気難しいプログラマとの人間関係に必要ないくつかのポイント

8. 奇妙な態度で仕様変更に抵抗するとき

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 ソフトウェアに仕様変更はつきものです。

 仕様変更が起こった場合、当然のことながらプログラムにも修正が必要です。プロジェクトによっては頻繁に仕様変更が発生し、何度も何度もプログラマに修正をお願いしなければならないという経験をお持ちの方もたくさんいることでしょう。

 彼らは露骨に嫌な顔をします。

 ようやく終わったと思っていた作業がまた振り出しに戻り、丹精込めて作ったプログラムにまた手を加えることになるのですから。

 とはいえ、彼らも立派な社会人です。それが仕事なのですから、嫌々ながらもその仕事を引き受けるでしょう。

 しかし、時として彼らは「うーん」とか「それはまずいような気がする」など、普段ではありえないようなあいまいな言葉を使って、緩やかな抵抗をしてくる場合があります。

 一見するとこの言動は、修正するのが嫌でなんとか回避できないか模索しているだけのように見えます。

 そのような態度を見て、面倒くさくなったあなたは、この件をゴリ押ししたくなるかもしれません。ですが、彼らがそのような奇妙な反応をするときは、ちょっと待ってあげてください。

 どんな職業でもそうですが、1つの仕事に長年携わっていると、これまでの経験に基づいた一種の“勘”のようなものが働きます。

 件のプログラマはそうした勘から、その仕様変更が現行のプログラムではうまく修正できないことを察知しつつあるのかもしれません。

 しかもそれは大幅な修正が発生するとか、機能仕様的に矛盾が起きるといった大きな問題である可能性が高いです。

 あなたから仕様変更の話を聞いた直後では、まだ具体的に何が問題であるのかプログラマ本人にはよく分かっていません。

 この時点では単に「嫌な予感がする」くらいのレベルなので、あなたのゴリ押しに彼らはうまく反論できません。

 丁寧に話を聞いてもうまく説明してもらえず、何がまずいのかいくら話し合ってもよく分かりません。

 このような場面においては往々にしてあなたの側に分があり、プログラマ側がそのまま修正を受け入れざるを得ない形となります。プログラマはその仕様変更に納得できていないため、なんとしてでもその場で反論したいと考えます。

 どうにか阻止しようとするあまり、人によっては嘘をつくこともあるかもしれません。

 このような嘘が繰り返されると、あなたがそのソフトウェアの本質を見失うことになり、正しい判断がどんどんつかなくなっていきます。これはお互いにとって非常に良くない状態です。

 このような状況に陥らないためには、やはり彼らの抵抗にきちんと耳を傾けるべきです。一度間をおき、その仕様変更が大丈夫かどうかを調査させる時間を与えるのが良いでしょう。

 恐らく、彼らは大きな問題点を見つけてきます。

 そこでもう一度修正内容について、きちんと議論してください。今度は間違いなく理路整然と修正に対する問題点やリスクを報告してくれるでしょう。

 ソフトウェアは昨今の電子機器と同じように精密で複雑です。作った本人だからといって、プログラムの1行1行を思い出せるほど完全に把握しているわけではありません。

 すぐに問題箇所を見つけるのは至難の業です。

 しかし、もしあなたがプログラマ側の人間であれば、こうした「嫌な予感」がやけに当たることを身をもって体験しているはずです。

 心の中からわき起こる「嫌な予感」はなるべく信じてあげてください。後から必ず、その理由が見つかってきます。

Comment(1)

コメント

張達曾

[うーん]とは抵抗ですか?やはり何か変だな、日本のSEの考え方は。

[恐らく、彼らは大きな問題点を見つけてきます]
おそらくではなく、大体そうですよ。特に今の開発業界では。効率万能、工期が怪しくまで短い…

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