言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

難易度が高い技術を習得すれば凄いという訳ではない

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技術者の売りは専門性です。「その人にしかできない」ことが多ければ多いほど価値は高いと思われがちです。例えば、習得の難易度が高い技術であれば、習得している人が少ないです。なので、希少性が高くなり価値が高くなると考えるでしょう。そんなことで、やたら難易度の高い技術に手を付けるエンジニアはよく見かけます。ただ、そういう人に限って、技術を習得するプロセスを軽視します。その結果、時間はかけたが技術をものにできずに終わってしまいます。

まず、習得の難易度の高い技術について考えてみましょう。一般的な人であれば覚える内容が多い技術を難易度の高い技術と考えるかもしれません。ただ、Pythonの基礎を網羅した本とVBAの基礎を網羅した本を並べてみると、厚さはほとんど変わりません。実は、覚える情報量については大きな違いは無いということです。技術の難易度とは、情報の組み合わせの多様さと概念を理解できるかどうかで決まります。なので、学校教育的な頭の良さでは太刀打ちができません。

難易度の高い技術を習得した人の何がすごいかというと、情報を組み合わせる思考力に長けていることと、対象の技術に関する概念を持っていることです。技術自体がすごい訳ではありません。実際のところ、技術自体は時代とともに陳腐化します。本当に技術の長けた人というのは、自分の技術が陳腐化したら他の技術に乗り換えていきます。本当の価値は、習得した技術ではなく、鍛えぬいた思考力と対象の技術に関する概念を理解していることにあります。

暗記を中心に学習すると、逆に情報を組み合わせる思考力は伸びません。技術というのは、知識の組み合わせと実践で成り立っています。知識だけたくさん揃えると、組み合わせを吟味しきれなくなり、逆に整理がつかなくなります。その結果、知っているけど活用できない技術になってしまいます。簡知ったことをいろいろな角度から検証することを繰り返さないと思考力は伸びないです。これは暗記というより筋トレに近い感覚です。思考力は脳みその筋力です。

脳みその筋力が低い・・・平たく言って頭の悪い人が無理やり技術を覚えても何の役にも立ちません。考える訓練をして思考力を鍛えないと、技術に対しての概念まで気を回す余裕が持てないからです。技術自体の難易度でランク付けをしても意味はありません。大事なのは思考力です。例えば、同じExcelを使ったとしても、思考力の高い人と低い人とでは、まるで別の使い方をします。技術を受験と同じ感覚で見てはいないでしょうか。難易度の高い技術を身につけても、「〇〇大卒」のような肩書にはなりません。現場で役に立つかどうかは思考力の高さ次第です。

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