社内SEの実態を公開

マッチングシステム

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「はい、こちらヘルプデスクです。」

私は開発ベンダーから出向して客先の情シスに常駐し、基幹システムのヘルプデスクを担当しています。基幹システムと関係ない問い合わせもたまに来たり、言っていることがわからなかったりと、居心地はよくなかったのですが、徐々に慣れてきました。今は現場の方々から認知されて、やりがいを感じています。不具合や障害を起こすと怒られますが。

ある日の19時ごろ、問い合わせも無くなったところで、問合せ一覧をアップデートし退社しようとしたとき、一本の電話がかかってきました。営業アシスタントの女性からです。

「す、すみません......納入先を間違って注文を入れちゃったんですが......EDIとか色々連携されているみたいで、どう直したらいいか......お忙しいとは思いますが、教えてもらえますか」

どうも少し泣いているような感じがします。違う場所に物が納入されて気づいたそうです。出荷前の注文は単純にキャンセルできるのですが、手配がかかってしまっているものは、少し訂正が厄介になっています。

電話で画面操作の指示をしているんですが、システムに慣れていないのか、なかなか伝わりません。

そんな私の前で情シスの課長がジェスチャーで私になんか伝えようとしています。電話を保留にすると、内容を聞いてきました。簡単に説明すると

「その子、13Fにいるから行ってあげて。あ、パソコン持っていってね。俺帰るけどあまり遅くならない程度によろしく!困ったことがあれば電話して。」

座席表を見ながら13Fの電話をしてきた女性の席に向かいます。そういえば、最近電話で要件を済ませることが多く、現場にはあまり顔をださなかったことに気づきました。到着すると、部署の雰囲気が悪いです。来るんじゃなかったと思いながらも、電話の女性がめちゃくちゃ綺麗なので、ちょっとだけラッキーと心の中でガッツポーズ!決して下心がある訳ではないのですが。機嫌の悪そうな営業部署の課長は電話で何か話をしていて、こっちを見ながら去っていきました。私も怒られそうな雰囲気だったので緊張しました。

気を取り直して納入先が間違っている注文をSQLでピックアップします。私のPCにはオブジェクトブラウザがインストールされているので、データベースの検索は簡単にできます。注文は全部で30件程度ありました。取引先に注文キャンセルできるか確認したところ、半数の15件はキャンセルできるとのことで、急いで注文のキャンセルを行ってもらいました。問題は残りの15件。なまじEDI連携していると、物流の手配が済んでしまったものはシステムで単純に変更というわけにはいきません。納期が差し迫ったものから取引先に連絡します。納期を少し伸ばしてもらい、物流業者にはシステム外で納入先変更の依頼を行うことができました。基幹システムの訂正も併せて実施です。

ただ、2件の注文が明日の午後一までに正しい納入先に納入しないと工場の生産ラインに影響が出るといい、取引先は怒っています。短納期ゆえに、トラックに積んで運んでしまっていました。いったん荷物を戻して再配達するしかないと言っていますが、その場合明日の午後一の配達は無理だと言っています。

彼女は物流業者と電話をしながら、打つ手がなく、今にも泣きだしそうです。最早ヘルプデスクの範疇でないのですが、彼女を助けられるのは自分しかない!そう思って色々考えていた時、ふと基幹システム構築の要件定義当時、情シスの課長から言われたことを思い出しました。

「我々は工場に原材料を届けているから、工場の生産ラインを止めることは全体に許されない。でも、たまに手配を間違えることもあるから、緊急物流手配の機能を作る必要がある。と言っても、近場の個人がやっているような引っ越し屋さんに割増料金払って、物を引き取って届けてもらうんだけどね......」

物流業者に聞くと、中継ポイントに置くことは可能との事。 緊急物流手配の画面に、中継ポイントと正しい納入先を入力して、到着時間を設定すると、配送可能なトラックがヒットしました。念ため電話で確認すると間に合うとのことです。ほっと一安心。このUber見たいな機能も役に立つんだなとしみじみ感じました。

この緊急物流手配の機能、割増料金を上長が承認しないと登録できません。彼女は自分のミスで色んな人に迷惑をかけた事に意気消沈気味で課長に連絡するのを躊躇しています。そんな時、情シスの課長から電話がかかってきました。状況を説明すると

「大丈夫、あの課長何も言わずに承認するからすぐに登録して」

と一言。おそらく裏から手をまわしてくれたのでしょう。お礼を言って早速登録しました。これで全てのリカバリー完了です。彼女は何度もお礼を言っていました。自分の仕事の範囲外でしたが、人の役に立てた事に嬉しさを感じました。毎度このような手厚い対応は絶対に出来ないところが辛いとこですが。

それから3年後の3月末......

「本日を持ちまして、自社に戻ることになりました。皆さんに助けて頂き、なんとか仕事をすることができました。ありがとうございました!」
出向期間満了で自社に戻ることになりました。そして、あの障害対応が縁で、手配ミスした彼女と来年結婚する予定です。情シスの方々には合コンをセッティングしてもらったり、仲を取り持ってもらい感謝しきれません。課長にもお礼を言いたかったのですが、出張で不在です。

「これ、課長からのメッセージも入っているから」
と渡されたメッセージカードには

『情シスも意外と悪くなかったろ!』

周りからは将来の伴侶をゲットしたからだと冷やかされました。でも本当はこう伝えたかったのでは......

苦労して開発したシステムが現場でどう使われていて、ちゃんと役に立っているという事を実感できてよかったな......

Comment(2)

コメント

abekkan

おめでとうございます(^-^)

職権乱用?!
私も昔、職場のアルバイトに手を出したことはありましたが。。。

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