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書類選考で落とされないための4つの質問(後編)

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■前編の復習

 お久しぶりです。かなみらです。

 前回のエントリから1年ほど経とうとしているので、皆さますでに就職転職で大成功されてらっしゃるかと思います。

 ですが、新しく転職をお考えの方もいらっしゃるかと思いますので、前回に続き、書類選考で落とされないための4つの質問を考えたいと思います。

 まずは、前回の「書類選考で落とされないための4つの質問(前編)」について軽く説明します。

 前回のエントリは、4つの質問を通して「自分は転職市場におけるいち商品である」ということを認識してもらうことが狙いでした。

  • Q1. この商品を買いますか?
  • Q2. 最近買った、高いものは何ですか?
  • Q3. その商品を買ったときの決め手は?
  • Q4. あなたを採用すれば、どんなことができるようになりますか?

という質問のねらいは

  • Q1.は商品(自分自身)のスペックは詳しく書かないと、そもそも価値を見出してもらえないことに気づく質問
  • Q2.はQ3.で使う例を挙げるための質問
  • Q3.は人(採用する企業)によって採用基準が違うことを認識する質問
  • Q4.は入社後のメリットを説明するための材料を考える質問

というものでした。

■質問を始める前に

 今回は、上記のQ4.と関連した4つの質問を通して、「履歴書」「職務経歴書」における「なかなかすぐに書けない部分のヒント」を作ることが狙いです。

 また、書類を最初に選考するのは、人事部や総務部のような非エンジニアを想定していますので、いかにインパクトのある内容にするかに焦点を当てています。

 記載内容の根拠や実現可能性について気になるのは分かりますが、今は考えるタイミングではないとしておきましょう。

■Q1. 現状と候補先企業をつなぐ必然的な理由は何ですか?(400字)

 2012年現在の日本においても、いまだにジョブホッパーは嫌われる傾向にあるようです。

 もちろん、事情があっての結果ですが、そこは考慮されずに「転々としてるんだから、うちに来てもすぐに他へ行くんでしょ?」「どうせヘタレなんでしょ?」という不安が先行するのだと思われます。

 そのため、「転々としたのはちゃんと理由があり、御社には長くいたいですよ」というアピールが必要になってきます。

 しかし、志望動機をいざ書こうとPCに向かうと、なかなか書けないものです。

 「今より給料がいい」とか、「今の会社が<censored>だから」といったストレートに書けない理由もあれば、そもそもなんとなくよさそうという言語化できない状態も考えられます。

 そこで、この質問を使って考えてみましょう。

 やりたいことというのは、

(転職) + (必然性) = (物語の生成)

です。

 自分にはどういうゴールがあって、そのために過去こんな道を歩み、遠回りもしたけれど、この先順調に進めるためにここにきました――そういう物語を語ることが、転職に説得力を持たせるのです。

 商品に物語や逸話をつけて売るのはもはやセールスの常套手段ですね。

■Q2. 自分自身のスキルと経験をバズワードでリストアップするとしたら、何になりますか(20個以上)?

 今までに身に付けたスキル、若しくは経験内容について、バズワードとしてリストアップしてください。

 気恥ずかしくて、思わず“(笑)”を付けてしまいそうなキーワードが有効です。

 というのも、上記の通り書類を最初に選考するのは、人事部や総務部のような非エンジニアを想定しています。この人たちの役割は、幾多の書類の山からエンジニアに「この人どう?」とピックアップすることです。そこでの判断基準が「キーワード(バズワード)」になるからです。

■Q3. 在籍している(していた)会社で社長が課題だと連呼していた単語と、それを解決する手段は何ですか?(400字)

 企業が抱える「問題」や「ジレンマ」というのは、だいたいどこも共通しているものです。そこで今まで直面した課題を振り返ってみて、それならこう解決するよ、というアピールポイントを考えてみましょう。

 例えば「スピード! スピード!」と社長が連呼する企業を考えてみましょう。

 そこには、

  • 形骸化したルールに縛られてリリースサイクルが遅くなる
  • 五月雨式に依頼がくるので、依頼間の優先順位と依存関係が不明瞭
  • 目先のスピードに囚われてリリースするあまり、後から修正作業が多発して結果的に遅くなる

などの問題がある可能性があります。何か聞いたことありませんか(※あくまでフィクションです!)?

 それに対して、「アジャイルな開発方法を導入すればいい」と解決方法を用意します。

 ここで、1つのことに気付きます。

 まともなエンジニアであればあるほど、「アジャイルな開発方法を導入すればいい」なんて恥ずかしくて書けないはずです。

 しかし、上記のとおり、今は解決策を考えるタイミングではないと自分に言い聞かせて、その気持ちを抑え込んで進めてください。具体的な解決策は面接に呼ばれるまでに考えておけばよいのです。

■Q4. あなたがこの会社に転職すると会社の業績が100倍になりました。その要因は何ですか?(400字)

 これを考える理由ですが、入社後に然るべきポジションで活躍してる自分を採用担当者に想像してもらうためです。

 また、セールスの常套テクニックですが、上記の物語と同様に入社後のイメージを提供することで、採用するという前提を相手に刷り込みます。

 そんなのすぐに思いつかないわ! といういう方、ごもっともです。

 そこで、2012年現在のウケるストーリーのテンプレートを記載しておきます。自分自身のしたいことに合わせて、細部を付け加えたりキーワードを入れ替えてみてください。

「サービスの根幹を設計作成し、また継続的なデリバリーの仕組み導入し、クラウドサービスを用いてスケーラブルなインフラを構築することで、素早く柔軟にサービスを提供できたため」

■さいごに

秘けつ: 迷ったら盛れ!

 私もそうなのですが、自分のことを書こうとするとどうしても控えめな表現になってしまいます。だって断言できないですよね。「できるか?」と聞かれると「やってみないと分からない」というのが正直な気持ちです。

 だけど、迷ったら盛ってください。

 あなたが転職市場に並んだ商品の1つであるなら、履歴書・職務経歴書は詳細のスペックも記載されたカタログです。今までに控えめな広告を見かけたことはありません。もちろん虚偽記載や詐称はダメですが、演出なら許されるのです。

 ご意見や建設的な批判、お待ちしております。

 それではまた!

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