書籍「イシューからはじめよ」を読んでみた。本当にやるべきことを追求する!【第13回】
皆様、いつもご覧頂きありがとうございます。平岡麻奈です。気が付けばあっという間に年の瀬になりました。先日、通っているゴルフスクールの忘年会に参加をした際に、ITエンジニアを支援する仕事に携わっている方が同じスクールに通っていることを知りました。興味深く色々とお話を聞かせて頂いた際に改めて感じたこと、また今後の目標も踏まえて、「もっとITエンジニアの方に寄り添う書籍紹介」こそ重要だと感じました。書店へ出向けば、沢山の書籍が並び、その中でも沢山の選択肢があります。多くの書籍に触れ、考え方を学び知識を取り入れることを大切にしている中、「手あたり次第に」読み進めてしまうことは、結果知識として十分に活かせられるものではないとも感じます。そして「紹介する側」の目線だけでなく、「読んでほしい書籍を探す」目線を今後はより一層意識してコラムを続けていきたいと考えています。
今回紹介する書籍を読み進める中、読書という枠を越えて「教科書」を読み進める感覚に似たものを感じました。「綺麗に読み終える」というよりは、マーカーでチェックをつけたりして考えをまとめる。「これは何に答えを出すためのものか」という『問題解決』に関する本書は、今後必ず読み返すであろうと感じた1冊です。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第十三回は『問題解決』をテーマに「イシューからはじめよ」を紹介してみようと思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/4862760856/
『問題解決』はどの業界で働く上でも重要であり、『問題解決』こそ仕事をする中で意識して取り組む必要があります。ITエンジニアの皆様も、日々意識している時間が多いのではないでしょうか。本書は「意味あるアウトプットを一定期間内に生み出す必要のある人にとって、本当に考えなければならないことは何か」ということに絞り、『本当にやるべきことを補助するための道具箱』と位置づけます。「やるべきこと」が溢れているように思う中、それは本当に「やるべき」ことなのか。本書の代表的な考え方として以下のように示されています。
●「問題を解く」より「問題を見極める」
●「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
●「知れば知るほど知恵が湧く」より「知りすぎるとバカになる」
●「1つひとつ速くやる」より「やることを削る」
●「数字のケタ数にこだわる」より「答えを出せるかにこだわる」
(序章 この本の考え方―脱「犬の道」)P.21
文の前半が一般的な考え方、後半が本書で紹介する「イシューからはじめる」考え方となります。本書を読み進め、実際に行動に移す中で理解を深めていく内容であり、何よりも大切なことは「一般常識を捨てること」です。また、「意味のある仕事」を「バリューのある仕事」と称し、生産性を上げるためには「バリューのある仕事とは何か」という問いへの答えが重要となります。著者は「バリューの本質」は2つの軸から成り立つとし、ひとつは『イシュー度』、2つめが『解の質』と示しています。そして「イシュー」とは、下記のように定義されます。
【issueの定義】
A)2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
B)根本に関わる、もしくは白黒はっきりしていない問題
(序章 この本の考え方―脱「犬の道」)P.25[図3]
『イシュー度』とは、「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、『解の質』とは、「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」とし、本書を通して『イシュー度』と『解の質』を両方高くすることが取り組むテーマとして挙げられています。何も考えずにがむしゃらに働き続けたとしても「バリューのある仕事」が生まれることはありません。体力や根性で乗り越えたことで得た「成長」があったとしても、仕事を教える立場になった際に、同じようなやり方でしか仕事を教えることができません。「イシューからはじめる」世界の考えは「意味のない仕事を断ち切ること」であり、「どこまで変化を起こせるか」「その問題は答えを出す価値はあるか」といった考え方の重要性を説いています。
『問題解決力』は「『結果を生み出す』ことに対するコミットメントの強さ」であり、生み出した結果によって確かな変化が起き、喜んでくれる人がいることこそ達成感が生まれます。本書は論理思考や問題解決において、新しいツールの紹介ばかりが行われ、本質的な知的生産についての議論が足りない現代へのヒントとなり、「悩む」だけでなく「考える」大切さを知る1冊です。
2019年のコラムは今回が最後となりますが、2020年もどうぞ宜しくお願い致します。
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