髪盛ってるから森姫

アットマークマキアート物語ラブライフハック企画 『アットマークX'mas-森村編-』◆12月24日 コクハク日和◆

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El_pink

 クリスマス特別企画・ IT業界の恋愛模様を描く集中連載。 ITエンジニアたちよ、恋愛していますか? 毎回、ちょっとしたライフハックネタも紹介。12月20日から12月24日まで、毎日更新!

◆ ◆ ◆

 「お話があります。駅で待ってます」

 なんか固い。

 「好きです。付き合ってください」

 それはメールで言うのはなんかだめ。

 「今日はお暇ですか? お食事でもどうですか?」

 うん、これでいこう。無難だし。

 「いやー。やっぱりだめ!!」

 パタン。とケータイを閉めてしまいました。送信ボタンを押す前に。

 断られたらどうしよう。

 昨日よりは泣かないと思うけど、おとといの朝田さんみたいになっちゃうかも。

 でも、せっかくのクリスマスイブ★ いわないと損するから。

 パカッともう一度ケータイをあけて、送信ボタンを押しました。

 もう、後にはひけません。

 クリスマスイブといえども、仕事はあります。なんで今日が土曜日とかじゃないんだろう。

 っていうか昨日の祝日いらないから今日を祝日にしてくれればいいのに。カレンダーって素直じゃないんだから!! 別にカレンダーに文句言ってもしょうがないんだけど。

 朝送ったメールはお昼になっても返事がきませんでした。そして夕方。

 「だめってことかー!!」

 わたしは諦めて会社をあとにしました。もうせっかくだからこんな内容も送っちゃえ。

 「渋谷のスタバで21時半まで待ってます」

 ピッと送信。すごく重たいメールだけど……。

 「重い女だと思われちゃうかな」っていうか思われるよね。あっはっは(壊)。

 19時、わたしは渋谷に到着しました。スクランブル交差点のちかくにあるスタバで冬限定メニューを頼み、どうでもいいことを考えながら時を過ごしました。

 「きっときみは来ない。1人きりの……」

 なんて山下達郎がながれてきます。脳内で。来て、くれるかな……。

 時間だけが無常に流れます。すでに3杯目のコーヒーです。時間は21時。あと30分です。

 「やっぱりだめかなぁ……」

 わたしはずっとスクランブル交差点をながめていました。

 いろいろな人がそこにはいました。東京はとにかくいろいろな人が多いのです。

 そのなかで 1人。わたしはいったい何をしているのだろう。

 22時。わたしの元に現れるべき人は現れませんでした。

 さすがにここでなく勇気はないから。ケーキでもかって、1人でお祝いしようかな!

 「森村さん」

 席を立った瞬間に、話しかけられました。

 息を切らした朝田さんに。

 「朝田さん……」

 わたしがメールを送ったのは鋼野さんではなく、朝田さんでした。

 「もう、スタバって渋谷にいくつあると思ってるんだよ~!!」

 「あ、すいません……(汗)」

 「でもごめんね。遅くなっちゃって」

 「いえいえ、来ていただけただけでもうれしいです。もうすぐここ、しまっちゃうから出ましょうか」

 「5日前、渋谷であったよね。あの時ここで久実さんに告白したんだ」

 どこのお店もいっぱいでけっきょくここで飲み物を飲みながらお話ということになりました。

 「ライブ帰りにですか?」

 「うん。で、ふられたんだけど」

 「朝田さん、わたし」

 わたしはまっすぐ朝田さんを見ながら言いました。

 「わたしもここで朝田さんに告白したらふられますか?」

 「え?」

 「わたし、朝田さんが好きです。恋に仕事に一生懸命で、それでいてやさしい、そんな朝田さんが」

 朝田さんはにっこりと笑いました。

 「さっき会社をでるときに、久実さんを見かけた。けど、僕はね、急いで渋谷にいかなきゃって思った。森村さんが待ってるから」

 「朝田さん」

 「でもスタバがどこにあるのかわからなくて、一生懸命ケータイで検索したらいっぱいあって、とにかく探したら一番最後の場所にあった。もうだめかと思ったよ」

 「なんで、メールくれなかったんですか!」

 「あ、そっか」

 そこで2人しておかしなことに笑ってしまいました。最初からもっとメールのやりとりしていたら大丈夫だったのに。

 「明日、仕事終わったらお食事いきましょう!」

 「そうだね」

 わたしたちは手をつないで歩き出しました。ちょうど、雪がふってきました。

 「あの……朝田さん」

 「なに?」

 「お願いがあるんですけど……」

 「由美って呼んでください」

 わたしの名前は森村由美。好きな人にはやっぱり下の名前で呼んでほしいのです。明日はクリスマス。そして初デートです。好きな人と。

 明日……? 

 「ってもう、24時過ぎてる!!」

 「えぇ!?」

 「じゃあ……」

◆12月25日 エピローグ

 「メリークリスマス!」

 2人で声を合わせて笑いました。

 それからしばらく、わたしたちは黙っていました。なんとなくですけど。

 手をつないだまま、しばらく。朝田さんの顔が見れずにいました。雪が降ってきて……傘の色は白。すべて都会に振る淡い雪のようなもの。

Comment(4)

コメント

森姫

あとあと自分で読み返すとはずかしい
ラストです!!

今回は全くのゲストなし。
恋愛要素だけで小説はかけるか?というお題目。

全話を通じてのゲストさんは
久実チヨさん、はがねのつるぎさん、朝田くん(逆転さんありがとー!)。
ご協力ありがとうございました。

無事にクランクアップしたのでこれからシャンメリーを飲みます。
メリークリスマス★

第3バイオリン

森姫さん

ついに最終回ですね。お疲れ様でした!

今回はひたすらラブラブな雰囲気で、読み終わったときには顔がにやけてしまいました(危ない…)。
私の周りにも朝田くんのような人がいないかなあ、なんて(笑)。

今回も楽しい小説をありがとうございました。メリークリスマス!

組長

森姫さん

こんばんは。メリクリー★

お疲れさまでした。森姫さんのおかげで大変、楽しいコラボコラムになりました。本当にありがとうございました。もー!ニヤニヤしまくりで読んでしまいました。120%胸キュンですね!!私も朝田くんみたいな人に出会いたいなぁー。

はがねのつるぎ

森姫さん

いいイメージで書いてもらえてありがとうございました。

第3バイオリンさん

>今回はひたすらラブラブな雰囲気で、読み終わったときには顔がにやけてしまいました(危ない…)。

初回からニヤけています。
なんで、こんなに恥ずかしいのでしょうか(^^)

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