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人材育成、講師の視点から(1)

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 こんにちは、天野勝です。

 わたしはコンサルタントという職業柄、人にものを教える「講師」という仕事をすることが多いです。現場カイゼンの導入教育や、C言語でのテスト駆動開発と、かなり多岐に渡っています。

 この連載では「講師」をしていて気づいたことを、わたしなりの視点で発信していきます。

■仕事の依頼は教育部門から

 わたしどもに研修を依頼してくださるのは、教育部門の方が多数を占めます。現場の方にどのような教育が必要かを、一緒に考えてカリキュラムを作り上げていき、それを現場の人に教えるというのが、基本のプロセスです。

■研修の成功はどこで定義する?

 研修をしたのですから、主催側となる教育部門も、教育を担当したわたしどもも、その評価が気になります。この評価に向けて、研修を作り上げていくといっても過言ではありません。これだけ投資をしたから、これだけリターンがある、というのが定義しにくいので、独自の評価尺度を設け、これに則って評価するのです。

 そしてここが面白いのですが、その評価の尺度が、組織文化などによって大きく2つのタイプに分かれます。

(1)アンケート重視タイプ

 これは、研修終了後の受講者のアンケートを重視するというものです。受講された人が、その内容がどれだけ現場で役立つかというのを重視するタイプです。もっとも、オーソドックスといえるでしょう。

(2)受講者数重視タイプ

 これはちょっと変わっています。どれだけ受講者が集まったかで、成功かどうかを評価するというものです。これは、同じ研修を何度も繰り返す場合に多いタイプです。必須教育になっていない場合、その研修に人が集まるのは、その研修の魅力です。当然案内文もデキにも左右されるのですが、受講した人の口コミも大きなウェイトを占めます。

■新入社員がどうなれば、新入社員教育は成功か?

 中堅者向けの研修であれば、成功かどうかは上記の2つのタイプで判断できるのですが、新入社員教育の評価はその特性上なかなか困難なのです。

(1)業務経験がない

 新入社員ですから、業務経験はありません。習ったことが、業務に役立つのかどうか分からないというのが現実です。アンケートでは、研修の評価はできません。

(2)必須教育

 新入社員教育は、新入社員全員が受講しなくてはならない必須の集合研修です。受講生自ら研修を選ぶということはまずありません。受講者数では、研修の評価はできません。

■教育部門は理想の新入社員像を描き、個人への期待を占めそう

 当たり前のことですが、新人研修を評価するには、「理想の新入社員像」を描くことが必須となります。そして、新入社員教育を通して、描いた理想像に近づいたかを評価します。新入社員教育は、長期間となりますので、その過程で逐次評価していきます。

 しかし、スキルにばらつきがあるのが、新入社員教育の特徴です。画一的には評価できません。そこで次に必要となるのが、個性のマネジメントです。

 個人に対して個別の期待を示し、その期待への応え方を評価していきます。新入社員と一緒にいる講師と、理想像を持っている教育部門が密に連携することで、その成功が得られるのではないでしょうか。

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