「エンジニアの人生=エンジニアライフ」に役立つ本を紹介します。

『Twitter API ポケットリファレンス』――Twitter4J開発者が語るTwitterアプリ開発のコツ

»
Twitter API ポケットリファレンス Twitter API ポケットリファレンス

山本裕介(著)
技術評論社
2011年4月
ISBN-10: 477414732X
ISBN-13: 978-47741473219
2477円(税込)

■Twitterのサードパーティアプリが100万件を突破

 先日、Twitterのサードパーティアプリが100万件に達したというニュースがあった。

 FacebookやGoogle+など、数々のソーシャルサービスが覇権をかけて熾烈(しれつ)な競争を続ける中、Twitterの勢いはまだまだ衰えそうにない。Twitterは非常に身近なツールであるし、Twitter APIも大変分かりやすく作られている。そのため、開発者が「RESTfulなアプリケーションを学習するための入門として、取りあえずTwitterアプリを作ってみる」という需要があるように思う。

 本書は、JavaでTwitterアプリを実装する際のデファクトスタンダードともいえるライブラリ、Twitter4Jの作者である山本裕介(@yusukey)氏によるTwitter APIのリファレンス本である。

■「Twitterのすべて」が網羅されているといっても過言ではない

 本書は、「Twitterのすべて」が網羅されているといっても過言ではないと思う。

 第1章では、「Twitterの仕組み」というタイトルでTwitterの基本を説明している。フォロー、リムーブ、ブロックなどの用語の説明から始まり、公式リツイートと非公式リツイートの違いまで。会社の上司などに「Twitterってよく聞くけれど、どういうもの?」と聞かれ、返答に困った人は多いと思う。そのような人は第1章を読めば十分と思われるほどの丁寧さだ。

 第2章ではTwitter APIの基本を説明している。

 Twitter APIは大きく分けて「REST API」「検索API」「ストリーミングAPI」「Webサイト向けAPI」の4種類がある。ここでは、Twitter APIを扱うための代表的なライブラリの説明と、そのセットアップ方法。そしてTwitterアプリ開発の肝である、Twitterとの認証方法について解説している。第2章を読めば、Twitterアプリ開発の勘所はすべて抑えることができるだろう。

■Twitter4Jの作者だからこその、充実した技術解説

 本書の基本構成はTwitter APIのリファレンスであるから、ページの大部分はAPIの説明に費やされている。しかし、各章の先頭に書かれているAPIの概要は、技術的な読み物として純粋に面白い。

 例えばストリーミングAPI(第4章)について、登場の経緯やHTTP接続が切断された際の再接続のアルゴリズムなどは私も大変、勉強になった。

 しかし、Twitter APIの仕様を確認するだけなら、インターネットからさまざまな情報を得ることができる。ただのリファレンス本にとどまらない、本書の真骨頂は、巻末の付録として書かれている「アプリケーション開発のコツ」である。

 これは、著者の山本氏がTwitter4Jの開発で培ったノウハウ集であり、Twitterアプリ開発者なら必ず目を通しておくべき読み物である。

  • ストリーミングAPIを使う
  • 関連ツイート(mention)を控える
  • 非公式ツイートは避ける
  • botの無限ループに注意
  • ハッシュ汚しに注意
  • エラーが返ることを前提とする
  • クラウドプラットフォームとTwitterアプリケーション
  • 1つのメールアドレスで複数のTwitterアカウントを管理する
  • 401エラーが出る場合はクライアントのタイムスタンプを確認
  • レートリミットの回避
  • ダイレクトメッセージの送信制限の緩和
  • gzipでパフォーマンスを向上

 ざっと見出しを列挙してみたが、いかがだろう。Twitterアプリを少しでも実装した経験のある技術者にとっては、非常に気になる見出しなのではないだろうか。

■知識を得たら作ってみればよい

 前述したとおり、Twitter APIは基本的に分かりやすく設計されている。わたしも個人的に学習を兼ねてTwitter botを作ったことがあるが、まったく知識ゼロの状態からいろいろ試行錯誤し、3時間ほどでそれなりに動くものが出来上がった。Twitterアプリの実装は、Webプログラミングの学習としても最適な題材だと思う。

 ある程度プログラミングの素養があれば、おそらく誰でも、手軽にアプリが作れるのもTwitterの魅力であると思う。

 さて、それでは今すぐコンソールを開き、アカウントを取得し、Twitterアプリを作ってみようではないか。そのときに本書が、あなたの大きな力となってくれるはずだ。

『雲(クラウド)の隙間から青空が見えた』
コラムニスト 粕谷大輔)

Comment(0)