いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

AIを実際に導入するとしたら

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AIの実情はどうなのだろう

率直なところAIの何がすごいかよく分からん。AIが云々というより、AIやってる人の、「オレは凄いことやってる感」、「俺たち未来を追いかけてるぜ感」に違和感を感じる。人工知能といいつつ、そこら辺にいる芋虫程度もものを考えていない。生き物というのは、虫レベルでも確固たる思考を元に行動している。

AIがどういう仕組みか細かくは知らん。バックボーンのデータが膨大とか、アルゴリズムが見えないが故に、いかにも知能っぽく見えてしまうのだろう。一方、生き物というのは意思を元に結果を導き出す。確固たる「生きたい」という意思から結果を導き出す。コンピュータが意思を持たない限り、どんなに性能が上がろうと単なる機械処理の域を出ないだろう。

結局のところ、AIと言っても単なる高性能なコンピュータというだけだ。そんなに特別なものでもない。AIに限らず、どの分野でも特化した知識を持つエンジニアというのは必要とされる。「AIの技術者が不足」なんてニュースをどこかで見たが、何らかに特化したエンジニアなんて、どの分野でも育ててないじゃないかとツッコミを入れたくなった。

とにかく、AIを祭り上げてビジネスやろうとしてる人は一定数いるのは間違いない。そういう人の言うことを真に受けると、本当のところが見えなくなる。世の中見渡しても、儲け話のネタはもう尽きかけている。「人工知能」のインパクトは、そんな状況を打破するだけの勢いがある。ただ、勢いだけが先走っている印象は拭えない。

日本は周回遅れということを自覚しよう

AIやらビックデータ等、これから凄くなるぞ!みたいな話を聞くたびに残念に思うのが、目の前のIT環境のショボさだ。中小企業にいくと、だいたいはファイルサーバとせいぜいがGmailで事足りている。やり方も、何の工夫も無いExcelファイルで地道な手作業。改善と言えば「今までのやり方がある」と、ドヤ顔で否定される。ITを活用する気なんてサラサラないのがよく分かる。どこにAIが入る余地があるのやら。

最近、どこに行ってもリプレイス案件ばかりで、新規でシステムを導入というのをほとんど聞かない。あくまで、今の仕事のやり方ありきでしかITの導入が考慮されない。どこの会社も、パソコンが普及しだした十年か二十年前に作った基盤で勝負している。これではAIの技術があったとしても、とても導入なんてできない。技術に人が追いついていない。

日本で言っている「AIすげぇ!」と外国で言っている「AIすげぇ!」は、全然内容が違う。外国では技術投資している金額の桁が違う。同じくらいの金額が、日本では多重請負やら偉い人たちのポケットマネーとして無駄に消費されている。技術に投資もしないし、人も育てない、技術者に金を払わない。前提の条件が全く違うので、同じ言葉でも意味合いも違うものになる。

官公庁がクソみたいなExcelフォーマットを公開するような国が、どの口で最新技術を語るのだろう。無駄な手間をかけて自己満足するのが技術ではない。そう言う無駄を省くために使うのが技術だ。一般的な企業や官公庁では、パソコンが普及しだした黎明期からシステムの活用方法が何も進歩していない。これでは世界に太刀打ちできない。

勘違いが多すぎて勝負にすらならない

外国でビジネスをしている知人から聞いたが、日本人相手に仕事をすると、要求は倍だが報酬は良くて40%程だとか。確かにそうだろう。無駄な要求が倍なので、時間も倍かかって成果が半分になる。しかも、エンジニアにお金を払いたくないとすれば丁度計算が合う。要するに、経営層の人の能力が低いということだ。

日本の経営層の問題点は難易度の計算が全くできていないことだ。要求を出すというのは、金を持つ者が持つ特権ではない。成果をあげるための手段だ。要求にはコストがかかる。要求とはものを買うのと同じだ。軽はずみに要求を出すとコストがかかるので、判断力が問われる。残念だが、日本人にこの認識は無い。要求は出すだけ出す方が得と思い込んでいる。

また、要求の内容も非常にナンセンスだ。誤字脱字の細かい指摘やフォーマットの形式など、本質とは関係のない指摘ばかりしてくる。指摘している人は素人だ。判断基準が「見慣れた形にいかに近いか」なので、改善ではなく現行踏襲のための指摘でしかない。ナンセンスな要求に対して真摯に応えようとするので、日本人はExcelの使い方に無駄な努力ばかり求められる。

現行踏襲ばかり過剰に要求して、新しい技術を学ばない。これでAIやビックデータやら扱いきれるはずもなかろう。あまりにも勘違いが過ぎると、いずれ世界から相手にされなくなるだろう。今や日本は経済大国というより、知らないくせに無茶ばかり要求するクレーマー的な立ち位置になってきてるんじゃないだろうか。実際、優れた技術者は日本に来たがらないし、来ても呆れて去っていく。

新しい技術の普及を阻むもの

どんなに技術が発展しようと、人がそれに追いつけなければ振り回される。実のところ、新しい技術を導入する際の一番の障壁は宣伝に使われる謳い文句ではないかと思う。これを真に受けると新しい技術を正しく理解できなくなる。あとは経営者層が技術を学ばないから謳い文句で振り回される傾向が強くなる。

新しい技術を導入するなら「今まで以上」ではなく「今までとは違う」という感覚で臨むべきだろう。そういうスタンスでいかなければ、何がメリットで何がデメリットか認識でするのが難しい。今までの延長線上と考えて学ぶ事を怠れば、技術的についていけなくなってしまう。技術というのはたまに突然変異のような変化を起こす。

PDCAのサイクルとか生ぬるい話は通用しない。通用する考え方はD(Destroy :破壊)とR(Rebirth: 再生)の二文字だ。既存をぶっ壊してそこから這い上がれ。現行踏襲を覆すには一度壊すのがベストだ。時代に合わなくなった仕組みを一旦ゼロに戻してからでなければ、そこに新しい仕組みを構築していくことができない。

技術者がどんなに頑張ってもAIの案件自体が少ないので成長は難しいだろう。むしろ、日本の経営者はもっとITを学ぶべきではないだろうか。学ぶことで視野を広くもたなければ、新しい試みをしようという気が起きるはずもない。日本が遅れているのは、新技術の導入ではなく経営者の育成ではないかと思う。過去の成功にしがみついているうちに、いつの間にかいろいろな分野で遅れをとったのではないだろうか。

Comment(1)

コメント

api

記事の内容には共感しました。


昭和などの昔に作った組織体系、制度、ひいてはシステム。それをいつまでも守り続けた果てが、直近のニュースにおける労働問題の記事の増加に繋がりますね。


日本人はサービスを生み出すことに苦戦するという問題がある、とは他所のブログで指摘されていましたが、この記事も共通していると思いました。このまま何も変わらなかったらオリンピックを迎える頃のIT業界はどうなっているか、注目したいですね。

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