言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

途中で投げ出す勇気

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初志貫徹。日本人のビジネスマンが好きそうな言葉ですが、もし「初志」がズレていたらデスマーチ確定です。日本人というのは、どうも困難に立ち向かうのが大好きなようです。しかし、立ち向かうことで満足して、結果を分析したりとかはしないようです。確かに初志貫徹できれば素晴らしいです。意志の強さは鍛えられます。ただし、やったあとの振り返りが無ければ、知性は鍛えられません。

初志貫徹をしたければ、それなりの準備が必要です。プロジェクトであれば、相応の予算を用意することや、充分にスキルのあるメンバーを揃えるということです。また、初志貫徹と言いつつ、それぞれが別のものを目指していたら実現は難しいです。ブレないためにはブレないだけの目的の絞り込みが要ります。精神力だけでブレずに突き進むことはできません。土台になるのはスキルと予算と的確なビジョンです。

程度はあるかと思いますが、上手くいかないなら投げ出してしまっても良いと思っています。私も、コラムを書いていて、ネタ的に「イケてないな」と感じたら書くのを止めて消します。書いた分の手間はパァになります。ただ、イケていないと思うネタで一本コラムを書き抜くよりも、見切りを付けて別のネタを書いた方が、質の高いコラムを多く書けます。初志貫徹で額に汗して書いても、結果がつまらなければ失敗です。

途中で止めたり引き返すのは、ダメな人がやることというイメージはないでしょうか。実際にやってみると分りますが、途中で止めるにも決断力が要ります。引き返すにも計画性が問われます。必要な要素は、初志貫徹するのと同様のものが問われます。重要なのは、やり抜くか、止めるか、引き返すかの方向性ではなく、どういう考えでその行動を起こすかです。やり抜くにせよ、単に指示されたからそうしているでは、何かがあったときの損害が回避できません。

初志貫徹も良いですが、引き際をわきまえるという考え方もあります。とげのある言い方かもしれませんが、やれるだけの能力の無い人が初志貫徹をめざしても、無駄な徒労が増えるだけです。初志貫徹を掲げるまえに、まず目標に対してふさわしいだけの能力を伸ばす方が先です。能力の無い人の頑張りというのは、短距離走と同じでコンスタントな成果は期待できないです。その上、疲れます。初志貫徹は、物事の取り組み方のスタイルの一つです。その場にふさわしいスタイルは状況を見て選びましょう。

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