言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

コードを書かないIT技術者

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コードを書けない人がIT技術者になれるか。本来であればなれないです。しかし、なれているのが現実です。しかも、きちんとコードが書ける人よりも社会的な立場を築いています。先日、「プログラミングができてもあまり役に立たない」という話がネットで出回っていたようです。芸の無い芸能人や、マネージメントを知らないマネージャがいっぱいいるご時世です。だからこういう言葉がでてくるのかと思います。

コーディングが全てではありませんが、IT技術者には技術は必須です。「プログラミングができてもあまり役に立たない」と語るのはいいですが、プログラミングができなくてそう言っているのか、高度なプログラミングスキルを持っていてそれを言うのかで、条件が大きく違います。IT技術者としては、無条件で木刀で殴りたくなる発言ではありますが、叩くにせよ反論するにせよ、まずそこを確かめるのが先かと思います。

情報を整理すると結論は簡単です。ITの技術がなければITエンジニアではありません。社会的な立場や収入の安い高いは関係ありません。ここに、「スキルが高ければ収入も高くあるべき」とか「役職がつくからスキルが高い」と、願望やら社会的な刷り込みが入ると事実がぼやけて無駄な議論に勢いがつきます。そういう議論というのはお祭りのノリで楽しむだけに留めましょう。ヒートアップすると知性が吹き飛びます。

インパクトが強い言葉を聞くと、私たちは無意識に想像を膨らませてしまいます。そういう人間の習性をよく知っているので、私もコラムを書く際に活用させて頂いています。「議論」やら「ロジック」云々で騒ぐ人の大半は、議論で結論を出すというより、炎上させてファイアーダンスで盛り上がりたいだけです。条件分けをすると、意外と簡単に議論は収束します。

今までの話を踏まえた上で、コードを書かないIT技術者を考えてみましょう。コードを書かなくても、ネットワークのパケットを調べたり、サーバのログを解析したりと、そういう技術に長けたITエンジニアもいます。コードを書かないIT技術者も十分にあり得ますし、職務を全うしているなら社会の役にも立っています。ただし、技術もない穀潰しのSIerはIT技術者に含みません。それだけです。タイトルのインパクトにつられた方、冷静に事実をなぞって考えていく力を培いましょう。

Comment(3)

コメント

通りすがり

私は10数年に渡りWebシステムや組み込みシステムやスマホアプリ開発、DB周りの開発等色々と開発を経験して、現在は自らプログラミングをする機会はほとんど無い、ユーザ企業の情シス勤めですが、システム開発を正しく理解している(身をもって体験した)というバックボーンがあるので、今の立場では広い視野を持って仕事ができていると思っています。


ただ、1次請けの企業(メーカー系やSIer)は技術力が限りなくゼロに等しい方々が管理者としてシステム開発に携わっている場面も多いので、勤める企業によってはコードを書くスキルがなくてもIT技術者として成り立ちますね。
私の経験上では、そういう方々が管理する現場は高い確率でデスマーチでしたが・・・

仲澤@失業者

立場や役割の呼称は社会的な構造上の相対的なプロットですから、まぁあんまり意味のあるものではないでしょう。
ましてや自称など何とでも名乗れますしね。


技術者と自称するならば、まず事実としての経験が裏打ちする価値を、他人が認めなくてはなりません。
それができないうちは「丁稚」「見習い」などの実態に即した適切な自称に留めておいた方が事故が少ないかもしれません。

Horus

> 通りすがり さん
エンジニアも興味が移ると別の能力を伸ばしますからね。頂いたコメントを読んでいて、何となくいい感じで活躍されているように思えます。これからの奮闘をお祈りします。


> 仲澤@失業者 さん
技術者と自称するならば、まず事実としての経験が裏打ちする価値を、他人が認めなくてはなりません。



この言葉にずっしりとした納得感があります。ちょっと自分に言い聞かせておくことにします。

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