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【小説 工ンジ二アの事故記録】第+ハ話 全宇宙猫化計画

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「テーブルを削除したのは、大竹君です」

 A会議室に入って来るなり、小山はそう言った。
 左手には設計書の束を持っている。

「くっ......」

 幸一郎は小さく呻いた。

 その時、小山の後ろから何かが姿を現した。

猫1.jpg

「ワレワレハ、ウチュウジンダ」

 その昔、テレビのUFO特番かなんかで出て来た宇宙人がこんな感じだったなあと、幸一郎は感心した。
 ......って、感心してる場合じゃないって!
 目の前に、宇宙人と名乗る謎の生き物が立っていた。
 ざっと、三体。
 縫い目やチャックも見当たらない。
 誰かが会議室にいるメンバーを驚かそうと、着ぐるみを着て来た訳では無いようだ。

「な......何だ!? 君らは!? どこから入って来た。警察を呼ぶぞ!」

 怯えながら吉田課長が、その自称宇宙人を怒鳴りつけた。

「ウルサイ!」

 宇宙人の一人が銃みたいなものを取り出した。
 その銃みたいなものの先端からビビビと光線が出て、吉田課長はそれを浴びた。

「課長!」

 渚沙が驚きの声を上げる。
 吉田課長は無残にも......

猫2.jpg

 猫になっていた。

「にゃー」

 吉田猫はそう鳴くと、渚沙の足元にすり寄って行った。

「かわいい~」

 吉田猫の可愛らしさに、強張っていた渚沙の表情がほころんだ。

「何すんだ!」

 小山が怒って、宇宙人に殴りかかろうとした

「ウルサイ!」

 宇宙人はその拳をヒラリとかわすと銃から光線を発射した。
 ビビビ光線の餌食になった小山は、猫になっていた。

「みゃー」

 小山はそう鳴くと、渚沙の足元にすり寄って行った。

「かわいい~」

 小山猫の可愛らしさに、ほっこりした渚沙の表情が、さらにほっこりした。
 幸一郎はそれを見て、自分も猫になりたいと思った。

「シャー」

 激しい威嚇の鳴き声が聞こえたので振り返ると、知らない間に石川も猫にされていた。
 壁をバリバリ爪で引っかいている。

「きゃ!」

 渚沙の悲鳴が聞こえたのでそちらを見ると、彼女も猫にされていた。

 会議室内は、宇宙人、幸一郎、猫といった構成になった。

「あの~、そろそろ悪戯はその辺にしていただいて、皆を元に戻してもらえませんかね......」

 正体不明の輩に、この場を穏便に引き取ってもらおうと願い出る幸一郎であったが......

<オマエモ、ネコニシテヤロウカ!>

 現実逃避したいので、そうしてもらいたい気もあるが、現実問題としてそうもいかない。
 仕方ないと思い、警察でも呼ぶかとスマホを取り出した。
 待ち受け画面を見て驚いた。

猫3.jpg

 恩師の大山先生も猫にされていた。 

「げっ!」

 幸一郎は、やっとこれが悪戯ではなく、本当の地球侵略なのだと気づいた。

<ワレワレノナカマガ、チキュウジョウ、イヤ、ゼンウチュウノイキモノヲ、ネコニシテイルノダ>

 幸一郎を見つめ彼らはそう言った。

「な......なんで? 猫?」

 全宇宙を侵略するのなら、普通、邪魔者は猫にせず皆殺しにするのではないかと思った。
 そのことを幸一郎は疑問に思った。

※注:宇宙人のカタカナ言葉が読みにくいかと思いますので、ここからは普通に書きますね。

「我々は猫と言う生き物が好きなのだ。見ていると心が和む。だから、我々以外は猫に変えてノンビリ平和に暮らせる世界を作りたいのだ」
「なるほど......」

 幸一郎は会議室にいる猫たちを見渡して、なんとなく納得した。
 他人の顔を気にすることも無く猫たちは思い思いの行動をとり、好きなように生きているように見える。
 それを見た時、幸一郎は率直に羨ましいと思った。

「君もどうかね?」

 宇宙人は一本の猫じゃらしを幸一郎に手渡した。
 それを受け取った幸一郎は、渚沙猫の顔の前で、その花穂をブラブラさせた。

猫4.jpg

「か......かわいい......」

 そのじゃれつく仕草に、幸一郎は目を細めた。
 一瞬、猫になるのも悪くないな、と思った。

「君を、猫にしてやるのだー!」

 宇宙人は銃から光線を発射させた。
 幸一郎は避ける間もなくそれを浴びた。

「ん? あれれ?」

 宇宙人と幸一郎は目を合わせて不思議そうな顔をした。

「お前、さては心が汚い生き物だな!?」

 宇宙人はそう言った。

「心が汚れた人間には、この光線が効かないのだ」

 そう言われた幸一郎は、ショックだを受けた。
 自分は猫にもなれないのだ。
 それも心が汚れているという理由で。
 やはり、不正をした挙句、嘘を付いてそれを隠し通そうとする自分は汚れているのだ。
 それを再認識した幸一郎は、自分だけが人間で、あとは猫という世界を想像した。
 その孤独を思うとゾッとした。
 そして、人間の渚沙と付き合いたいと、心を新たにした。

「とりゃ!」
「ぐえ!」

 幸一郎は宇宙人に正拳突きを喰らわせた。

「せいや!」
「ぐへ!」

 幸一郎は宇宙人に前蹴りを喰らわせた。

「くっ、猫にならない生物がいたとは誤算だった。しかも結構強い。ここは退散するぞ!」

 宇宙人は会議室から出て行った。


「あれ? 人間に戻ってる」

 後ろから渚沙の声が聞こえて来たので振り返ると、猫だったメンバーがみんな人間に戻っていた。

「良かった! みんな人間になってる」
「え? 大竹君がみんなを人間に戻してくれたの?」
「はい! 宇宙人を僕の空手で追い払いました!」
「あ......ありがとう」

 渚沙は顔を赤らめ幸一郎の手を握った。

「うー、オホン! お楽しみのところ悪いが会議の続きを......」
「課長、もういいでしょう! 大竹が犯したミスなんて宇宙人を追い払った大手柄に比べたら取るに足りません。もう、忘れて前向きに行きましょうや!」

 小山はそう言うと、幸一郎の背中をポンポンと叩いた。
 そして、銀縁眼鏡を人差し指で持ち上げながら、石川が言う。

「きっと本番サーバも猫の毛玉だらけで使い物にならなくなってると思います。再構築が必要ですね。どちらにしても大竹さんを攻めてる時間はないかと......」

 メンバーを一通り見た吉田課長は会議の終わりを告げた。

 幸一郎は地球を、宇宙を、救ったのだった。

めでたし、めでたし。


おわり??

Comment(4)

コメント

VBA使い

ん? これはもしかして流行りのVR???

F

にゃーん(社会性フィルター)

湯二

VBA使いさん。

コメントありがとうございます。
水槽の中にある主人公の脳が見た世界です。

湯二

Fさん。

コメントありがとうございます。

負の感情が返還されたことで、この猫の話を書いたわけではありません。。。

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