地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

一番の難題

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 業務システムに限らず、あらゆるソフトにおいても「情報を入力してもらう」ことと「情報を表示する」ことが、ユーザーにとっては大変重要になっています。特に難しいのは「入力してもらう」ことだというのも共通しているのではないでしょうか。

 システムやソフトとして作成したのはいいけれど、実際にリリースしてみるとあまりの入力の難しさにユーザーが敬遠してしまい、そのまま使われることなく消えていってしまうというのは、IT業界で仕事をする人間としては比較的見かけたり耳にしたりする話題だと思います。

 ですが、実はこういうケースはまだ向かうべき方向がはっきりしているだけマシなのではないかと最近思うようになりました。実際、方法はさておき、「入力方法を簡素化する」という大きい目標ははっきりと分かっているのですから。

 ではそれ以外に何が問題か? といわれると。

 個人的にそれを超える問題と考えているのが「そもそも使ってくれない」というケースにあると思います。「使ってくれない」を「見てくれない」に置き換えると、システムなどに限らず、BlogやWebサイトなどで情報発信を行う際にも当てはまると思います。そして、システムやソフトが利用されない一番の原因はここにあるのではないか、と思っています。

 Blogをやってみて情報発信を行なってみたり、社内でグループウェアに色々書き込んでみたりしていても「情報が広まっていかない」とか「反応がない」、と感じたことはないでしょうか。このような場合に原因として考えられそうなのは「周囲に利用してもらえる雰囲気がない」ですとか「内容に温度差がある」とか、もちろん「内容が対象層とずれている」というある意味致命傷な場合もありますが……。

 もちろん、不特定多数の層をターゲットにする場合と、特定層をターゲットにする場合で採れる戦略というのはかなり変わってくると思います。ただ、一番の対象は「関心・興味をもっていない」人達、という点は変わらないのではないでしょうか。

 過去に広告業のユーザーさん向けにシステムをフルスクラッチで作成したことがあるのですが、やはり最初の何カ月は利用度合いが伸びずに思うほどの効果が表れなかったことがあります。その際「なんか上手いこと使ってもらうよう考えてもらえんだろか。広告業ならその手のことにも詳しいんじゃない……?」と楽観的に思い、ユーザーさんと色々相談して試してみたのです。相談した結果、システムの良い点をアナウンスしてみたり、アンケートを取ってみたり、上層部からもシステムを利用させるよう依頼してみました。が、なかなか上手くはいかないんですよね。

 なにしろアンケートの結果は散々で、「面倒」という意見がほとんどでした。この結果にはユーザーのチームリーダーも頭を抱えていた記憶があります。餅屋であっても自分達が食べる餅は別、ということが身にしみた出来事でした(ちなみに今ではほぼ全ての方が利用していただけるほど染み渡った様子で、作ったこちらとしても嬉しい限りです)。

 こういった点を考えていくと、「いかに利用してもらうか」ということがソフトやシステムを作成しリリースする上では最重要課題となると思います。こう考えると、IT業界で仕事をしていたとしても、開発などとは異なる技術が必要になるのではないでしょうか。最近は開発・設計分野の技術者と、デザイン分野の技術者がいかに共同で作業するかという点が話題にあがることが多いのですが、もっともっと多種多様な「技術者」がいるべきなのではないでしょうか。とかく設計・開発分野に目がいってしまいがちですが、プロモート? やアピール? などちょっと違う分野にも目を向けておくといいのではないでしょうか。意外と違う分野であるほど、有効活用できる技術というのは多いのかも知れませんね。

 この技術というのはチーム開発でルールの徹底などでも利用できそうですし、やはり開発・設計など範囲を狭くして考えてしまうと何事もうまくいかないのかも知れません。逆に「全てに関係がある」という無茶っぷりな感じで幅広く物事を捉えるぐらいの方が、何事においても上手く物事を運ぶことができそうな気がします。

 用意はしたが利用されていない、というのはシステム等にとどまらず、社内の規定ですとか色々なものが対象になるでしょう。「どうすれば~」というところを考えるにあたっては

 「自分がその立場だとしたらどう思うか

 という点についてどこまで想像力が発揮できるか、にかかってくるのではないでしょうか。実際、1人の人間が思いつく範囲というのはどうしても限度があります。できるだけ多くの意見を聞いてみるのがベターな方法かと思いますね。

 ……アンケートを取ってみたけど回答が来ない、というのはまた別の話題として。

 色々と偉そうなことを言っていますが、私はここエンジニアライフでコラムを書かせてもらい、その内容はできるだけたくさんの方の目に触れて欲しい、と思って書き続けていますけれども……。これはシンプルに実力が足りないのが原因ですねぇ。何事においても日々精進です。

Comment(4)

コメント

serita

一読者の意見として、内容を読むかどうかは、タイトルを見て決めます。
具体的な内容が伝わってくる(読みたくなる)ようなタイトルを考えれば良いのではないでしょうか?
内容は、いいのにもったいない。。。

Ahf

コメントありがとうございます。
内容はいい、といってくださっただけでも非常に嬉しいです。

いや、もう言われる通りだと思います。タイトルもう少し考えないといけませんね。
ボキャブラとセンスを磨かねば・・・。

kiku

「餅屋であっても自分達が食べる餅は別」

うまいことおっしゃいますね。
このフレーズ頂きます。

「面倒」は作り手側の最大の敵の一つですよね…。
いいものだけど理解されないことが多いです。
いたく共感いたしました。

Ahf

コメントありがとうございます。

やはり作ったからには利用してもらいたいですからね。
そこをどう理解してもらうか、というのもしっかり考えていかないといけないと思っています。
理解されない、だけではずっとこのままですからね。

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