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第13回(番外編): USB充電の歴史について簡単にまとめてみる その1 〜野良チャージャー時代〜

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はじめに

この記事の公開タイミング(2022年7月5日)で、twitterを中心にAnkerのUSB充電器の評価記事がプチ炎上しました。

Ankerの充電器に不具合? ブログの指摘記事に公式声明「一般使用には問題ない」

そこで今回から数回かけて、今ではすっかり一般的になった「USB充電」について簡単にまとめてみようと思います。
(規格の詳細については一般公開されていないものもあるので、挫折したらごめんなさい)

「USB充電」の簡単な歴史

1996年に「わかりにくいPCの周辺機器の接続を1個にまとめよう」という発想から登場したのがUSB(Universal Serial Bus)です。

USBが普及するに従い「USBポートから電源(5V)が供給できる」という特徴から、USBポートを携帯電話(いわゆるガラケー)やMP3プレイヤーといったデバイスの電源に使用するという用途が出てきました。

そして、それらのデバイスを充電するためのUSBポート(USB-A)を搭載したUSB充電器(以降「野良チャージャー」*)と、USB扇風機のようなUSBをただの5V電源として電流管理をせずに使用するデバイス(以降「野良デバイス」*)が市場にたくさん登場してきました。

*当時、一部の設計者の間では本当にこう呼ばれていました。

ただ、「野良デバイス」のなかにはUSB規格で許容された電流(当時は最大で500mA)を超えるものがあり、PCのUSBポートにダメージを与えるケースも出てきました。

そのため、これらの規格を統一しスマートフォン等の充電にも対応できる規格として、USBの標準化団体であるUSB-IF(USB Implementers Forum, https://www.usb.org/)から「USB Battery Charging Specification」(以降、USB-BC)が登場しました。

その後、供給できる電力(電圧 x 電流)を増やしたいという市場の要求もあり、Type-Cコネクタを使い5V以上が出力可能なUSB-IFによる正式規格「USB Power Derivary」(以降、USB-PD)が登場し、現在に至ります。

また、スマートフォン向けのSoCを作っている米Qualcomm社も独自の充電規格である「Quick Charge」(以降、QC)をリリースしました。スマートフォンを中心にかなり普及しており、現行のUSB充電器でも多くのものがサポートしています。

ダイソーや3Coindで販売されている「PD+QC」対応のUSB充電器

野良チャージャー時代

上でも書きましたが、USBポートを電源として使用するに際してUSB規格(USB2.0)で規定されている最大電流(5V/500mA)では充電時間が長すぎたり機器を動作させるためには不足だったり、というケースが出てきてました。

そこで、USBを携帯電話やMP3プレーヤーを少しでも速く充電したいという各社が独自規格で拡張した、いわゆる「野良チャージャー」が多数市場に出回りました。

代表的なものは、「Apple」と「Sony」の独自規格で、充電器側でUSBの通信ライン(D+/D-)に抵抗分割した特定の電圧を加えることで、接続したデバイスが充電器の種類を特定して充電に要求する電流をコントロールする、という方式です。

赤囲みがAppleチャージャーとSonyチャージャーの仕様
(maxim MAX14578Eのデータシートより引用)

特に、「Appleチャージャー」はかなり普及し、USB BC1.2が登場するまでは多くのUSB充電器が対応していました。今でも多くのUSB-Aポートを備えた充電器でサポートされています。

「Sonyチャージャー」は、Sonyのデバイスを中心にサポートされていました。
ただ、「Play Station 3」のワイヤレスコントローラ(DUALSHOCK3)のように、USBの通信(enumeration)ができないと充電ができないデバイスがあり、サードパーティのUSB充電器によっては充電できないということで、色々と混乱がありました。

DUALSHOCK3.png

DUALSHOCK3
(写真はAmazonの商品ページより引用)

次回「USB Battery Charging Specification」に続きます...


次回更新は2週間後の7/19(火)の予定です。

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