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銀行員の丸め方

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 「銀行員の丸め方」という表現がおもしろくて、そのままタイトルにしてみた。

 日本語は曖昧な言語だから、解釈は何とおりもあり得る。

 例えば、どこかのお店の経営者が、実は潰れそうなのだけど、そこを何とか言葉巧みに銀行の担当者にうまく取り入って、融資を続行してもらう場合のその方法とか。

 あるいは、銀行員を丸めるのではなくて、銀行員が丸める手口、と考えれば、景気のいいときはお金を気前よく貸してくれたけど、ちょっと傾きかけると、中小企業をあっさり見捨てるときの、その言葉巧みな断り方など。

 いや、もしかしたら、子どもが粘土で、お巡りさんとか消防士とかパイロットとか、いろいろな「働く人シリーズ」を作っていて、その中の銀行員をコネコネ丸める方法かもしれない。

 そして最後の可能性としては、銀行で一般的に採用される端数処理の方法、が考えられる。

 そもそも「丸める」という日本語が、端数処理を表すというのは、後から取って付けた翻訳表現ではないかと、個人的には思うのだが、国語辞書にはちゃんと載っている。昔から端数処理のことを日本で「丸める」と言っていたのだろうか。もちろん、IT関係の人は普通に使っている表現だと思うが、コンピュータがなかった時代はどうなのかな、と疑いたくなる。

 それで、タイトルの「銀行員の丸め方」というのは、実は Banker's Rounding の直訳である。銀行員というよりは、銀行家のほうが正確なのだろうが、「丸める」と同様、「銀行家」という日本語も何かあやしい。

 それはさておき、Banker's Rounding は、もう少しわかりやすい英語だと、Rounding Half to Even と言ったりもする。四捨五入ならぬ、奇数に対して四捨五入だけど、偶数に対しては五捨六入の、条件付四捨五入、と言えば、簡潔でわかりやすい(わけないか)。

 実は昨日、あるシステムのテストを担当している者に、「なんで 2.345 が 2.35 じゃなくて 2.34 と表示されるの?」と訊かれた。

 「それは Rounding Half to Even だから」と答え、「普通の Rounding より誤差が少なくなるよ♥ 」と、お得感も強調しておいた。すると、一瞬きょとんとされ、そして無碍に、「普通でいいよ、普通で。変なことしないで」と一蹴されてしまった。

 何が普通で何が変かは、小学校の算数で培われた先入観にもとづいていて、それは偏見とも言えないこともなく、だから、ぼくは Banker's Rounding で統一したほうが、みんなのためによいと思ったのだけど、父さん、ぼくは間違っていますか……。

 と、倉本聰脚本の独白風に、テスト担当者を丸めこもうとしたけれど、まるで説得力がなかった。もう少し話術を鍛えて「銀行員の丸め方」を身に着けなければ。

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