いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

分かりやすい会議資料を書く方法

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▪️書けないから人に頼むのだ

結論を最初に言っておこう。そんな方法は無い!

 真剣に理解しようとしない人が読んで分かり易いドキュメントなど、誰にも書けないからだ。ドキュメントの内容を理解出来るかどうかは相手の知能と情報量、あとやる気の問題だ。どんなに良質のドキュメントを作っても、理解できないものは理解できない。

 情報の正確さや項目を問うのであれば分かる。だが、分かりやすいってなんだ?この基準はかなり曖昧なものだ。自分で理解していないので、部下に資料を作らせて情報にキャッチアップしようとする人は結構な割合でいる。ただ、部下に分かっていないのがばれると示しがつかない。分かりやすいにはそういう意図が隠されていることも多い。

 この"分かりやすい"だが、実情としてはかなりいい加減に扱われている。本当に実現したければ、レイアウトや色に関する学習が必要だ。そして、情報が整理されているのが必須条件だ。場当たり的に実現できるものではない。

 実際の分かりやすい会議資料の評価基準は、資料の内容ではなく人間関係に依存する。どんな書き方をしてもダメな時は屁理屈をつけてでもダメ出しを食らう。会議資料を頼まれて一発OKが欲しければ、ドキュメントが分かり易いかではなく、相手の好みを把握しておくことだろう。

▪️資料一つで意図が伝わるほど世の中甘くない

 仕事をする上で、多くの人が犯す間違い。資料を見れば即理解できると思い込んでいることだ。確かに、「サーバ一台爆発しました!」とか「⚪︎⚪︎さんがプレゼン中にウンコ漏らしました!」みたいに分かりやすい状況報告だけなら、一回読めば十分理解できる。

 もし、会議で扱う話題はもっと複雑で情報量が多ければ、資料を前もって配っておき、熟読した後に会議で疑問点を出して解消する。というのが効果的なスタイルだと思う。会議で分厚い資料を出されて、パラパラ見た程度で完全に理解できるほど人間の頭は良くない。それどころか、読むだけでも相応の時間を消費するはずだ。

 会議中いきなり渡された大量の資料を見て「分かるはずないだろ!分かりやすく書け!」という光景も、実は至極当然の話なのだ。ただし、悪いのは会議資料ではなく会議の段取りか主催者の頭だ。そこに気付かなければ、プロジェクトは混沌の沼に呑まれていくのだ。

▪️根本的に会議のやり方を間違えている

 集まったその場で資料を提出して説明するのは、プレゼンとか営業のやり方だ。人を説得する時に有効だが、情報の共有や何かの判断をするには適さないことも多い。事前に情報を共有しておいて、共通の認識を持っておく。そういう段取りも必要になる。

 会議資料にしても、場当たり的に指示を出して作らせる人をよく見かけるが、あれは時間の無駄だ。指示の内容も根拠の無い経験則なので、従ったところでまともな資料はできない。見ながら考えて指示を出すので、凄まじく効率が悪い。私なら資料の作成でなく情報収集を依頼する。段取り的にはそっちの方が先だ。

 会議資料は情報のまとめだ。元になる情報が整理されておらずに作れるはずが無い。この順番を間違えている人はかなり多い。情報がまとまっていない状態で会議資料の作成を依頼されたなら、お気の毒だが一つ段取りが遅い。時間がかかったとしても、情報は整理しておこう。

 会議のやり方を間違えると情報が錯綜する。そりゃそうだ。訳の分からない資料を突きつけて、みんなが分かっている"つもり"で話を進める。まともな結論が出るはずもない。嘘や誤魔化し抜きで会議を乗り越えることは難しくなる。そんな会議ならむしろやらない方がましだろう。

▪️会議のやり方を間違える原因

 原因は二つあると思う。IT技術が発達することで扱う情報量が増加し、内容が複雑になったので、それ以前のやり方が通じなくなった。これが一つ。もう一つは働く人の怠慢だ。会議用資料に求める無駄なクォリティー、自分には理解できるという慢心、立場に対する慢心。こういった要素が、非効率な指示や手際の悪さに直結しているように思う。

 IT技術は普及したが、仕事のやり方は依然、紙を使っていた時代のものを引きずっている。「紙を使ってた時代のやり方にITを足すんだ。効率が良くなるはずだろ?」という発想をする人は多いが、本当のところはどうだか分からない。実際はITの使い方を間違えているので、足されたのはリスクと労力だ。

 実はこういった情報の錯綜への対策は至って簡単だ。自分の使う資料は自分でまとめる、情報は熟読して事前にまとめておく。ここをしっかりやっておけば、情報の錯綜にはある程度対応できる。あと、IT技術の発達で扱う情報量が増えたなら、IT技術で処理すれば問題無い。ここをスキルを高めずに手数でやろうとするから苦労するのだ。

 ただ、これらの根本的な原因は心理的要因が強いように思う。たまにドラマとかで見る「⚪︎⚪︎さん、あれやっといて!」みたいなのやりたいだけだろう。会社をクビになるくらいのインパクトがないと変わらないと思う。とりあえず、人に変化を求めるのは難しそうなので、自分でできる対策を実行するのが現実的だ。

 会議といっても現場に発言権ないし。上司の指示で作った資料は、馬鹿みたいに表とか絵ばっかりで中身がスコスコだ。これが資料だと?便所で尻拭くにも使えねぇ。そもそも、作らせた上司自身、内容を理解できてない。そして、結局私に説明させるのか。実質あんた要らんやん。話すほど情報が錯綜するから黙っててくれねーかな。言い合ってるのが楽しいだけなら、俺、布団敷いて寝たいんだけど。その方が有意義だ。

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