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第445回 アップデートの必要性を考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 昨今の研修はすっかりZoomで行うようになりました。私は常々研修の効果性を高めたいと思っておりまして、オンラインの研修だから集合より劣っているよねとか言われるのが何より嫌なんです。。。そのため、何とかオンラインの研修でも集合研修に負けない位の効果性を発揮できるよう、日々試行錯誤を繰り返しています。

 そんな中、先日Zoomがver5.4.3にアップデートされました。Zoomはアップデートによって仕様が変わってしまうことがよくあるのですが、今回のアップデートも研修を行う身としては方法を一変させるような変更でした。そこで、今回はアップデートすることの必要性を私なりに考えてみました。

■これまでのZoom研修のスタイル

 Zoomで研修をする場合、一般的にはパワポなどのスライドを表示し講師が話をしながら進んでいきます。この時「画面共有」という機能を使うとパワポのスライド(画面)を参加者全員で見る(共有)ので、参加者はそのスライドを見ながら講師の話を聴いている状態になります。この状態はeラーニングに良く見られるスタイルで、参加者はスライドを視聴する受身の形で受講しています。

 この形式は結構飽きやすく、参加者の忍耐が必要になってきます。そのため、この形から一歩進み、講師の姿も見えるようにして、パワポと講師映像の両方が映るようにしておくことが考えられるようになりました。ただ、この方法は参加者の画面のサイズによってはとても見づらくなってしまうという欠点がありました。

 そこで、以前のコラムでも書かせていただきましたが、OBS Studioなどのストリーミングソフトを使いパワポに講師映像をワイプ表示させ、それを仮想カメラから映し出すことでこれを実現する方法が考えられました。この方法だと表示する映像にパワポと講師画像が接になっているため、画面の領域を圧迫しません。また、スライドだけではなく講師の姿も表示されているので、参加者との間でインタラクティブなやり取りを行うことができるようになり、より研修に厚みを持たせることができるようになります。しかし、この方法にはいくつかの問題がありました。

  • OBS Studioのようなストリーミングソフトを使わなければならない
  • Zoomの設定上、仮想カメラの解像度が低く設定されるため、画面共有に比べパワポの文字が見づらくなる
  • これを改善する方法はあるが、トラフィックやCPU負荷が高くなるため、高スペックPCが必要になる
  • そもそも、仮想カメラを使うとCPU負荷が高くなるため、仮想カメラが途中でフリーズしてしまう可能性がある

 この中でも特に仮想カメラがフリーズしてしまう問題は深刻で、その都度OBS Studioを再起動したり、接続の見直しなどをしなければならずその間研修が中断してしまいます。どうしてもここに大きな問題がありました。。。

■これからのZoom研修のスタイル

 そこで今回のZoom ver5.4.3のアップデートです。今回のアップデートでは画面共有が複数画面で行えるようになりました。一見するとこれが何の役に立つの? と思うかもしれませんが、これが実現されたことによってスライド+講師映像をZoom内だけで実現できるようになったのです。

 やり方は講師映像だけを表示させることのできるアプリが必要になります。私はCamera Viewerというアプリを使わせていただいておりますが、こういったアプリを使いあらかじめ講師映像を表示しておきます。次にパワポを閲覧表示モードで表示しておきます。その上でZoomからこの2つのウィンドウを同時に画面共有するのです。そうするとパワポと講師映像の両方が表示された状態になります。しかも、この2つのウィンドウの位置関係は自由に変えられますので、例えばパワポと左、講師画像を右下のように置くと、画面の右下に講師画像がワイプで抜かれるような見え方できます。

 この方法のメリットはZoomだけで全てが完結する点です。映像などが途中でフリーズしてしまうことは(今の所)ありませんし、Zoomの機能を使った画面共有なのでパワポが見づらくなることもありません。しかも、操作がとても簡単ですし、複雑な設定も必要ありません。まさに至れり尽くせりの状態になりました。

