っているのですが、この中での悩みが、大学院にチャレンジしよう! と思ったきっかけになります。

 今の仕事内容は、先にもふれましたが、社内の共通技術部門で、開発プロジェクトの現場に対して、技術支援を行っています。それに加えて、過去のプロジェクト経験や支援の内容を元に事例を整理し、ノウハウ化して社内で横展開する、といったような内容も含まれます。

 現職に就いてすぐの頃は、これまでそれなり(と自分では思っていたのですが……)に現場でやってきたこともあり、「なんとかなるだろう」とタカをくくっていました。しかし、いざ始めて見ると、大きな問題に突き当たりました。それは、「見なければいけない範囲があまりにも広い」ということでした。

 開発プロジェクトでは、当たり前ではありますが、あるお客様のあるシステムがあり、一つの業種、一つの目的の元で仕事をしていくわけです。

 一方、現職では、社内で動いているあらゆるプロジェクトが対象になりますので、業種・業務・目的とするシステム形態・開発言語・開発方法等が案件毎に異なっており、さらに、開発フェーズだけでなく商談対応からトラブル対応まで、ということで、システム開発におけるほぼ全ての領域が対象になってしまいました。

 例えば、ある日の仕事内容を挙げてみると、

  午前:あるプロジェクトの商談フェーズで、どんな開発言語や方式をとるべきかの相談会
  午後:トラブルが発生したプロジェクトに駆けつけての原因調査

という具合で、ほぼなんでも屋の状態です。

 もちろん、すべてを自分や自部門だけでやるわけではなく、様々な専門部隊と協力してやるわけですが、協力を仰ぐにしても、要件に対して何が問題で何が必要なのかを判断する必要があり、やはり幾ばくかの知識や経験が必要になります。

 一方で、自分のスキルを振り返ってみると、特定のプロジェクトで得た知識や経験についてはそれなりかと思いますが、経験したプロジェクトのスコープ外の領域は非常に薄い、つまり、非常に“とんがったスキル”であることに気づきました。しかも、しばらく続けて見てわかったことですが、プロジェクトの現場と現職では、求められる知識が少し違ってきています。プロジェクト現場では、プロジェクト固有の背景や問題をターゲットにした「答え」が必要になります。一方で、現職では、いわゆる“べき論”的な部分も必要になってきます。きちんと基本や方法論を把握し、それを元に現場の事情を加味して、方向性や方針を導き出す力が必要になってきます。というわけで、これまでの自分の引き出しだけでは足りないと思い、「なんらかの形で広い領域に対してのスキルアップをしなければ」という思いでしばらく焦り気味でした。そんな時に、ちょうど先に挙げた専門職大学院の話を耳にし、飛び込んでみたという次第です。

 さて、冒頭でも少し触れましたが、現在終業後や土曜日を利用して通っているのが、「産業技術大学院大学」という、2006年に出来たばかりの専門職大学院です。わたしは二期生で、2007年の4月から通っており、本投稿時点では既に4分の3が過ぎています。だいぶ終盤に差し掛かっている状況ですが、次回以降、大学院でのカリキュラム、大学院と会社を両立しての暮らし、その中での気づきや得られたことなどについて、いくつかお話して行きたいと思っております。また、それ以外にも、職務上での気づき等、随時お話して行きたいと思っております。 

 初回は自己紹介チックになってしまいました。大学院に行ってからというもの、「今の仕事ってどんなことやっているの?」という話をよくするのですが、なかなか人に理解してもらいにくい職域で(わたしの説明が悪いだけ?)、しかも、なかなか同じことをやっている人と巡り会うことがないので、少し詳しく書いてみた次第です。もし同じような職域についている方がいらっしゃいましたら、いろいろとご意見なども伺いたいと思っております。 今後ともよろしくお願いいたします。

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