地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

子供じみた夢

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 改めて考えてみると、わたしはあまり「キャリアプラン」と呼ばれるものを意識していない働き方をしてきました。考えていることといえば、単純に「いまよりももっと多くのことが実現できるようになる」という、漠然とした夢のようなものだけでした。

 いまになっても考え方はあまり変わっていないのですが、年を重ねるにつれ、少しだけはっきりとしたイメージが見えてきたように思えます。

 IT業界にはそれなりの年月をかけて関わってきたため、自分がどの方向を向いて仕事をしているかは分かるようになりました。社会人に成り立てのころ、まだ自分の目指したいものがまったく分からなかったころは「勤めている会社の中でトップレベルの技術力を身に付ける」というような、あまりにも漠然とした夢を描いていたものです。

 年月は流れ、ITエンジニアやプログラマ、アーキテクトといった多くの定義が現れてきました。それら多くの定義の中で、わたしが目に留めたのが「アーキテクト」です。

 アーキテクトはソリューション全体を考える力を必要とします。「ユーザーの問題を解決するためにどうすればよいか」など、システムよりもさらに上の視点で動かなければいけないポジションです。

 これまでいろいろなレイヤーの作業に携わらせてもらい、すでにITエンジニアらしくない働き方をしていたわたしの方向性に「アーキテクト」はぴったりと一致しました。

 もちろん、わたしがその位置を目指しているからといって、実際の業務のうちでその領域だけを行うわけにはいきません。現実の業務においては、プログラミングもサポートもこれまでと同様に必要です。マンパワー的に恵まれない小規模企業のため、数多くのことをこなす必要がありますし、わたしは自身のことをプロフェッショナルと思っていますので、ユーザーには可能な限りプラスになることを成したいと考えています。

 そのような環境ですので、思うようにわたしが目指す方向へと進めないと感じることもあります。ですが、環境に文句をいったところで、何かが変わることなどありません。

 時間が少ないなら的を絞って効率的に、技術を試す環境が用意できないなら無償環境を有効に使い倒す。まだまだ、やりようはあると思います。

 プログラム、システム設計、データモデリング、それらに留まらず、もっと多くの問題解決力を身に付ける。そのためにも多くの人と接し、多くの事例を目にして成功例・失敗例から吸収する。それが、ここ1~2年における自分のキャリアプランといえるものだと考えています。

 ちなみにわたしは、「その夢は叶わないかもしれないけれど、技術者として常に目指していたい」気持ちを表す、ある言葉を胸に日々の業務をこなしています。

 それは非常に幼稚で、いい年をした大人が使うべき言葉ではありません。本気でそれを目指しているのは少々問題があるかもしれない言葉です。そして、いままでにコラムとして伝えてきた内容とは正反対の言葉です。

 それは、『一騎当千』。

 自分1人で、数人または数十人分の働きができるように。チームプレイを推進している人間が口にするには問題がありすぎる言葉ですが、わたしはその言葉を胸に、常に先へ先へ、前を走っている人たちに少しでも追いつけるように努力していきたい、と考えています。

 大企業相手とはいえ、素直に負けを認めたくない頑固者なんだろうな、とわたしは思っています。このようなところが、昔気質の職人なのかもしれません。

Comment(4)

コメント

インドリ

Ahfさんこんばんは。
私と同様の事を考えている人が居て嬉しいです。
綿の場合は単純に情報処理技術を愛しているから全てを知りたいだけです。
それで今まで(10年ほど)広範囲に学び、後は数値解析とコンピューターグラフィックスを学べば一通り網羅した事になるまでになりました。
これからは、ひたすら深ーく学習していこうと考えております。
私の理想は、お客様から頼まれたらOSレベルから実装できる職人です。
また、OSから始まって全ての環境を自分好みにを作りたいです。
といってもUNIXヴァージョン6相当のOSを作れるか作れないかといった、OS初心者なのでまだまだ鍛錬が必要ですが・・・

それはさておき、チームプレイの重視と個人の技術力を上げるのは矛盾していないと思います。
ここの人がプロとして生きていれば、チームプレイが出来ます。
実力がない人がチームを組むよりも、実力がある人がチームプレイをした方がいいに決まっています。

なにはともあれ、お互い頑張りましょう♪
アーキテクトの夢を応援しています。

こんにちは、サトマモです。
私はAhfさんに比べて圧倒的に若輩者ですが、アーキテクトとしての働き方を強く意識しているという点で、とても共感しました。

ITエンジニアがフォローする領域は年々拡大しており、最新技術のキャッチアップも難しい状況ではあります。でも、お客様のために何が出来るか、何が役に立つのかを見極めて、プロジェクトを進めていくようなパワフルな人がこの業界には必要なんだと強く感じます。
当然、各方面のプロフェッショナルの方々を巻き込んでいくチーミングやリーダーシップも必要ですし、技術も含めて、そういうことが出来る人は「一騎当千」の人材だと思います。

お互い頑張って進んでいきましょう!

Ahf

インドリさんコメントありがとうございます。

OS込みで提供というのは凄いです。高いハードルであればあるだけやる気が出るタイプですね。

>それはさておき、チームプレイの重視と個人の技術力を上げるのは矛盾して
>いないと思います。ここの人がプロとして生きていれば、
>チームプレイが出来ます。

私の個人的な考えなのですが、個人技レベルの高い人間がチームをまとめ上げるのは精神的にかなり負担があるかと感じています。「自分でやった方が早い」という気持ちに物凄くなりやすいのです。
チームとしては「メンバーそれぞれ成す事を為す」のが理想と思いますので、できるだけメンバーに作業を行わせ、次に繋げていく必要を感じています。しかしメンバーによっては「自分で作ればすぐ何だけどなぁ」と思う事も多々起こりえます。
この気持ちに対して上手に折り合いをつけていくことができれば、きっとインドリさんの言われるように良いチームプレイが行えるのでしょうが、まだまだ私はその点も未熟です。

Ahf

サトマモさんコメントありがとうございます。

圧倒的に若輩者だなんてとんでもないですよ。たまたま早くにこの業界に入っただけで、年齢差以外にそれほど違いはありません。

>当然、各方面のプロフェッショナルの方々を巻き込んでいくチーミングや
>リーダーシップも必要ですし、技術も含めて、そういうことが出来る人は
>「一騎当千」の人材だと思います。

そうですよね。エンジニアとして関わる領域はここ数年特に拡大傾向にあると感じています。ビジネス的な面もありますが、やはりユーザーの為に出来ることを考えていく事が、私にとって最優先に考えたい課題です。

システム的な領域やキーパーソン間での調整等、難しい問題はこれからも多く降りかかってくるでしょうが、自分の気持ちを忘れずに努力していきたいと思います。

お互いにがんばりましょう!

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