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第301回 3冊目の本を出版する話1 ~出版企画から出版決定まで~

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 前回のコラムでも紹介させていただきましたが、私の3冊目の本『日本でいちばんわかりやすいプログラミングのドリル』が出版されることになりました。そこで、今回から数回に渡ってこの本の裏側をご紹介させていただきます。

■出版企画~キックオフ

 この本の出版企画があがったのは2016年の9月頃でした。ちょうどその頃は2冊目の校正の真っただ中でした。私がお世話になっている編集者さんによると、出版社(日本能率協会マネジメントセンター)さんから新たにプログラミングの本の企画があがっており、2冊目のご縁からその著者に私をアサインしてもらっているとの話を伺いました。当然、私としてはありがたい話だったので、二つ返事でお願いをしていました。

 その後、11月に入り、2冊目の本も無事出版されたことを受け、3冊目のキックオフミーティングが開かれました。そのとき、出版社さんは初心者にもわかるプログラミングの本を世に出したいという要望を持っておられました。また、私自身も2冊目の本を踏まえ、初心者の方にも読んでいただける普遍的なプログラミングの本を書きたい想いが強くなっていました。そこに編集者さんのあるアイデアが持ち込まれ、これらを形にするための本をつくりあげるという、一つのプロジェクトがスタートしました。

 前作はマンガ+文章の体裁を用いたExcel VBAの本でした。これは元々「マンガでやさしくわかる」シリーズからの出版であることが前提にあったので、すべてマンガありきで本の体裁やプログラミング言語など考える必要がありました。前作は約1年ほどかかって執筆しましたが、これはこれで相当産みの苦しみがありました。この辺は過去のコラムにも書かせていただいておりますが、お陰様でたくさんの方にお読みいただきました。また、ご意見やご感想もたくさんいただきました。

 今作ではこれらを踏まえ、どのような形で進めれば良いのかについて、たくさんの議論を重ねました。また、プログラミング本のリサーチをしていると、市販の入門書ですら理解ができない、拒否反応を示される方が結構おられることにも気づきました。そうして、1つのコンセプトが生まれました。

読者と市販の入門書を繋ぐ普遍的な本

 市販の入門書でも理解できない人を対象に、そういった方々にこそ読んでいただける本にしよう。そして、5年、10年と読み継がれる本にしよう! これがこの本の目標になりました。

■基礎研究~構成の検討

 コンセプトは決まりました。しかし、これをどうやって実現するのかが大きな課題となりました。それは、入門書という「本」の形態で理解してもらうのにプログラミングは相性が悪いのです。そもそも、プログラミングはコンピュータ上で動きます。これをどうやって紙面で表現するのか? 普通に考えればプログラムのソースコードを記載し、その実行結果の画面を表示する。しかし、これだと実際にコンピュータ上でプログラムが動いている訳ではないので、初心者にはイメージがしづらいのです。

 また、私は2冊めの本を書き終えた後、ある仮説を持っていました。それは、過去のコラムにも書かせていただきましたが、「理解してもらうためには説明してはいけない」です。

 入門書によくあることですが、初心者にも分かりやすく平易な言葉で説明すればするほど、文字が多くなり本が分厚くなります。初心者はその文字の量や本の分厚さに辟易してしまい、読むことすら断念してしまいます。つまり、初心者のためにやっていることが、結果的に初心者を遠ざける結果になってしまっていると感じていました。また、IT書は読了率(最後のページまで読んでもらえる割合)が他の種類の本よりも低いのだそうです。そのため、初心者向けの本には説明せずに理解してもらう方法が必要だと思うようになりました。

 さらに、5年、10年と読み継がれる本にすることも考えなければなりません。これを実現させるためには、特定のプログラミング言語を使ってしまうと、そのプログラミング言語やが使われなくなったり、プログラミング言語のバージョンがアップしてしまった時に、その本の寿命も終わってしまいます。そう考えると、この本だけのオリジナルのプログラミング言語を用意しなければなりませんでした。

 これらの課題を解決するため、まずはプログラミング言語の基礎研究から取り掛かることにしました。たくさんのプログラミング言語を調べ、この本のコンセプトに合うプログラミング言語を生み出していくことから始めました。既存のプログラミング言語から、紙面上で表現しやすいプログラミング言語を模索し、仕様を決め、疑似的にコーディングをしていきます。こうやってできたソースコードを何度も検討した上で少しずつブラッシュアップしていくような作業を行いました。そうして、この本に使われるプログラミング言語の原型ができたのは今年の1月頃でした。

 それと並行して「理解してもらうためには説明してはいけない」本のしくみづくりに取り掛かりました。ベースとなる案はあったものの、それだけは実現が難しいため、様々な方法が考案されました。イラストで表現する、アイコンをつくる、フローチャートを用意するなど、案を出してはそれを紙面上で表現し議論を重ねる...、この作業を何度も繰り返し、最終的に今の今の形になったのが5月頃でした。

■発売は2/25の予定です!

 話が長くなってしまったので、今回はここまでにさせていただきます。次回はここから先、どうやって本を仕上げていったのかについてお話しさせていただきます。

 実はこのコラムでは本の核心部については敢えて伏せさせてもらっております。それは、文章で説明させていただくより直接ご覧いただくのが一番だと考えたからです。この本はかなり独特な本に仕上がっています。もし気になるからはぜひ本屋さんでお手に取ってご覧くださいね!

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