 ただ、デメリットがない訳でもなく、画面共有でカメラ映像を使ってしまうと、そのカメラが占有されてしまいてZoom側のカメラが使えなくなります。そのため、画面共有からギャラリービュー(参加者全員のビデ映像が表示される状態)に切り替えて、参加者でディスカッションをするような場合、もう1つ別のカメラを接続し、そちらのカメラからギャラリービューをしなければなりません。ただ、これも外付けのWebカメラを繋げば解決する問題なので、さほど大きなデメリットにはならないように思います。

■アップデートの必要性を考える

 恐らく、Zoomは今後もアップデートされると思います。ですので、この方法が最適解ではないでしょう。恐らく今後もっとアップデートされ、使い勝手も向上されていくことでしょう。

 オンラインでの研修が本格的にスタートし半年以上が経とうとしています。研修を行う会社や組織はいろんな方法でオンライン研修を提供するようになりました。今回、私が紹介した方法は私個人が考え実践している方法ですが、似たような仕組みで研修を提供されている会社もあるようです。しかし、一方で旧来の画面共有だけで研修をし続けている方もおられます。先日そういった方に話を伺ったことがあるのですが、集合研修とオンライン研修は全くの別物なので、集合研修の効果をオンライン研修に求めるのはそもそも無理があるという考えをされていました。

 その考え方を否定するつもりはありませんが、私とは価値観が違うのだろうと思いました。

 私はオンライン研修は集合研修の劣化版と思っていません。オンライン研修は集合研修の進化版であるべきだと考えています。だからこそ、それが体現できるよう日々試行錯誤をし、常に方法をアップデートし、その時々での最適な方法で実現していきたいと思います。

 そして、これは研修の話だけではありません。Withコロナの時代になり生活様式や仕事の在り方が大きく変わってきました。飲食業界でもオンライン居酒屋のような試みが始められているとのニュースを見ましたが、こういったことも一つのアップデートだと思います。

 このような時代の変化に対して試行錯誤しながらでも旧来以上の効果性を高めようとアップデートしようとする人が、これからの時代に求められている人なのではないかと思います。

Comment(3)

コメント

ちゃとらん

> Zoom ver5.4.3のアップデートです。
> 今回のアップデートでは画面共有が複数画面で行えるようになりました。


貴重な情報、ありがとうございます。


先週、社内で行われましたZOOM発表会も無事に終了しました。その際、PowerPointとWeb画面の実演が必要で、画面共有の切り替えで対応しましたが、今回のアップデートがあれば、これからはもっとスムーズに出来ることになります。


今までは小ブースでの対面発表だったので質問も活発にありましたが、ZOOM発表会では質問がほとんど出てきませんでした。この辺りもまだまだ、ZOOMの使い方に問題がある(質問タイムに、発表者の姿が見えないとか)と思っていますので、オンラインプレゼンの発表のノウハウの蓄積の必要性を強く感じています。


ただし、それ以外は上手くいったと思いますので、オンラインプレゼンの未来は明るいと思いました。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん、


いつもコメントありがとうございます。。。


オンラインプレゼン発表後の質疑応答では、Zoomを使うならスライドの画面共有を終了し、ギャラリービューにした方がやりやすいと思います。
質疑応答に入る段階でスライドの画面共有を終了し、参加者全員に対してギャラリービューに変更してもらうように促してもらった上で、発表者(自分)にピンを刺しておくと、自分の映像は常に左上になります。
その上で質問者に都度ピンを追加すると、発表者の隣に質問者が表示されるため、誰が発言しているのかが分かりやすくなります。(発表者の質疑応答が終了したらピンを外すようにしておきます)


また、質疑応答とは少し違いますが、オンラインでのファシリテーション技法の幾つかは過去のコラムでも紹介させてもらっております。
良かったら、こちらもご参照いただければと思います。


第428回 ファシリテーションについて考える
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/career/2020/07/428.html


Zoomを使った研修やファシリテーション技法はまだまだ発展途中なので、これからも使えそうな方法やノウハウがあれば紹介させていただきますね!

ちゃとらん

返信、ありがとうございます。


ノウハウのご紹介、期待しております。


ちなみに、先のコメントでは書き忘れましたが『アップデートの必要性』を私も痛感しています。油断すると、古い考えたかやしきたりにとらわれて惰性で物事を判断してしまう、この『考え方』を『アップデートする』という今回のコラム、なかなか面白い比喩だと感じました。

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