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19年間、本を書き続けてわかったこと。

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エンジニアライフ読者の皆様、こんにちは。

本にもいろいろありますが、今回の記事で想定しているのは技術書(コンピュータ書籍)です。

結論

自分が初めて本を書いたのは19年前の西暦2001年のことでした。途中空白期間はあったものの、西暦2020年の現在まで本を書き続けています。

結論からいいますと、

 ・本を読むのが好きで好きでしかたがない、かつ本を書くのも好きでないと、本を書き続けることはできない。お金目当てでは絶対に続かない。

となります。

なぜ本を書くのか?

本を書く理由は著者それぞれですが、お金がほしくて書いている人はほとんどいなくて、大半は「泊がほしい箔がほしい」のが理由だと思います。

著書が1冊でもあれば履歴書にかけますからね。資格と同じで、著書も肩書きのひとつ。もちろん、学歴と経歴が重要であるため、資格や著書といった肩書きはそれほど強力ではありません。「資格なんて取っても意味がない」、「本書いているなんてたいしたことない」という意見があるのも間違ってはないですが、なんか他人に嫉妬しているだけなのかな、という気もします。

年を取って求職活動をするとわかりますが、年を取っているというだけで、自分がやりたいと思う仕事の選択肢がぐっと減ります。企業は若手採用には積極的ですが、年寄りの採用には消極的です。現場にいる若者達が、そもそも年寄りといっしょに仕事するのを嫌いますからね。

そのため、履歴書にかける武器は多いほうが、仕事の選択肢の幅が広がり、自分にも有利になるということです。

ですので、本は1冊書いておわりという作家さんも多いです。続けて書いても数冊だけ。もう二度と書きたくないとおっしゃっている(元)作家さんもいますね。特に、技術書となると執筆が大変な上に、たいした収入にもならないので、嫌になるみたいです。

長年にわたって、本を書き続けている作家さんはあまりいないのが実情です。出版社さんも著者捜しが大変といつも言っています。

紙の本の売上内訳

1冊3000円の書籍(紙の本)を全国の書店で販売するとします。1冊売れた場合の利益の配分は以下のとおりです。なお、配分の割合は一例であり、実際には上下にブレがあります。

書店 20% 600円

取次 10% 300円

著者 10% 300円

出版社 60% 1800円

出版社の割合が大きいですが、印刷所などへの支払いがあるので、実際の出版社の取り分は割合より減ります。3.11の震災があってから、紙の値段が上がったこともあり、最近ではあまり本のページ数を多めにさせてもらえなくなっています。

出版社の割合が大きいのには理由があります。本を出版すると、出版社は取次からお金をもらえます。しかし、本が売れずに書店から返本されて、本が戻ってきた場合、出版社は取次にお金を払わないといけません。つまり、出版社はリスクを負っているということです。著者は本が売れなくても損害賠償責任などはありません。

返品された本は基本的に(燃えるゴミとして)焼却処分されます。以前、SNSで本の焼却場の写真が回ってきたことがありましたが、ビジュアルでみると割とショッキングでしたね。特に、自分でも本を書いている身としては......。売れなかった本は社会に必要とされなかったということなので仕方がないです。

電子書籍の売上内訳

電子書籍はプラットフォームごとにルールが異なるので、一概にこれという割合はありません。ここでは一例としてAmazon Kindleを取り上げます。

https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210

Kindleのロイヤリティは35%と70%から選べますが、一般的な売り方では35%のほうになります。

1冊3000円の電子書籍ならば、以下のとおりです。

Amazon 65% 1950円

著者 10% 300円

出版社 25% 750円

なお、電子書籍はページ数に関係なく、自由に値付けができます。紙の本が3000円でも、電子書籍は500円でもよいのです。

企業の思惑

紙の本と電子書籍の売上内訳をみると、出版社の取り分が違うことがわかります。

このことから出版社としては、紙の本を買ってもらいたいという思いがあります。実際、紙の本しか出版しないところもあります。紙の本を購入するとPDFが付いてくるというのも、紙の本に付加価値をつけているというわけです。

電子書籍の値段と紙の本と同等か、近い価格設定をしているのもしかりです。価格をさげると、ただでさえ低い売上がさらに低くなるからです。

Amazonなどの配信業者としては、電子書籍の読者数を増やすため、値下げキャンペーンや読み放題などのサービスを次々と打ち出しています。

こうして少ないパイを企業間で取り合っており、そこにはし烈な闘いが繰り広げられています。しかし、読者や著者からすれば、そんなことはどうでもよいことです。

副次的効果

本を書き続けることで、

・文章の書くスキルがあがる

・人に教えるのがうまくなる

といった効果がありました。

そのためか、講師の仕事の依頼がよく来るようになりました。自分の本を使って、人前で教えるのは照れがありますが、結構楽しかったです。

おわりに

むかしから作家業はローリスクローリターンでメシは食っていけない、失業状態と同じだと揶揄されてきましたが、電子書籍の時代になっても変わらないようです。

やはり、副業的に細々とやっていくのがよさそうです。

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