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社内への講師依頼をするには(例によって酒場で)

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ぼー君:先生、お久しぶりです。なんか元気ないじゃないですか。

ひげ先生:うん。しばらく。どうも夏ばてらしくて。

ぼー君:先生のは、夏ばてでなくて慢性二日酔いじゃないんですか?

ひげ先生:なにをいうか! どれ、1杯(きゅー)。うん、うまい。

ぼー君:急に元気になるんですね。ところで今日もちょっと相談が。

ひげ先生:ほー、何かな。

ぼー君:今度社内の標準化研修をやることになって、講師を集めて講師心得を話さなくてはいけなくなったのです。

ひげ先生:それは大変じゃな。自分を棚に上げないといかんな。

ぼー君:失礼な! 大体こんなことを話そうと思ったのですが聞いてください。

ひげ先生:おー、いってみなさい。

☆やるべきことの全体構成

ぼー君:講師依頼を受けた後の講師のすべきことをまとめました。大ざっぱには次の4つになります。

  1. 事前準備
  2. 前日の準備
  3. 当日の実施上の注意点
  4. 翌日やること

ひげ先生:うーむ。なるほど(きゅー)。

ぼー君:ちゃんと聞いててくださいね。

【1、事前準備】

ぼー君:まず事前準備ですが、

  • 1-1.
    研修の趣旨を理解する。今回だと「なぜ当社ではこの標準化をしなければならないか」を自分なりに理解してほしいんです。
  • 1-2.
    研修内容の概要を理解する。研修の内容の全体像を頭にいれます。
  • 1-3.
    スケジュールの確認と準備計画。研修の日時確認はもちろんですが、自分の仕事の予定を考えてきちんと準備の時間をとってもらいたい。
  • 1-4.
    研修内容学習。計画された時間を使って研修内容をしっかり講師が学ぶことです。

ひげ先生:そんな時間を取れるのか? みな忙しいぞ。わしは暇じゃが。

ぼー君:そこは悩みの種です。ともかく講師の上司には会社の今後のためなので講師に準備時間を与えるようにお願いします。

ひげ先生:そうじゃな。本部長からいってもらうといいな。会社の方針ということはそのための予算もあるのか?

ぼー君:えーと。確かめておきます。

ひげ先生:しっかりせー。あーそれで、研修内容の学習の時には自分の経験談や意見も話せるようにしておくといい。社内に講師をお願いするのにはそういう意味がある。

【2、前日の準備】

ぼー君:つぎです。前の日の準備作業ですが

  • 2-1.
    時間割と配布物の再確認。講義や演習の時間や、各時間の配布物の種類も確かめます。事前準備で知っているはずですが、前日に記憶を確かにしてほしいのです。
  • 2-2.
    研修内容の再確認。研修で表示する表示資料を見直します。

ひげ先生:なるほど。表示資料じゃが、素人はとかく表示した内容だけを説明したがる。大切なのは資料と資料をつなぐ「ストーリー」じゃ。ある表示資料の説明と次の表示資料の説明の間に講師なりのストーリー展開説明が必要じゃ。

ぼー君:なるほど、それは(1-4)でも準備してほしいですね。

ひげ先生:まあな。ところで大切なことが抜けておる。「よく寝ること」じゃ。最新の脳科学でもいわれておるようじゃが、人間は寝ると記憶がリフレッシュされる。要するに覚えたことを、翌日思い出しやすくなるんじゃ。それに、疲れた頭では、翌日の演習で受講者の理解度をおしはかってきめ細かい指導をするなど無理な話じゃ。

【3、当日の注意点】

ぼー君:じゃ、よく寝たところで、朝食もゆっくり食べていただいてと、次です。

  • 3-1.
    事務局(これはわたしです)と会議。当日朝の受講者の状況(出欠など)や連絡事項をわたしが話します。
  • 3-2.
    受講者確認とイントロ。教室にはいったら講師の自己紹介や受講者の自己紹介、研修趣旨説明などを行います。
  • 3-3.
    ゆっくり講義し、質問への対応を適切に行う。これは文字通りですね。
  • 3-4.
    昼食時に進度報告と調整案検討。事務局と進度、つまり研修の進み具合の調整をおこないます。
  • 3-5.
    エンディングと事務局引き継ぎ。終了時のアンケートをとり、事務局に渡します。クラスで気になったことがあれば事務局伝えてもらいます。

ひげ先生:ご苦労様というところじゃな。

【4、翌日のあとしまつ】

ぼー君:ところが翌日の作業もあるんですよ。

  • 4-1.
    研修アンケート確認。昨日のアンケート結果の集計を事務局がして、講師に見てもらいます。
  • 4-2.
    講師アンケート。講師の所感や問題があれば改善点など報告してもらいます。

ひげ先生:なかなかよくまとめたな。それはわしがやっていたのをまねしたのかな?

ぼー君:それだけじゃないですよ。

☆一般的準備

ひげ先生:ところで、さっきの準備作業は、講師をやると決まった後の話じゃの?

ぼー君:そうですが。

ひげ先生:講師に選ばれるような人は、こんなことを日常の業務のなかで自己訓練しておく必要がある。逆にいうとこのような社内講師を見いだすのが教育担当者じゃ。

  • 5-1.
    プレゼンテーションの訓練。PPTの使い方、板書つまりホワイトボードの使い方、テキストのうまい使い方。
  • 5-2.
    学習者心理を知る。受講者が学ぶときどのような心理になるか。これは顧客と話していれば分かるじゃろう。
  • 5-3.
    研修内容に関する実務上の経験・調査。通常の仕事でも改善を意識してしっかり行っているとこれもできるはず。
  • 5-4.
    企業内教育に関する見識を持つ。長い目でみながら人を育てないと、企業は発展しないということも少し経験を積めばおのずと見えてくる。そうすれば研修という仕事も楽しくできるんじゃ。

ぼー君:そうですかね?

ひげ先生:このような企業文化を育てるのが企業内教育者の任務なんじゃ。しっかりやらんか(きゅー、きゅー、ばたん)。

ぼー君:先生! わーん、また勘定前に寝ちゃいましたね。

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